福祉車両のあれこれ!対象制度や車検のタイミングとは?

福祉車両(特殊用途自動車)とは、身体の不自由な方や高齢の方などが移動しやすくなる自動車です。福祉車両には介護式と自操式があり、最近では自家用車としての需要も広がっています。この背景には、トヨタ自動車をはじめとする各自動車メーカーが福祉車両にも力を入れていることが影響しているでしょう。また、福祉車両には普通乗用自動車の3ナンバーと小型乗用自動車の5ナンバーと特殊用途自動車の8ナンバーの3パターンのナンバー設定がされており、それぞれ装備や仕様が異なります。

こちらの記事では、福祉車両の車検についてのほか福祉車両の減免や助成制度についても詳しくご紹介いたします。福祉車両を使用されている方や福祉車両を使用される予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。

福祉車両の種類

福祉車両

福祉車両は「介護式福祉車両」と「自操式福祉車両」の大きく2つのタイプに分類されます。自操式福祉車両とはドライバー自身が身体の不自由な方の場合に使用する福祉車両であり、介護式福祉車両とは身体の不自由な方を乗せるときに使用する福祉車両です。まずはじめに、介護式福祉車両と自操式福祉車両のそれぞれの特徴について、詳しくご説明したいと思います。

介護式福祉車両

介護式福祉車両とは、身体の不自由な人の介護や送迎などで使用する自動車です。回転シートやチルトシート、昇降シートのタイプのもののほかに、車いすのままでも乗り降りが出来るタイプなど、介護式福祉車両にはさまざまなタイプが用意されています。車いすのままでも乗り降りが出来るタイプでは、バッグドアに折りたたみ式のスロープやリフト、電動のベルトを装備することで車いすを使用している方本人や介護者の方の負担を軽減するためのサポートがされています。最近では、軽自動車やコンパクトミニカー、ミニバンやSUVなどのほかに電気自動車やハイブリッドカーなどの多彩な車種の介護式福祉車両が用意されています。

自操式福祉車両

自操式福祉車両とは、身体が不自由な方が自身で運転するタイプの自動車です。自操式福祉車両には、操作系統を手の操作に集約した運転補助装置が取り付けられているタイプやすべての操作を足の操作に集約した運転補助装置が取り付けられているタイプのほか、ドライバーに合った運転補助装置を選んで取り付けることが出来るタイプなどがあります。また、ドライバーが車いすを使用している場合には車への乗り降りの際に、車いすの積みおろしを行う必要があります。車いすの積みおろしがスムーズにできるように、車いすを電動で吊り上げて収納するタイプのものなどドライバー想いの自操式福祉車両も用意されています。

福祉車両を車検に通すタイミングと注意点

車検

初めて福祉車両を購入する方などはとくに、車検を通すタイミングや注意点をきちんと把握しておいた方が良いでしょう。福祉車両によっては、福祉車両ではない軽自動車や普通自動車と車検を通すタイミングにおいても異なる点があります。そこで福祉車両を車検に通すタイミングと注意点についてご説明いたします。

8ナンバーの福祉車両は新車登録から2年

多彩なバリエーションのなかでも車いす利用のスロープやリフトなどを備えた仕様の福祉車両は、8ナンバー登録とされます。8ナンバーのほかに3ナンバーと5ナンバーの福祉車両がありますが、それらの2つのタイプとの大きな違いが8ナンバーの福祉車両を車検に通すタイミングは、新車登録から2年となっており2年目以降も2年おきとなっていることです。ちなみに3ナンバーや5ナンバーの福祉車両を車検に通すタイミングは、新車登録から3年となっており2年目以降は2年おきとなっています。8ナンバーの福祉車両のみが初回車検までの期間が短い理由としては、8ナンバーの福祉車両は付加的な設備も多く、その点が考慮されているのでしょう。

福祉車両を車検に通す際の注意点

福祉車両を車検に通す前にはいくつかチェックしておいた方がいい点があります。福祉車両は普通の乗用車と比べてリフトなどの特別な機器が装備されているために、積載重量が大きい傾向にあります。積載重量が大きいということは積載重量が小さい自動車に比べてブレーキパッドが減りやすくなっています。このブレーキパッドの残量というのは、車検での検査項目の一つにあたります。車検を通す前にはチェックしておくことをおすすめいたします。そのほか、福祉関連機器であるリフトやスロープ、電動ベルトなどの機器のチェックも入念に行われます。福祉車両の車検がスムーズに通るようにするためにも、日ごろのメンテナンスはかなり重要となっています。車検に通すからという理由だけではなく安心して福祉車両に乗るためにも、福祉機器関連のメンテナンスも日頃から心がけるようにしましょう。また、細かいメンテナンスについては購入した店舗などに依頼をするのが望ましいです。

福祉車両に関わる減免や助成制度

お金

福祉車両は購入時や維持費などに減免や助成制度があることご存じでしょうか?福祉車両の減免や助成制度にはいくつかの条件などもあります。そこで、福祉車両に関わる減税や助成制度について詳しくご説明したいと思います。これから福祉車両を購入する予定の方などはとくに参考にしてみてください。

福祉車両購入時の消費税が非課税になるケース

福祉車両のなかでも、車いす等の昇降装置や車いす等を固定するためのベルトなどの装置が装備されている福祉車両は、購入時の車両本体の価格に関する消費税が非課税となります。またオプション品として、常時車両と一体性があると認められる部品のうち、車両引き渡し時に当該福祉車両に装着されるものに関しても車両本体との同時購入・装着であれば消費税が非課税となります。そのほか、スロープや昇降シート等の福祉の架装部分が故障し、修理が必要となった場合の修理費用に関しても消費税が非課税となっているのです。

障害者手帳を持っている場合には減免対象に

福祉車両で車両自体の構造や障害者手帳の等級、社会福祉法人の所有などの要件を満たしている場合、自動車税や軽自動車税、自動車取得税が減免対象となります。車両自体の構造の基準や減免措置においては各自治体によって異なりますので、詳しくはお住まいの都道府県税事務所もしくは最寄りの福祉事務所、市町村役場の税務担当課または福祉担当課などにお問い合わせください。

福祉車両購入資金の貸付・助成制度

福祉車両の購入資金には貸付・助成制度があることをご存じでしょうか?身体の不自由な方が通勤や通学、通院などの日常生活や社会参加の便宜として福祉車両を購入するとなった場合に、福祉車両購入資金の一部貸付制度があります。また、事業主(法人)向けとして身体の不自由な方を雇用する事業主に対しての助成制度があります。事業主向けの助成制度では、身体の不自由な雇用者が通勤に必要とする福祉車両の購入や駐車場の貸借等に適用されます。詳しくは、貸付制度についてはお住まいの福祉事務所や社会福祉協議会へ、助成制度については各都道府県障害者雇用促進協会や公共職業安定所へお問い合わせください。

運転免許取得費用の貸付・助成制度

身体の不自由な方が福祉車両を使用するための運転免許の取得費用には、貸付・助成制度があることをご存じでしょうか?運転免許取得費用の貸付・助成制度は、これから運転免許を取得する予定の方だけではなく、すでに運転免許を取得しており取得後に身体が不自由になった方に対しても対応となる制度です。身体の不自由な方が自営業をする場合や就職するために必要な知識技能を取得する経費として、運転免許の取得に関する費用に対しての貸付制度があります。また、身体の不自由な方が運転免許の取得により就労等が見込まれる場合に要する費用の一部に対する助成制度もあります。詳しくは、お近くの運転免許試験場もしくは運転免許センターの運転適性窓口へお問い合わせください。

その他の優遇制度

上記でご紹介した減免や貸付・助成制度のほかにも、福祉車両にはさまざまな優遇制度があります。

・駐車禁止規定の適用除外
・有料道路の運行料金割引
・有料駐車場料金の割引
・自動車用燃料費の助成
・カーフェリー旅客運賃の割引

車いすマーク

車いすマーク

車いすマークというのはそもそも「国際シンボルマーク」です。国際シンボルマークである車いすマークには、障害者の方などが利用することが出来る建物や施設であることを明確に示す世界共通のシンボルマークという意味が込められています。車いすマークは、車いすを使用されている方に限らず、身体が不自由な方すべてが対象となっています。車いすマークは駐車場などでよく目にするかと思います。そんな車いすマークの駐車場には利用証があることをご存じでしょうか?こちらでは、車いすマーク駐車場の利用証について詳しくご説明したいと思います。

車いすマークの駐車場

車いすマークの駐車場は、思いやり駐車場ともいわれています。身体が不自由な方や妊産婦さん、ケガをされている方や歩行が困難な方などの外出を支援するために、駐車区画が用意されています。そんな車いすマークの駐車場では、許可証を交付して利用者を制限しています。車いすマーク駐車場スペースは、必要とされている方がいます。車いすマーク駐車場に停める必要がない方は利用しないように気を付けましょう。ひとりひとりの思いやりの気持ちが大切です。

思いやり駐車場の利用証

思いやり駐車場を使うには利用証が必要となります、利用証は各地方公共団体によってデザインが異なるほかに、有効期限があるものと有効期限がないものなどさまざまです。思いやり駐車場の利用証は、福祉課や福祉事務所、市町村役場や障がい者団体などの各地方公共団体の窓口で申請をする必要があります。利用証の申請には、申請書のほかに障害者手帳や母子健康手帳、診断書などの当てはまる状態が証明できる書類が必要となっています。思いやり駐車場の利用対象車に当てはまる方は、申請をして利用証をもらっておくことをおすすめいたします。

まとめ

今回は、車検や減免、貸付・助成制度など、福祉車両に関するさまざまなことについてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか?福祉車両を使用するとなるとさまざまな制度を受けることが出来る可能性があります。福祉車両の使用を快適に行うためにも、制度などを有効に活用されてはいかがでしょうか。