車の買取は即日で現金払いができる?注意点は?

車を売却すると、まとまったお金が手に入ります。できれば、その場で現金化してくれると、急いでお金を必要としているときは便利です。では、どれくらいの買取業者が即日の現金払いに対応しているのでしょうか。利用するときの注意点も紹介します。

即日現金払いができる買取業者は限られる

実際のところ、車の買取業者で即日の現金払いに対応しているところは、それほど多くありません。買取が成立してから2~5営業日後、どんなに遅くても2週間以内に、現金払いではなく指定した口座に入金するのが一般的です。 即日の現金払いに対応しているのは、従業員の数が少なく、お金を扱える人間が限られている中小や地元、個人経営の買取業者に限定されます。 大手は、ごく一部のフランチャイズ店を除いて、現金払いすら対応していません。フランチャイズ店は看板を借りているだけなので、大手の店名でも独自の裁量で即日の現金払いを行っているところが少なからずあります。 即日の現金払いに対応しても、買取価格が数万円程度の場合に限られるところも少なくありません。事故車や不動車など、値をつけづらい車を中心に扱う廃車買取業者で、即日の現金払いに対応しているところが多いのもうなずけます。

業者が即日現金払いできない2つのリスク

多くの買取業者が即日の現金払いに対応できないのは、2つのリスクがあるからです。 まず、現金払いに対応するには、多額の現金を手元に用意しなければいけません。中古とはいえ、車の買取価格は数十万円から100万円を超える場合もあります。これだけの現金を手元に置いておくと、盗難のリスクが高まるでしょう。管理するのも手間がかかります。正確に札束の枚数を確認するのも一苦労です。 銀行振込にすれば、管理するのは通帳やキャッシュカード、印鑑くらいで、盗難されてもすぐに気づけば、銀行に連絡して引き出されるのを防げます。 買取代金を振り込むときも、数字さえ間違わなければ正しく相手の口座に入金されるはずです。最近はネットバンクの普及で、銀行まで出向かなくても店舗から振込の指示ができます。リスクを冒してまで、現金を手元に置く必要はありません。 もう1つのリスクは査定の不備です。買取時の査定は、30分程度の短い時間で買取価格を提示しなければいけません。そのため、確認するのは目視できる範囲に限られます。 しかし、車の中には買い取った後に分解整備を行い、初めて気づく不具合も少なくありません。後日の振込対応であれば、それを理由に減額できますが、即日の現金払いでは不可能です。返金を求めるのも難しいでしょう。 こうしたリスクを防ぐために、多くの買取業者では即日の現金払いを敬遠しています。

即日現金払いしてもらうための準備

いくら買取業者が即日の現金払いに対応しても、売る側の準備が整っていなければ、実行できません。その場で車を引き渡せるように、準備してから買取を依頼しましょう。 用意するのは買取で必要な書類です。車の買取では名義変更の手続きが発生します。実際に手続きするのは買取業者ですが、元の所有者も書類を用意しなければいけません。 たとえば車検証、自賠責保険証、納税証明書、リサイクル券です。普通車であれば実印と印鑑証明書も必要になります。軽自動車でも認印は用意しておきましょう。印鑑は譲渡証明書や委任状、売買契約書に押印するために使います。 このうち、車検証や自賠責保険証、納税証明書、リサイクル券は車に搭載されているはずです。万が一、紛失していたら再発行を依頼しましょう。 車検証は運輸支局か軽自動車検査協会、自賠責保険証は契約した損害保険会社、納税証明書は自動車税が都道府県の税事務所、軽自動車税が市区町村役場の窓口で再発行できます。OSS(ワンストップサービス)により、納税状況が運輸支局や軽自動車検査協会で確認できるなら、納税証明書は不要です。 リサイクル券は紛失しても再発行できません。自動車リサイクルシステムのWebサイトで「自動車リサイクル料金の預託状況」を表示して印刷すると、リサイクル券の代わりになります。預託状況が表示されなければ、車の購入時に納められていないため、廃車するときの所有者が支払います。 印鑑証明書を取得できるのは、市区町村役場の窓口です。自治体によっては、マルチコピー機で発行できる場合もあります。これなら、平日にわざわざ休みを取って市区町村役場まで出向く必要がありません。 ほかに用意したほうがいいのは、車の取扱説明書と保証書、整備手帳です。これらを揃えておくと、査定時に10点(10,000円相当)が加点され、逆にどれか不足していると5~40点ほど減点されます。特に整備手帳は、整備や点検の履歴が記載されていると、隠れた瑕疵があると疑われて減点されるのを防げるでしょう。 洗車や、車内の清掃も済ませておきたいところです。査定でプラスになるわけではありませんが、大切に扱われたという印象を与え、無駄に減点されるのを防げます。業者に依頼してまできれいにする必要はなく、あくまでもできる範囲で十分です。余計な荷物も下ろしておきましょう。 査定は、査定員が指定した場所に出向いてくれる出張査定と、店頭に車を持ち込んで行う店頭査定があります。即日で現金払いを希望するなら、店頭査定のほうがお金を外へ持ち出す必要がなく、その場で車を引き取れるので、業者が対応しやすいでしょう。

即日現金払いを利用するときの注意点

即日で現金を受け取れるのは便利ですが、利用にあたっては注意点があります。 まず、即日の現金払いに対応している買取業者は、概ね査定額が低めです。振込で対応する業者と比べて、大きな差があります。 理由としては、先述のとおり多額の現金を用意するのが難しく、隠れた不具合が見つかる可能性もあるからです。リスクを小さくするために、査定額を安くして備えています。 本来なら、売る側も低い査定額を提示されたら断るでしょう。けれども、即日の現金払いを希望する人は、車の現金化を急いでいます。そのため、ほかの業者と比較する余裕がありません。高く買い取ってもらうよりも、早く現金化するほうを優先するので、低い査定額でも妥協してしまいます。 もし、高値で売るのを優先して、少しでも入金を待てるのであれば、振込で対応する業者のほうが高い査定額を期待できるでしょう。待つといっても、早ければ2営業日後です。遅くても大半の買取業者は1週間(5営業日)くらいで振り込みます。 もう1つ気をつけたいのが、悪徳業者の存在です。これまで紹介したとおり、即日で現金払いしてくれる買取業者は、それほど多くありません。悪徳業者はそこに目をつけて、即日で現金払いを希望する人から車を手に入れます。 こうして入手した車は犯罪行為で使われるケースが多く、車検証の名義変更が行われていなければ、所有者である売主が責任を問われる恐れがあります。 せめて、聞き覚えのない買取業者と取引するときは、古物商許可を受けているか確認しましょう。正規の業者であれば、買取にあたって売買契約書を交わし、その中に名義変更について記載されているはずです。質問しても曖昧に返されるようであれば、取引しないほうがいいでしょう。

まとめ

車の買取にあたって、即日の現金払いに対応している業者は、それほど多くありません。あっても、用意できる現金に限りがあったり、買取後に不具合が見つかった場合に備えたりするため、査定額は低くなりがちです。 いくつかの買取業者を比べてみてください。車の即日現金払いを希望するときも、複数の候補を決めておけば、査定額を比較しやすいでしょう。