車検は様々な業者に依頼することができ、車検と同時に整備を行う業者も多く存在します。その際、どこの工場で整備が行われたのか記録が必要なのはご存知でしょうか。
今回は車検整備の際に記録が必要な「整備工場コード」についてご紹介します。
車検の継続検査等申請書に記載する「整備工場コード」とは?
車検時に整備を行った工場を示す「整備工場コード」とは、いったい何でしょうか。
整備工場コードとは
近年、車の街頭検査において、車両の点検整備が正しく行われているかを調査する機会が増加しています。その際にどこの工場で整備が行われ、どの業者が車検を対応したのかを示すために「整備工場コード」が車検証に記録されるようになりました。
平成16年9月30日時点では指定工場のみが記録の対象となっていましたが、平成30年4月1日からは認証工場も対象となっています。
整備工場コードは2桁の管轄の「運輸支局コード」、指定工場・認証工場を示す「指定の一連番号」により構成されています。
どの工場がどの整備工場コードを持っているかは、自動車整備振興会の公式サイトで検索することができ、整備に問題がある場合にはどの業者が車検を担当したかがわかるようになりました。
ユーザー車検では必要なし
整備工場コードは、どこの業者が車検を担当したかを示すものであるため、ユーザーが自ら車検の手続きを行う「ユーザー車検」を行った場合には記録されません。
しかし近年、ユーザー車検や格安の代行業者による車検により、最低限の整備も行われずに車検を通過してしまうケースが増加しています。
車の所有者は12か月点検、24か月点検という法定点検を受ける義務がありますが、未実施に対する罰則はありません。そのため車検を通過した後に法定点検を行わず、次回の車検まで車に乗り続けるユーザーが後を絶ちません。
定期的で確実な定期点検の実施を促すため、平成26年2月17日より、継続検査時に受検形態や点検整備の実施状況を車検証の備考欄に記載するようになりました。
それに合わせて点検などの勧告要件も見直され、点検整備の指導が厳格化されるようになっています。
ユーザー車検を受ける手順と注意点
近年インターネット上で車検の手順が公開されていることから、ユーザーが自分で車検を行う「ユーザー車検」の利用者が増加しています。代行業者に依頼しない分、全ての手続きを行う必要があるユーザー車検ですが、どんな手順で進めるのが良いのでしょうか。
書類を準備
ユーザー車検を行うにあたり、必要な書類を揃えましょう。当日陸運局で配布を受けるものを含め、以下の書類が必要です。
1.自動車検査証(車検証)
2.自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証明書)※新旧両方
3.自動車税納税証明書
4.定期点検整備記録簿
5.自動車検査票 ※当日陸運局で配布
6.自動車重量税納付書 ※当日陸運局で配布、納税
7.継続検査申請書 ※当日陸運局で配布
8.認印
なお、1~3を紛失している場合、車検を受けることはできません。もし書類を紛失していることがわかったら、車検証は陸運局へ、自賠責保険証明書は契約している保険会社へ、自動車税納税証明書は居住地の市区町村の税事務所へ問い合わせをしましょう。
車検場の予約
車検を受けるためには、会場となる車検場の予約が必要です。いきなり車検場に行っても、運よく予約が入っていない時でもない限り、受検することはできません。
車検場の予約は国土交通省のホームページ上にある「自動車検査インターネット予約システム」から行います。車検は居住地に関わらずどこの車検場でも受けることができますので、都合のいい場所の車検場を選びましょう。
予備検査を受ける
本番の車検を受ける前に、一度近隣の民間検査場で「予備検査」を受けておくことをおすすめします。予備検査は義務ではありませんが、自分の車が車検に合格できる状態なのかを確かめるため、非常に有意義な検査といえます。
もし予備検査の段階でブレーキランプ切れなどの問題が見つかったなら、その場で整備を受けることができます。予備検査はほぼ本番の車検と同じ基準で検査されますので、ここで合格できれば、本番の車検にも合格できる確率は高いでしょう。
申請書などを受け取る
予約をとった陸運局に到着したら「自動車検査票」「自動車重量税納付書」「継続検査申請書」の配布を受けましょう。この時点で自動車重量税、検査手数料分の印紙を購入し、台紙に張り付けておきましょう。
車検を申請する
書類の準備が出来ましたら、ユーザー車検窓口に提出し、車検の申請を行います。書類に不備があればここで指摘されますので、修正の後再提出して下さい。
車検を実施
いよいよ車検本番です。検査レーンに車を進め、係員の指示に従って検査を進めます。
スリップ検査でハンドルを切る、ブレーキ検査で思い切り踏み込まないなど、ユーザーの操作により不合格となる場合があります。予備検査でも同じ動作を行えますので、前もって練習するとよいでしょう。
車検証の交付を受ける
全ての項目が合格となれば、新しい車検証と検査標章(ステッカー)が交付されます。もし不合格となった場合には「限定自動車検査証」の交付を受け、15日以内に再検査を受けましょう。
ユーザー車検の注意点
ユーザー車検を受ける際にいくつか注意したい点があります。
- 受付時間を確認する
車検場は平日のみ営業しており、車検の受付時間は陸運局によって異なりますが、おおむね16時頃までです。車検を申し込める時間は限られていますので、時間を逃さないように注意しましょう。
- 点検整備も忘れずに
代行業者に車検を依頼する際は、車検を通すのと同時に法定点検も行います。しかしユーザー車検は法定点検を受けないまま車検に出すことができるため、車検に合格した後、整備をしないまま乗り続けてしまうユーザーが少なくありません。
車検を受ける時期は、ちょうど法定点検の時期と重なります。車検の後になってしまったとしても、車の安全性を確保するためにも、ディーラーや整備工場で定期点検を受けておきましょう。
また少しでも不安があるのであれば、専門業者に依頼することをおすすめします。
賢い車検の選びのポイント
車検を代行する業者はいくつも種類があり、それぞれ特徴を持っています。自分の車とってどんな業者がいいかを考え、最適な業者を選択するようにしましょう。
綿密な点検整備はディーラー
メーカーと特約を結ぶ販売店であるディーラーは、他の代行業者に比べ非常に綿密な整備を行います。最新車種にも対応できるため、コンピューター制御されている車の点検もお手の物です。
車の状態を健全に保つためあらゆる検査を行い、不安な点は全て取り除いてくれる安心感があります。しかし綿密な整備を行う上、交換に使用されるパーツは高価な純正品のため、車検費用は他に比べて高額になりやすい一面もあります。
整備の質にこだわりたいなら、民間の自動車整備工場も選択肢の一つに入ります。最新車種に対応しにくいという弱点はありますが、整備の質は高く、費用はディーラーほど高額にはなりません。
土日対応スピード重視なら車検代行専門
平日に車検を依頼することが難しく、またすぐにでも車検を終わらせて欲しいという希望があるなら、車検代行専門業者がよいでしょう。
店舗内に車検を行える検査ラインを持っており、事前に予約をしておくことで、車検開始から1時間程度で全ての手続きを終わらせてくれます。
またある程度の点検・整備にも対応できるため、車がどんな状態なのかを確認することもできます。
安さならガソリンスタンド
とにかく安く車検を終わらせたいと思うユーザーは、ガソリンスタンドの車検代行を利用してみましょう。
最低限の点検と車検の代行のみ請け負うため、代行料金は非常に安価。中には1万円を切るような激安車検を売りにしているスタンドもあります。
車検場に持ち込んで車検を行うため即日対応は難しいですが、受付だけなら土日にも対応。日頃ガソリン給油で立ち寄るスタンドなら、気軽に車検を依頼することもできるでしょう。
しかし整備はほぼノータッチで車検を通すことのみ代行するため、車の状態を健全に保つため、定期点検は別の整備工場などに依頼しましょう。
他にも様々な専門業者があるので、比較をして自分の目的に合った専門業者で見積もりをすると良いかもしれません。
まとめ
近年では定期点検の重要性が上がり、車検証に整備工場のコードが記載されるようになりました。格安車検やユーザー車検で車検だけ通過させ、定期点検を行わないユーザーへの対応が目的とされています。
代行業者に依頼するよりも安く車検を行えるユーザー車検は、近年利用者が増加しています。また車検業者も様々な業態があり、それぞれ強みがことなります。定期点検の実施など安全に配慮しつつ、自分の車に一番合った車検を選択していきましょう。