車検っていったい何なの?必要なものや期間を徹底解説!

自動車に乗るために避けて通れないのが車検。手続きが面倒である、手間や時間がかかる、費用が高いという噂は聞こえてきますが、実態はどんなものなのでしょうか。

この記事では、車検の内容や種類、費用、注意点といった車検に関する情報をご紹介します。

車検とは

 

車検は正式名称を「自動車検査登録制度」といいます。道路運送車両法で定められた保安基準を満たしていることを定期的に検査し、その検査に合格しないと公道を走ることが認められません。

車検には新車購入時に行われる「新規検査」、その後定期的に行われる「継続検査」があります。自家用乗用車の場合、新規検査の効力は3年、継続検査の効力は2年とされています。

車検の詳細

車検時に行われる「24か月点検」において検査される項目は多岐に渡ります。自動車点検基準により56の項目が定められており、ハンドル・ブレーキといった自動車の稼働に直接関わる個所から、ライトや車体の状態など、安全な運転に影響を及ぼす項目まで様々です。

車検の手続き・作業は一般的には以下のような代行業者に依頼します。

・ディーラー

・民間整備工場

・ガソリンスタンド

・カー用品店

・車検専門代行業者

また、ユーザー自身がある程度自動車の知識を持っている場合、手続きから検査まで自分で行う「ユーザー車検」があります。

車検の際に必要なものとは

車検の手続きには、車両本体だけでなく様々な書類が必要です。

車検証(自動車検査証)

その車が保安基準に適合し、車検に合格していることを示す書類です。運転時には車両に保管しておくことが義務付けられており、ダッシュボードに保管されていることが多い書類です。

自賠責保険証明書(自動車損害賠償責任保険証明書)

車を公道で運転する際に加入が義務付けられている自賠責保険の加入証明書です。一般的には車検を行うタイミングで加入し、証明書は車検証と一緒にダッシュボードに保管されていることが多いようです。

車の保険には自賠責保険と任意保険の2種類がありますが、車検時に提出が求められるのは自賠責保険の証明書のみです。

なお、まれに自賠責保険証明書に不備があり、車検時に提出しても未加入扱いとされてしまう場合があります。事前に車体番号、保険期間、保険料収納済印といった項目を確認し、不備があった場合には加入している保険会社に問い合わせておきましょう。

自動車税納税証明書

自動車を所有している人は、毎年自動車税を納付する必要があります。自動車税は毎年4月1日の時点における車検上の自動車の所有者に課せられる税金で、その直後の5月頃に納付書が送られてきます。

なお、自動車税納税証明書は2015年4月1日以降、自動車税を滞納していないこと、納付から3週間以上経過していることなど、いくつかの条件を満たせば提出が省略されるようになりました。

しかし一部の都道府県では省略できず、納税書の提出が必要な場合があります。自分が条件を満たしているかは、国土交通省または各都道府県のホームページで確認しましょう。

自動車検査票

検査を受けた車が保安基準を満たしていることを証明する書類です。検査後に運輸支局の窓口で交付されるものなので、事前に準備しておく必要はありません。

車検の手続き全般を代行業者に依頼する場合には、代行業者が検査手続きから車検の申請まで一括して行ってくれます。自ら手続きを行うユーザー車検の場合のみ、書類提出時にそろえておく必要がある書類です。

自動車重量税納付書

自動車本体の重量に対して課せられる「自動車重量税」の納付を証明する書類です。自動車の重量や初回登録からの経過年数、エコカー減税対象の有無によって金額が変わります。

車検の手続きを代行業者に依頼する場合には、代行業者が納付まで一括して行います。ユーザー車検の場合には自分で納付し、納付書を用意する必要がありますので、あらかじめ税額を計算しておきましょう。

継続検査申請書

車検証を発行する際に必要な書類です。この書類の専用用紙はOCR用紙と呼ばれ、運輸支局のコンピューターで読み取る書式になっています。

作成は書き方の注意点を知っている代行業者に依頼できますので、代行業者を利用する際には用意する必要はありません。ユーザー車検の際には自分で用意を忘れないようにしましょう。

定期点検整備記録簿

車の所有者に義務付けられている24か月点検、12か月点検といった法定点検を行った際の点検内容を記録する書類です。過去の点検、整備の内容が記録されているため、耐用年数が決められている部品の交換時期を確認することもできます。

この記録簿は整備業者だけでなく、点検を行ったユーザー自身で作成することもできます。しかし整備項目には知識や設備面の問題で、個人で扱うことが難しい項目もあります。車検の手続き自体は自分で行うとしても、定期点検は業者に任せるのが安心でしょう。

住民票

引っ越しにより住所が変わった場合には、車検証の住所登録を変更するために住民票が必要です。法律上は車検証の記載内容に変更がある場合には、15日以内に届け出する必要があるとされています。

住民票は個人で取りに行くのが確実ですが、一部の代行業者は委任状を用意すれば、代わりに取りに行ってくれる場合もあります。希望する場合には、依頼する代行業者に確認してみましょう。

使用者の印鑑

自動車検査証に記載する使用者の印鑑です。

個人で使用している自動車の場合は認印、法人所有の自動車の場合は代表者印が必要です。

車検の時期や期間はいつ?

車検は受けるタイミングや車の用途によって、有効期間に違いがあります。

新規検査

自家用自動車および軽乗用自動車の場合、新車登録時に車検を行います。この車検を「新規検査」といい、有効期限は3年間と定められています。

なお、新車登録でも下記の車両は車検の有効期限は2年とされます。

・自家用貨物自動車

・自家用軽貨物自動車

・自家用特殊用途自動車

・大型特殊自動車

・事業用軽貨物自動車

これらの車両は事業用途とされるため、一般家庭で使用される自家用車よりもパーツの消耗が激しいと考えられます。そのため新規検査の有効期限を2年とし、早期の車検が求められます。

継続検査

新規検査以降の車検は「継続検査」といい、有効期限は2年と定められています。この期間は事業用の車両でも変わりません。

次回車検時期は車検シールで確認

車検に合格すると、車検の有効期限が記載された車検シールが交付されます。

この車検シールは、法律上では「検査標章」といい、道路運送車両法により、車の外からでも視認できる指定された場所に貼ることが義務付けられています。車検シールを正しい場所に貼らない場合、道路運送車両法違反により50万円以下の罰金という厳しい処罰が与えられます。

なお、道路交通法上の違反には当たらないため、免許点数の加点や行政処分の対象にはなりません。

車検シールに表示される年月に注意

車検シールには、今回行った車検の有効期限が記されています。車の外から見える表面には「(令和)3年10月」というように年と月が記載され、車内から見える裏面には年月日まで記載されます。

表面に記載される年月は、その月の末日まで車検の有効期限が続くことを保証していません。「(令和)3年10月」と記載されていても、10月1日に期限が切れる場合もあります。

表面の数字を参考に車検時期を把握している場合、いつの間にか車検の有効期限が切れていることにならないように注意しましょう。

車検で注意することは?

新車購入後、初めて継続車検を受ける場合、気をつけなければいけない注意点がいくつかあります。

代行業者の選定に注意

初めての車検は代行業者に依頼するという人も多いですが、代行業者と一口に言っても様々な種類の業者があり、それぞれ得意分野や特徴、価格が異なります。

1社だけに話を聞き依頼してしまうと、本来行わなくてもいい部品交換やメンテナンスを受け、想像よりも大きな出費になってしまうことも。

最近ではネット上で複数の業者に見積依頼を出すこともできますので、それらのサイトを利用しながら、適切な業者を選ぶように心がけましょう。

余裕を持って予約

依頼する業者によっては、数週間先の予約が必要なケースがあります。ぴったりの業者が見つかっても、あまり近い日程では予約が取れず、別の業者に依頼しなければいけない事にもなりかねません。

あらかじめ時間に余裕を持ったスケジュールを組み、業者の選定から予約まで行えるようにしましょう。

車が戻るまで数日かかる

実際に車検を依頼すると、業者に車を預けてから戻るまで数日かかる場合があります。車検用の設備を持たない業者の場合には、運輸支局が営業していない土日祝日は車検を行うことができません。また即日対応を売りにする業者も多くありますが、予約状況次第では1~2日待たされることも。

車検に出してから戻りまでどれくらい時間がかかるのか前もって確認し、期日ギリギリにならないようにスケジュールを組んで車検を進めることをおすすめします。

車検の費用について

「車検は高い」という話が出る通り、車検には一定額以上の費用が掛かります。その費用の中には、法律で定められた必ずかかる費用と、代行業者によって差が出る費用があります。

必ずかかる費用

車検時に必ずかかる費用には、以下の3種類が含まれています。

自動車重量税

自動車本体の車体重量に対して課せられる税金です。この税額は以下の要素によって変わります。

・車体の重量

・エコカー減税対象

・初回登録からの経過年数

これは自動車重量税法によって定められている税金のため、選んだ業者によるサービスにより納税額が変わることはありません。

自賠責保険

自動車および原動機付自転車に乗る際に加入が義務付けられている保険です。正式名称は「自動車損害賠償責任保険」。必ず加入しなければいけないということから、強制保険と呼ばれることもあります。

自賠責保険は、毎年金融庁が行う「自動車損害賠償責任保険審議会」により税額が定められます。契約は民間の保険会社と行いますが、法的な拘束力のある保険であることから、保険料を保険会社や車検代行業者が割り引くことはできません。

検査手数料

車検手続きを行うための「自動車検査登録印紙」および「自動車検査証紙」に支払う費用です。証紙に張る印紙を購入するところから「印紙代」とも呼ばれます。

車種により金額が異なっており、3ナンバー車は1,800円、5ナンバー車は1,700円、軽自動車は1,300円となっています。ただし地方運輸局長の指定を受けた民間整備工場である「指定工場」で車検を行う際には、車種に関わらず一律1,200円とされます。

これもまた、車検代行業者が割り引くことは出来ません。

車検代行業者に支払う費用

車検を代行する業者はいくつもの業態があります。手厚いサービスを行う代わりに費用が高い業者、最低限の検査を行うだけで費用は安い業者など、自分の車の状態に応じて依頼する業者を選ぶのがいいでしょう。

・ディーラー

自動車メーカーと特約を結ぶ自動車販売店です。販売するメーカーの自動車に対する知識はどこよりも豊富。メーカー独自の検査方法も活用できるため、検査の精度には信頼が置けます。

パーツに問題がある場合にはメーカー純正品のパーツと交換できるため安全性も高く、また法定点検の項目以上の点検・整備を行ってくれるため、車検を機に徹底的な改善を依頼するユーザーも少なくありません。

サービスが手厚い分、車検に関わる費用も高くなる傾向があります。また検査終了時にはベストな車の状態を作るため、依頼をしなくても耐用年数よりも早いタイミングでパーツや消耗品の交換を提案されることもあります。

支払う車検基本料は4~5万円ほどが相場ですが、パーツの交換を行う際には、高額な純正パーツを使用するため、合計金額は高くなりやすい業者です。

 

・民間整備工場

民間で運営する整備工場であり、特定のメーカーに限定しない様々な車種の修理や整備を行えます。工場により腕前や経験にばらつきがあり、高度な技術をもつ工場もあれば、難しい修理や整備に対応できない工場もあり、また全般的に近年増加傾向にある電子制御への対応が遅れている傾向があります。

民間整備工場は「認証工場」「指定工場」に分類されます。指定工場は工場内に車検用の設備を持っているため、その工場内で車検に必要な検査が完結。「1時間以内車検」といったスピードを売りにする業者もあります。認証工場は車検用の設備を持たず、運輸支局へ出向いて検査を行うため、車検完了まではある程度の時間が必要です。

車検基本料は3万円~5万円が相場。ディーラーよりはやや安めですが、指定工場の中にはスピード対応を前提に、ディーラー以上の手数料を設定する工場もあります。

 

・カー用品店

自動車のパーツ・消耗品などを販売するカー用品店でも車検代行を行っています。指定工場としての設備を持った新店舗も増えており、交換する消耗品は自店で売っている安い商品を活用できるのが魅力です。

ただし、ディーラーや民間整備工場に対し大規模な整備に対応しにくい傾向があります。また古い店舗には車検設備が無いところも多いため、店舗によって代行できる内容に差があります。

車検基本料の相場は1万円~3万円と比較的安価。前もってどんな車検対応ができるかは確認しておきましょう。

 

・ガソリンスタンド

街中のガソリンスタンドも車検代行業者の一つです。土日祝日いつでも受け付けてくれる気軽さが魅力。店舗によっては24時間対応可能なところもあります。消耗品類も店舗で扱っているため、気軽に交換・補充の相談ができます。

車検において、法定点検は行えますが、一定以上の整備には対応できないこともあります。また整備や部品交換は最低限しか行いませんが、その分車検代行費用は安く、車種によっては1万円を切ることもあります。

日ごろから小まめに整備し、トラブルが起きない自信がある場合には適切な代行先でしょう。

 

・車検代行業者

車検に関わる手続きをまとめて引き受けてくれるのが車検代行の専門業者です。店舗に指定工場の設備を持ち、短時間の整備・調整のみ行うなら1万円~2万円、念入りな検査を行っても2万円~3万円と、安価で済ませられるのが大きなメリットです。

ただし、ガソリンスタンド同様一定以上の整備には対応できないため、部品交換や重点的な整備が必要な場合には別の業者を選びましょう。

 

・ユーザー車検

車検代行業者に依頼せず、ユーザーが自分で車検を行うこともできます。この方法は「ユーザー車検」と呼ばれており、必要な書類を自分で用意することで、代行業者に支払う手数料をゼロにすることも可能です。

ただし、運輸支局での車検は平日のみ受け付けているため、土日休みの仕事の場合には休みを取らなければなりません。また車検に必要な24か月点検には個人で行うのが難しい項目もあるため、点検だけ整備工場などに任せるというケースもあるようです。

まとめ 

車検を受ける際にはさまざまな準備が必要です。スムーズに車検を済ませるには書類の準備やどのようにして車検を行うか事前に決めておきましょう。車検は代行業者を利用して行うこともできますので、まだ車検の経験がないという方は、利用してみてはいかがでしょうか。業者によって得意としている分野が異なっておりますので、業者選びを慎重に行う必要があります。車検の準備は早めにしておくことをおすすめします。