車を保有する上で悩みの種となるのが、2年に1回(乗用車の場合)受けなければいけない車検です。1回につき5~10万円ほどかかります。無料にするのは不可能ですが、節約なら可能です。どこで節約できるのか、ポイントを紹介します。
車検の費用の内訳
車検の費用は、大きく分けて「法定費用」と「整備費用」の2種類があります。法定費用とは、自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料などで、どこの業者で車検を受けても同じです。
例えば自動車重量税は、車の重さや新車登録からの年数によって異なります。燃費基準を満たしているエコカーなら、初回の継続検査では自動車重量税が免税になり、2回目以降もお得です。表にすると、以下のとおりとなります (2020年3月現在)。
| エコカー | エコカー以外 | 13年超の エコカー以外 | 18年超の エコカー以外 |
軽自動車 | 5,000 | 6,600 | 8,200 | 8,800 |
0.5t以下 | 5,000 | 8,200 | 11,400 | 12,600 |
0.5t超1t以下 | 10,000 | 16,400 | 22,800 | 25,200 |
1t超1.5t以下 | 15,000 | 24,600 | 34,200 | 37,800 |
1.5t超2t以下 | 20,000 | 32,800 | 45,600 | 50,400 |
2t超2.5t以下 | 25,000 | 41,000 | 57,000 | 63,000 |
2.5t超3t以下 | 30,000 | 49,200 | 68,400 | 75,600 |
自賠責保険料は、次の車検まで24ヶ月加入した場合、自家用乗用車は25,830円(2020年4月以降は21,550円)、軽自動車は25,070円(同21,140円)です(沖縄県や離島を除く)。
検査手数料は、軽自動車が1,400円、小型自動車が1,700円、普通自動車が1,800円ですが、車検を受けるところによって異なります。条件を満たすことで、さらに数百円ほど安くなるかもしれません。
合計すると、最も安い軽自動車のエコカーでも31,470円、最も高い18年超の2.5t超3t以下の普通乗用車で103,230円です。
一方、整備費用は工賃や人件費、交換した部品代などで、業者によって差があります。ディーラーは次の車検まで故障しないような手厚い整備をするので高く、車検専門業者なら車検に合格する程度の整備しかしないので安くなるといった具合です。
また、車検専門業者は整備士や検査員の数を効率的に配置することで人件費を抑える工夫をしています。部品交換もディーラー以外は純正より安いリビルト品や代替品を使うので割安です。
このように業者の選び方次第で、数万円ほど車検代を節約できます。
究極の節約「ユーザー車検」とは?
そして究極に車検代を節約できるのが「ユーザー車検」です。通常は、車検に合格できるよう、業者が事前に点検・整備をして、車検を行います。地方運輸局長が指定した「指定工場」なら、その場で車検を受けることが可能です。
ユーザー車検では自ら点検・整備を行い、普通車なら運輸支局、軽自動車なら軽自動車検査協会に車を持ち込んで車検を受けます。かかるのは法定費用だけなので、業者に依頼するよりもはるかに割安です。
ただし、運輸支局も軽自動車検査協会も、開いているのは平日のみです。ユーザー車検関連の業務も8時45分から16時までと限られており、昼休みもあります。平日に仕事をしているなら、休みを取らなければいけません。
用意するのは車検証と自賠責保険証、納税証明書(OSSを導入していると不要な場合がある)、認印で、継続検査の申請書は運輸支局や軽自動車検査協会に用意されています。
さらに「24ヶ月定期点検整備記録簿」があれば、車検でチェックされるところを点検・整備できます。運輸支局や軽自動車検査協会で販売されていますし、インターネット上からもダウンロード可能です。車検時に運輸支局や軽自動車検査協会に提出するのが原則ですが、「後整備」といって車検に合格してから点検・整備を行える地域もあります。
いずれにしても、車が基準を満たしていなければ不合格です。自信が無いなら、テスター屋という車検と同様のテストを行ってくれる工場で試してから受けると良いでしょう。不備があれば調整してくれるところもあります。
費用は1,000~6,000円くらいです。ユーザー車検を受けるドライバーが利用しやすいように、運輸支局や軽自動車検査協会の周辺にあります。
不合格になっても、当日なら再検査にかかる費用は2回まで無料です。15日以内に再検査を受けるのであれば、「限定自動車検査証」の発行で手数料が割安になるだけでなく、公道も走れます。
自分で点検・整備するのに不安があれば、整備工場に依頼すると引き受けてくれるでしょう。費用は2~5万円くらいが相場で、部品の交換が発生するとさらに高くなります。車検まで依頼するのと、あまり変わらないかもしれません。
また、自分で点検・整備するのは車の知識が必要です。うっかり不具合を見逃すと車検後に故障して、結局は高額な修理代がかかってしまいます。不具合の時点で部品を交換するほうが安上がりです。ユーザー車検を行う際は、節約するだけでなく安全も重視しましょう。
業者の車検で節約するポイント
業者に車検を依頼するときは、単に安いところを選ぶと、十分な整備やサービスを受けられないなど、自分の希望にそぐわないかもしれません。そこで、事前に見積もりを取るのがおすすめです。ほかの業者と比較できるだけでなく、何にどれくらいかかるか分かるようになります。
ほとんどの業者で見積もりを取るのは無料です。インターネット上から申し込めるところもありますが、実際に車を持ち運んで見てもらうと、より具体的な料金を割り出してくれます。必要になるのは車検証です。定期点検簿もあると履歴が分かるので、無駄な点検・整備を防ぎやすくなります。
ディーラーの中には、事前に無料点検を実施して車検にかかる費用を見積もってくれるところがあるので、案内が来たら積極的に利用したいところです。できれば3つ以上の業者から見積もりを取ると良いでしょう。
見積もりが揃ったら、最も自分の希望に合った業者を本命として、交渉を進めます。ほかの業者を引き合いに出して値引きしてもらうのはもちろん、不要と思われる部品の交換やサービスがあれば断りましょう。不明な項目も、分からないままにしてはいけません。
どうしても部品の交換が必要であれば、自分で安価なものを用意することで費用を抑えられます。また、オイル類の補充や消耗品の交換は、自分で行えるなら断れるでしょう。
ただし、ユーザー車検と同じく、費用を抑えるために必要な部品の交換やサービスまで省略するのは、隠れた不具合を見逃すかもしれません。
初めての継続検査であれば、そのような不具合は少ないですから、最低限の点検・整備だけで車検を済ませても良いでしょう。普段からこまめに点検・整備している場合も同じことがいえます。逆に古い車だったり、点検・整備する習慣が無かったりするほど、車検と一緒に手厚い点検・整備を受けたほうが無難です。
ほかにも、多くの業者ではさまざまな割引を利用できます。例えば早期予約による割引です。車検は有効期限の1ヶ月前から受けると、次の有効期限が前倒しになりません。指定工場であれば、さらに15日前から有効期限を前倒しせずに車検を受けられます。
そのため、多くの業者は有効期限の2~3ヶ月前から予約を受け付けており、早く申し込むほど数千円ほどの割引です。業者にとっても利用者を分散できるというメリットがあります。同じ理由で、平日割引を実施している業者も少なくありません。
インターネット上から申し込んだり、代車を必要としなかったり、同じ業者を繰り返し利用したりするのも、業者にとっては手間を省けるので割引になります。
これらを上手に活用すると、トータルで数千円から数万円ほどの節約になるでしょう。
車検自体を無料にすることはできませんが、自身の車の状態などを把握しておくと節約することはできます。そのためにも専門の業者をピックアップしておきましょう。
まとめ
車検では法定費用以外の整備費用を節約できます。自分で点検・整備してユーザー車検を受ければ無料になりますし、業者に依頼する場合でも交渉次第で値引きできたり、条件を満たせば割り引かれたりするでしょう。