車検時には必ず払わなければいけない法定費用、代行業者に払う整備費などの費用がかかります。この車検費用について、車の排気量が大きいほど費用が高額になるという声が少なくありません。 果たして車検費用は排気量によって増減するのか、詳しく解説いたします。
車検に排気量は影響しない!排気量は「自動車税」
車検時に支払う費用の中で、排気量によって金額が変わる費用はありません。ただし、車に関する費用の中で、排気量に比例して高額になるものは存在します。
排気量に比例する税金は「自動車税」
車検時に支払うものではありませんが、自動車の所有者に対して科せられる「自動車税」の税額は排気量に比例して高額になっていきます。 自動車税は毎年4月1日時点での車の所有者に対して科せられ、5月初旬に納付書が送付。5月末までに支払う義務があります。 その税額は対象の車の排気量に比例し、高排気量の車であるほど高い自動車税が科せられるとのことです。 自動車税は2019年10月1日より新たな税率が適用され、それ以前と以後に新規登録した場合で、自動車税の税額が変わります。 自動車の排気量と自動車税の関係は以下のとおりです。
総排気量 | 自動車税(年額) | |
---|---|---|
2019年9月30日以前 | 2019年10月1日以降 | |
軽自動車 | 10,800円 | 10,800円 |
1.0L以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1.0L超 ~ 1.5L以下 | 34,500円 | 30,500円 |
1.5L超~2.0L以下 | 39,500円 | 36,000円 |
2.0L超~2.5L以下 | 45,000円 | 43,500円 |
2.5L超~3.0L以下 | 51,000円 | 50,000円 |
3.0L超~3.5L以下 | 58,000円 | 57,000円 |
3.5L超~4.0L以下 | 66,500円 | 65,500円 |
4.0L超~4.5L以下 | 76,500円 | 75,500円 |
4.5L超~6.0L以下 | 88,000円 | 87,000円 |
6.0L超 | 111,000円 | 110,000円 |
エコカー減税で初回納税額が割引
エコカーとは、国土交通省が定めた排ガス・燃費の基準をクリアした車のことです。エコカーは国から強いバックアップを受け、利用が推進されています。その推進施策のひとつが、車に関わる税金を大きく下げる「エコカー減税」「グリーン化特例」です。 「グリーン化特例」の対象車は、自動車税が大幅に減税されます。排気量に比例して税額が上がるのは変わりませんが、年度ごとに定められた燃費基準の達成度合いに応じて、車を購入した次の年度の自動車税が一部免除されます。 また電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル車ら「次世代自動車」は、燃費基準の達成度合いに関わらず約75%の減税措置を受けられます。 燃費基準と自動車税の免税率の関係は以下のとおりりです。
2020年燃費基準 | 次世代自動車 | ||||
---|---|---|---|---|---|
達成 | プラス10%達成 | プラス20%達成 | プラス30%達成 | プラス40%達成 | |
減税なし | 約50%減税 | 約75%減税 |
なお、現行のグリーン化特例は2021年3月31日まで適用となり、2021年4月1日からは新基準が適用される予定となっています。
車検に影響するのは「重量」
排気量は車検時には直接影響しないことがわかりましたが、車種によって車検の費用は大きく異なります。車検時に影響する要素とは何があるのでしょうか。
車検時に支払う税金は「自動車重量税」
車検時に支払わなければならない「法定費用」の一つに「自動車重量税」が含まれています。自動車重量税は、その名のとおり自動車の車両重量に対して課せられる税金です。車体が重ければ重いほど税額は高くなります。 なお、軽自動車も自動車重量税の納税対象ですが、重量に関わらず一律の税額となっています。 自動車重量税は、車検を受ける際に車検が有効な期間分の税額をまとめて納税しなければなりません。車体重量と自動車重量税の関係は以下のとおりです。
車体重量 | 新車登録から | ||
---|---|---|---|
13年未満 | 13年経過 | 18年経過 | |
軽自動車 | 6,600円 | 8,200円 | 8,800円 |
500kg以下 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
500kg超~1,000kg以下 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
1,000kg超~1,500kg以下 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
1,500kg超~2,000kg以下 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
2,000kg超~2,500kg以下 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
2,500kg超~3,000kg以下 | 49,200円 | 64,800円 | 75,600円 |
次世代自動車は免税
自動車重量税は、排気ガス排出や燃費の面で環境に配慮した車に対して「エコカー減税」を実施しています。燃費基準達成率に応じて軽減率が変化しますが、自動車税とは異なり、普通乗用車でも一定以上の燃費基準達成なら免税となります。次世代自動車も免税の対象です。 減免対象は新車として購入された車に限られており、初回車検時の自動車重量税が減免されます。ただし、燃費基準をプラス50%以上達成および次世代自動車は、2回目の車検時の自動車重量税が免除となり、計5年間自動車重量税が免除される優遇措置を受けられます。 燃費基準の達成度と減免率の関係は以下のとおりです。
2020年燃費基準 | 次世代自動車 | ||||||
達成 | プラス10%達成 | プラス20%達成 | プラス30%達成 | プラス40%達成 | プラス50%達成 | ||
初回車検 | 20%減税 | 50%減税 | 75%減税 | 免税 | |||
2回目車検 | 減免なし | 免税 |
なお、この基準は2021年4月30日までに新車購入した車を対象としています。
車検までの予備知識としても、参考にしてみてはいかがでしょうか。
排気量が上がると車検費用が上がる理由
車検時に支払う自動車重量税と排気量の間には、直接の関係はありません。しかし排気量が大きい車ほど車検が高くなる傾向は確かにあるようです。なぜ排気量が大きくなると車検の費用が高くなるのでしょうか。
排気量が高い車は重い
排気量と自動車重量税に直接の関係はありませんが、排気量の大きい車は総じて大型車であり、車体重量が重くなる傾向にあります。 例としてトヨタのセダンモデルであるカローラは、排気量1.8Lに対し車両重量が1,320kg。同じトヨタのクラウンの2.5Lモデルでは車両重量が1,870kgと、排気量の増大に応じて重量も増加しています。 他の車種でも重い車体を動かすためには大排気量のパワーがあるエンジンが必要になるため、おおむね排気量と車両重量は比例関係にあるのです。 重量税は車両重量に比例して高い税額となっていきます。これは重量が重い車ほど道路や環境に対して与える影響が大きく、税金を投入する補修への影響が大きいためと考えられているためです。 排気量の大きな車は車両重量も重くなるため、排気量が大きくなると自動車重量税が増額、結果として車検の費用が高くなります。
大型車・高級車は整備費・パーツが高い
排気量が大きな車は車体も大きく、また価格やステータスも高くなっていく傾向にあります。高級車は先進技術が多く取り入れられていることもあり、整備士にも高い技術が求められます。 また、車体の大きさに伴い部品の数も増えるため、点検・整備に低排気量の車以上の手間がかかるのも費用が上がる理由のひとつです。高額の整備費用を求められる場合があります。 パーツの交換が必要となる場合、その交換パーツの一つひとつも、低排気量の車に比べると高額です。高級車だからパーツの耐久性が高いというわけではありませんので、低排気量の車と同じく摩耗し、交換が必要となります。 そのほか、エンジンオイルやブレーキオイルといった消耗品にも、小型車に比べ負担がかかるため、交換の頻度は高くなります。車検時には消耗品類の交換が進められることがありますが、それを断れないほど、早く消耗してしまうことも少なくありません。
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高排気量の外国車はメンテナンス費が高額
また、日本と海外では道路事情や規制も異なるため、同じ車体重量でも外国車のほうが高排気量になる傾向があります。交換用のパーツも海外から取り寄せなければいけない場合もあり、車検時の整備に余計に費用がかかることもあるでしょう。 単純に日本車との比較は難しいですが、高排気量の車の車検が高いと思われる要因の一つに、外国産の車の影響も含まれているでしょう。
まとめ
車検において、エンジンの排気量は直接費用に関係はしていません。しかし高排気量になるに従い車体の重量が上がるため、自動車重量税が高額になっていきます。 また、高排気量の車は大型・高級車となる傾向が強いため、整備の手数料、交換パーツの代金といった車検に関係する費用が高額になりやすくなります。排気量が高い車は、結果として車検の費用も高額になると考えておくのがよいでしょう。