自動運転技術に用いられる電子制御装置も車検の対象に!2024年10月から開始

2020年4月1日、「道路交通法」と「道路運送車両法」の2つの法律が改正されました。そのなかでとくに大きな注目を集めたのが、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)が公道上で解禁となったことです。「基本的な安全運転の義務はドライバーにある」ということが改めて定められました。また2020年8月5日に国土交通省は、自動運転に対応した新たな検査手法を導入するために、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部を改正すると発表しました。2024年10月から自動車の車検で自動ブレーキの自動運転技術に用いられる電子制御装置の、目に見えない故障に対応するための電子的な検査を開始するとのことです。

こちらの記事では、自動運転について詳しくご説明いたします。自動運転技術搭載のクルマであっても、運転の責任はドライバーにあります。そのことを踏まえうえで、参考にしてみてください。

自動運転のレベル分け

自動運転とは、周辺の車両や障害物、歩行者、道路の状況などを人間の目に変わって認識するクルマの技術のことです。現在自動運転のレベルには、レベル0~5の6つの区分けがされています。自動運転といっても、運転支援のレベル1、2と自動運転のレベル3~5があり、各レベルには定義があります。6つの区分に分けられたそれぞれのレベルの定義について詳しくご説明いたします。

レベル0(自動運転なし)

レベル0は、自動運転機能のないクルマであり、ドライバーがすべての運転タスクの実施を行う場合を指します。最近のクルマには、ABS(アンチロックブレーキシステム)や後方死角検知機能、レーン逸脱警報機能などの先進安全技術がありますが、これらの機能は自動運転や運転支援ではなく自動運転なしのレベル0の範囲に留まります。

レベル1(運転支援)

レベル1は基本的に自動運転とは呼ばず、運転支援技術と呼ばれています。レベル1は、システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポートする仕組みとなっていますが、あくまでもハンドル操作や加減速のサポートといったものであり、運転自体はドライバーによる監視のもとドライバーが行います。レベル1の定義は、「システムが前後・左右のいずれかの車両制御を実施する。この際、運転者は残りの動的運転タスクを実行することが期待される」です。システムが車線の逸脱を検知するとステアリングを補正や先行車との距離を一定に保つために自動でスピード調整をするACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などステアリング補正やスピード調整のどちらかをサポートし、ドライバーがもう一方をコントロールする技術を備えたクルマを指します。レベル1の運転支援機能に含まれている自動ブレーキは、2021年11月からはクルマへの搭載が義務付けられることとなっています。

(例)
・自動で止まる(自動ブレーキ)
・前のクルマについて走る(ACC)
・車線からはみ出さない(LKAS)

レベル2(運転支援高機能化)

レベル2は基本的に自動運転とは呼ばず、運転支援技術と呼ばれています。レベル2は、システムがステアリング操作、加減速のどちらもをサポートする仕組みとなっていますが、レベル1と同様に、あくまでもハンドル操作や加減速のサポートといったものであり、ドライバーによる監視のもと運転自体はドライバーが行います。レベル2の定義は、「運転自動化システムがシステムが前後・左右の両方の車両制御を実施する。この際、運転者は動的運転タスクのサブタスクである対象物・事象の検知および応答を完了し、システムを監督することが期待される」とされています。システムが車線の逸脱を検知するとステアリングを補正や先行車との距離を一定に保つために自動でスピード調整をするACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などステアリング補正やスピード調整のどちらもサポートする技術を備えたクルマを指します。

(例)
・車線を維持しながら前のクルマについて走る(LKAS+ACC)
・遅いクルマがいれば自動で追い越す(高速道路での自動運転モード機能)
・高速道路の分合流を自動で行う(高速道路での自動運転モード機能)

レベル3(条件付き自動運転)

レベル3は、システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わるすべての操作を行います。緊急時やシステムが作動困難になった場合はドライバーが対応を行います。システムによる監視のもと特定の場所でシステムがすべての操作を行い、緊急時はドライバーが操作を行うのが条件付き自動運転のレベル3です。レベル3の定義は、「運転自動化システムがすべての動的運転タスクを限定領域において持続的に実施する。この際、作動継続が困難な場合への応答準備ができている利用者は、ほかの車両のシステムにおける動的運動タスク実行システムに関連するシステム故障だけではなく、自動運転システムが出した介入の要求を受け入れ、適切に応答することが期待される」とされています。システムがすべての運転タスクを実施するが、システムの介入要求等に対してドライバーが適切に対応することが必要となっています。2020年4月にこの自動運転レベル3(条件付き運転自動化)が日本で解禁となりました。

(例)
・高速道路等一定条件下での自動運転モード機能(自動パイロット)

レベル4(特定条件下における完全自動運転)

レベル4は、システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わるすべての操作を行います。緊急時もシステムが対応を行います。システムによる監視のもと特定の場所でシステムがすべてを操作するということが最大の特徴です。レベル4の定義は、「運転自動化システムがすべての動的運転タスクおよび作業継続が困難な場合への応答を限定領域において持続的に実施する。作動継続が困難な場合は、利用者が介入の要求に応答することは期待されない」とされています。特定条件下においてシステムがすべての運転タスクを実施します。世界各地で無人による自動運転移動サービスが検討されており、日本でも2019年6月に国土交通省が「限定地域での無人自動運転移動サービスにおいて旅客自動車運送事業者が安全性・利便性を確保するためのガイドライン」を策定・公表しています。

レベル5(完全自動運転)

レベル5は、システムが場所の制限なく交通状況を認知して、運転に関わるあらゆる操作を行います。緊急時もシステムが対応を行います。システムによる監視のもと場所の限定なくシステムがすべてを操作します。レベル5の定義は、「運転自動化システムがすべての動的運転タスクおよぶ作業継続が困難な場合への応答を持続的かつ無制限に実施する。作業継続が困難な場合は、利用者が介入の要求に応答する事は期待されない」とされています。常にシステムがすべての運転タスクを実施することが最大の特徴といえます。レベル5にあたいする高速道路での完全自動運転が、2025年を目途に検討されているようです。

自動運転に対応した車検の導入

自動運転

今年の4月には日本でも、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)が公道上で解禁されるなど、自動運転技術により改正やさまざまなクルマへの自動運転技術の搭載がどんどんと進んでいます。それに伴い国土交通省は、自動運転技術に用いられる電子制御装置まで踏み込んだ車検手法について検討し、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正することを発表しました。新車検は、2024年10月から開始されます。

車検とは

車検とは、自動車検査登録制度のことです。自動車検査登録制度とは、日本でミニカーや小型特殊自動車をのぞく自動車や排気量250ccを超える自動二輪車に対して、保安基準に適合しているかを確認するため一定期間ごとに国土交通省が検査を行い、また自動車の所有権を公証するために登録する制度のことです。道路運送車両法により、公道でクルマを走行する場合には車検を受けることが義務付けられています。

自動運転に対応した車検の導入

2021年10月以降の新型車を対象に、2024年10月から電子的な車検を開始することとしました。輸入車については、2022年10月以降の新型車が2025年10からの検査が対象となります。今回発表された改正により検査の対象となる電子制御装置は、衝撃被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や自動命令型操舵機能(レーンキープ)などの運転支援装置、自動運行装置、排ガス関係装置です。

まとめ

クルマ

今回は、自動運転や2024年10月から開始予定の自動運転が対象となる新車検について詳しくご説明しました。いかがでしたでしょうか?近年、自動運転技術が進化し続けており、世界中から多くの注目も集めています。便利性を向上させるだけではなく、安全性の向上も同時に必要となります。したがって、車検の詳細も変化することは必然的ともいえるでしょう。現在日本では自動運転レベル3が解禁されたところですが、数十年後には完全自動運転である自動運転レベル5のクルマを利用することがごく普通になっているかもしれませんね。今後、自動運転技術はどのように実現していくのでしょうか。楽しみです。