限定解除は難しい?準中型免許限定解除までにかかる費用や手順

自動車の運転免許には、免許を保有している人のみが受けることが出来る限定解除審査というものがあります。すでに免許を持っている人を対象とした限定解除審査ですが、ひと口に「限定解除」といっても、どの免許の限定条件を解除するのかは持っている免許の内容によって違いがあります。
限定解除審査の対象となり、限定条件がある免許は6種類あります。例えば、中型自動車(8トン)限定免許の限定解除審査や、準中型自動車(5トン)限定免許の限定解除審査もあります。

限定解除の審査は、免許を持っていない人のスタートに比べると、免許取得までの工程が少なく比較的簡単に取ることができるというメリットも存在します。
そこで今回は、準中型自動車免許に着目した限定解除の方法や限定解除にかかる費用について紹介します。

運転免許の限定解除ってどういう意味?

限定解除とは条件つきの限定免許を持っている人が、解除審査を受けて合格すると条件を外すことのできる免許取得方法です。
普通自動車運転免許は取得した時期によって車両総重量3.5トン未満まで、5トン未満まで、8トン未満まで、と3種類の条件がついたものが存在します。免許を取得した方法に違いはないのに、なぜこのような分類ができてしまったのでしょうか。

それは、免許を取得した時期と同じくして免許の種類が増えたからです。2006年までは普通自動車免許と大型自動車免許の2種のみでしたが、2007年6月1日の法令改正で中型自動車免許が導入され免許区分が分かれると、改正前までは普通自動車運転免許で運転することが出来た中型車の運転に中型自動車免許の取得が必要となりました。ただし、法令改正前に普通自動車免許をすでに取得していた人の免許は中型(8トン)限定免許となり、車両総重量8トンまでの中型車であれば運転が認められています。
その後、2017年に準中型自動車免許が導入されたことで、さらに免許区分は細分化され、法令改正後の普通自動車運転免許の運転は車両総重量3.5トンまで乗用車となり、改正法施行前で2007年6月から2017年3月11日までに普通自動車運転免許を取得していた人の免許は準中型(5トン)限定免許となり車両総重量5トンまで車の限定免許になっています。

中型自動車(8トン)限定免許は限定解除審査を受けて合格すると、中型自動車免許となり車両総重量8トンまでの限定条件がとれて11トン車までの運転が可能になり、準中型自動車(5トン)限定免許の限定解除審査に合格すると準中型自動車免許となり7.5トン車までの車の運転ができるようになります。一般的な受験方法で、中型自動車免許または準中型自動車免許を取得するよりは、限定免許を持っている人が限定解除審査を受ける手順の方が短くなるため、一から取得するよりも時間と料金を抑えることが可能です。

準中型の限定解除対象者はごく一部

準中型自動車免許の限定解除審査の対象となる限定免許をもっている人は、中型自動車免許が導入された2007年から、準中型自動車免許が加わる2016年までに普通自動車免許を取得した人となります。
つまりたった10年間のうちに普通自動車免許を取得した人が対象であり、ごく一部の人だけであることが分かるでしょう。この10年間に普通自動車免許を取得した人は準中型自動車5トン限定免許となり、車両総重量が5トンで最大積載量3トン未満の車であれば運転することができます。

準中型免許制定の影響を受けた2トントラックドライバー

2017年以降新しく普通自動車免許を取得した人は、車両総重量3.4トン最大積載量2トンまでの車両しか乗ることができません。この運転できる車の範囲が狭まった影響が大きいのです。最大積載量2トン未満ということは2トン車に乗ることができないということになります。実は2トン車で需要の多い車が、多くの運送業者で使用されている2トントラックです。特に大手の引っ越し業者や宅配業者をはじめ、会社で商品を配送する場合にも商用の2トントラック車を使っているところが多く、需要が多い車となっています。この法令改正により、それらの2トン車トラックが普通自動車運転免許では運転できなくなり、それまでは普通自動車免許があれば就くことが出来たドライバーの仕事に今後就こうと考える人にとって、準中型免許取得が必須となったのです

今後も新しい免許区分が新設される可能性は大いにある

ここ10年ほどで「中型自動車免許」と「準中型自動車免許」が新たに新設されました。それと同時に、普通自動車免許で運転できる車の範囲が狭くなったといえます。そして新しい免許は次にいつできるか分からないという現実もあります。今よりももっと細かい運転免許区分ができるかもしれません。また、ハイブリッドカーや電気自動車が普及するにつれ、ガソリン限定免許や電気自動車限定免許などができる可能性は十分にあります。今は限定免許でない方も、将来新しい免許区分ができることにより限定解除を必要とすることもあるでしょう。

そうなったときのために、そもそも限定免許とは何か、限定解除はどうすればいいのかを知っておく必要があるのではないでしょうか。

準中型自動車5トン限定免許の限定解除は難しい?

限定解除で運転できるトラック

準中型5トン限定免許をもつ人が、限定解除審査を受けて準中型免許を取得する方法は2つあります。

1、教習所で技能講習を受け技能審査に合格

2、教習所に通わず運転免許試験場に出向き試験を受け合格

どちらも合格後、運転免許試験場で限定解除交付の手続きが必要になります。この限定解除の二つの方法において、難しい方法はどちらかというと「2」の教習所に通わず一発で試験に合格する方法です。
運転免許試験場での直接審査の場合に受ける準中型免許の技能審査は、試験管が見ているのは運転の上手さだけではありません。車の乗り込み時や交差点での安全確認など、試験に合格するための要点を抑えてなければいけないのです。試験は減点方式のため、いくら運転がうまくてもその部分で減点され、落ちてしまいます。教習所に通う時間がない方などは直接審査を受けに行くことが多いと思いますが、試験を受けて一度で合格できる方もいますが、全員が合格できる試験というわけではないのです。

準中型5トン自動車限定免許を限定解除するまでの流れ

では教習所に通い、準中型自動車5トン限定免許の限定解除をする流れをご紹介していきます。

・指定自動車教習所に入校

・技能教習を受ける(普通MT:4時間/普通AT:8時間)

・卒業試験

・免許試験場で適性試験(視力検査など)

・限定解除交付手続き

このような流れとなっています。技能教習は準中型自動車5トン限定MT免許なら4時間ですが、準中型自動車5トン限定AT車免許の場合は、AT限定も限定解除する必要があるので合計8時間の技能教習が必要です。
つまり4時間または8時間の技能教習と卒業試験を受けて合格するだけで限定解除が出来て、準中型免許取得できると捉えることができます。

それに対し、限定解除ではなく普通自動車運転免許所有者の方が準中型免許を取得しようとした場合、

・普通自動車MT免許・・・学科1時間+実技13時間

・普通自動車AT限定免許・・・学科1時間+実技17時間

これほどの時間がかかります。限定解除であれば、学科と実技9時間分の免除が受けられると覚えておきましょう。通勤しながら教習場に通うのはとても大変です。しかし限定解除であれば最短3日で取得することが可能なので、社会人にとっても比較的取りやすいのではないでしょうか。

準中型自動車5トン限定免許を限定解除するためにかかる費用は

準中型自動車5トン限定免許の限定解除をするために、自動車教習所を利用した場合にかかる費用は、

・準中型自動車5トン限定MT免許・・・7~9万円前後

・準中型自動車5トン限定AT限定免許・・・8~10万円程度

となっています。一発試験に比べると教習所を利用すると少し費用はかかるものの、普通自動車免許の取得に比べるとかなり安い金額であるといえるでしょう。
運転免許は一度とってしまえば、免許取り消しやうっかり失効しない限り、一生使うことが出来る国家資格です。そう考えるとそんなに高い費用ではなく、必要であれば積極的に取得しておくべきだといえるのではないでしょうか。

限定解除ではなく、普通自動車免許を保有する方が一般的に教習所で準中型免許を取得しようと思った場合にかかる費用も、比較のためにご紹介しておきます。

・普通自動車MT免許・・・14万~16万円程度

・普通自動車AT限定免許・・・16万~18万円程度

限定解除の2倍ほどの費用が必要となることが分かります。自動車教習所によっては学生割引などもあるため、もう少し安く取得することはできるものの、限定解除に比べると高いことに変わりありません。
これらを見れば、いかに限定解除の取得が時間的にも金額的にも優遇されているのか理解できます。もし将来的に仕事等でも利用する可能性がある方で準中型限定免許を持っていて限定解除を迷っているのであれば、積極的に取得することをオススメします。

まとめ

法令改正によって新しい免許区分ができた際にそれまでに免許を取得していて限定免許となった方にとっては、限定解除の審査は優遇されている取得方法ではないでしょうか。現行の普通自動車免許では運転できない大きさの車でも運転することができるため、仕事や就職時にも強い免許といえるでしょう。また、限定解除審査は通常の自動車免許の試験と比べても、時間でいえば学科1時間+実技9時間、料金では約半分の費用で取得ができる可能性がありお得ともいえます

運送業で働いている方や今後就職する可能性がある方なら、大きなトラックを運転できるにこしたことはありません。準中型限定免許のままなら5トン車までとなりますが、限定解除し準中型免許になれば運転できる範囲が車両総重量7.5トン車まで広がります。転職や就職の際の資格欄に準中型免許があれば有利になるなど、限定解除をしようか悩んでいる方は、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。