車を買取業者へ売却するときは、いくつかの書類が必要になります。買取業者からも指示されますが、事前に用意しておくと、スムーズに売却の手続きができるでしょう。どのような書類が必要になるのか紹介します。
車買取に必須な書類
車を売却すると所有者が買取業者に変わるため、名義変更の手続きをしなければいけません。売却するときに用意する書類は、名義変更の手続きで必要になります。
まずは車検証の原本です。道路運送車両法の第66条第1項 では、運行中に必ず備え付けるよう義務付けられています。グローブボックスなどに入っているかもしれません。
次に自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)の原本です。これも自動車損害賠償保障法の第8条 によって、運行中に搭載するよう義務付けられています。車検証とセットになって保管されているはずです。
それから自動車税納税証明書も必要になります。近年はワン・ストップ・サービス(OSS)の導入により、一部の地域を除いて自動車税納税証明書が無くても名義変更の手続きは可能です。ただし、自動車税を滞納していると名義変更できないので、過去の分も含めて滞納が無いことを証明できる自動車税納税証明書を用意しなければいけません。
リサイクル券も必要です。2005年1月以降に新車登録された車なら発行されています。それ以前の車は無くても売却は可能です。廃車時の費用は最後の持ち主が負担する仕組みになっています。
普通自動車の場合は、実印とその印鑑証明書も用意しなければいけません。印鑑証明書は市区町村役場の窓口で交付されており、3ヶ月以内のものが有効です。実印が無ければ、手持ちの印鑑(ゴム印など登録できないものは除く)を登録して実印にできます。
実印は、元の持ち主から新しい持ち主へ譲渡することを証明する「譲渡証明書」や、本人に代わって名義変更の手続きを委任するための「委任状」に押印するために必要です。
普通自動車と軽自動車の書類の違い
軽自動車を売却するときも名義変更の手続きは必要になりますが、用意する書類は一部異なります。車検証や自賠責保険証、リサイクル券は軽自動車も必要です。
納税証明書は、軽自動車税の納税証明書になります。また、印鑑は認印でも名義変更は可能であり、実印を使ったとしても印鑑証明書は不要です。窓口に提出する「自動車検査証記入申請書」に押印します。ただし、車検証の所有者と使用者が異なる場合は、使用者の認印も必要です。
委任状は、手続きを業者に委任する場合でも不要ですが、買い取った車を廃車にして、自動車重量税の還付金が発生するなら、委任状が無いと業者は代理で受け取れません。そこまで委任したい場合は、業者が用意した委任状に認印を押印しましょう。
状況に応じて必要になる書類
車検証の記載内容によっては、別の書類が必要になります。例えば車検証の住所と現住所が異なる場合です。現住所に変更するための書類を用意しなければいけません。その証明となるのが「住民票」です。市区町村役場の窓口で発行できます。
もし、2回住所が変わっている場合は、住民票の除票も必要です。除票には現在の住民票の1つ前の情報と異動年月日が記載されています。これで2つ前の住所を確認できるわけです。
また、結婚などで苗字が変わっている場合は戸籍謄本や抄本で証明できます。同じく発行できるのは市区町村役場の窓口です。
本来、車検証の記載内容に変更があったときは、その事実が発生してから15日以内に手続きをしなければいけないと、道路運送車両法の第12条第1項 で定められています。違反すると50万円以下の罰金が科せられるかもしれません(同第108条 )。車を売却するときに気づくのではなく、その事実が発生したとき、速やかに手続きしましょう。
もう1つ、車をローンで購入していると、所有者の欄がディーラーやローン会社になっている場合があります。所有権留保といって、万が一ローンの返済が滞ったときに所有権を主張できるものです。ローンを完済しても、所有者の名義は手続きをしないと変わりません。そのための書類も必要になります。
まずはローンの残額を完済して、所有者に所有権の留保を解除するよう依頼しましょう。提出する書類を指示されるので用意して送ります。一般的にはローンの完済証明書や車検証の写し、実印を押印した所有権解除依頼書(または委任状)、印鑑証明書などが必要ですが、あらかじめ問い合わせたほうが無難です。
手続きが終わると、名義変更に必要な譲渡証明書や委任状と、押印された印鑑(実印や社印など)の証明書が送られてきます(軽自動車は、自動車検査証記入申請書か申請依頼書)。
あとは、手持ちの車検証や自賠責保険証、納税証明書、リサイクル券と一緒に買取業者へ渡して完了です。直接、ディーラーやローン会社から買取業者へ名義変更することになります。
必要書類を紛失してしまった場合
万が一、買取業者に提出する必要書類を紛失していた場合は、再発行しなければいけません。それぞれに申請する窓口が異なります。
車検証を再発行できるのは運輸支局です(軽自動車は軽自動車検査協会)。身分証明書と印鑑を持参して、申請書と理由書を提出します。再発行にかかる費用は300円です。軽自動車は印鑑を持参して申請書を提出します。同じく再発行にかかる費用は300円です。
どちらもその場で再発行されるため、時間はかかりません。ただし、窓口が開いているのは平日の日中だけです。
自賠責保険証は、発行した保険会社の営業所で再発行できます。代理店ではできないので注意しましょう。持参するのは身分証明書と印鑑です。再発行されるまでには1~3週間ほどかかります。こちらも手続きできるのは平日の日中のみという保険会社がほとんどです。
自動車税の納税証明書は、都道府県の税事務所で再発行できます。運輸支局の中にも税事務所があるので、再発行が可能です。軽自動車税は、市区町村役場の窓口になります。持参するものは都道府県や市区町村によって異なりますが、印鑑と車検証は必ず持参したほうが良いでしょう。窓口ならその場で再発行されます。
あくまでも納税時の住所を管轄するところになるので、その後に別の都道府県や市区町村に転居している場合は、わざわざ出向かなければいけません。郵送での依頼も可能ですが、手元に届くまで1週間ほどかかります。
リサイクル券は紛失しても再発行できません。ただし、自動車リサイクルシステムのWebサイトで預託状況の確認が可能です。印刷すればリサイクル券として代用できます。
車買取で必要な手続き
必要な書類を買取業者に渡したら、用意された譲渡証明書(軽自動車は自動車検査証記入申請書)や委任状に記入・押印して、名義変更に関する手続きは完了です。運輸支局や軽自動車検査協会での申請は、業者が代わりに行ってくれます。
それ以外では、売買に伴う契約書の締結や売却代金を振り込んでもらう口座の情報を知らせる手続きがあります。こちらは印鑑や通帳、キャッシュカードを用意しましょう。
まとめ
車の買取を依頼するときは、名義変更の手続きで必要となる書類を用意しなければいけません。そのときになって慌てないように、紛失した場合は再発行しましょう。手元に揃っていれば、発行が必要なのは実印の印鑑証明書だけになります(普通自動車のみ)。
このように、車の買取は査定以外にもやり取りしなければいけないことが多いので、親切で丁寧な対応をしてくれる買取業者に依頼したいものです。比較するなら、廃車買取業者ランキングページが参考になるでしょう。