ドライバーにとって、自動車を販売するディーラーとは、車を購入したときから整備や点検、修理など長い付き合いになります。その流れで廃車も依頼したくなりますが、本当にそれで良いのでしょうか。得する廃車の方法を紹介します。
廃車をディーラーに依頼するとどうなる？
廃車をディーラーに依頼するとどんな流れで手続きが行われるのでしょうか。
ディーラーに廃車の依頼を申し込む
ディーラーに廃車を依頼すると、車を引き取る日を決めます。同時にディーラーから必要な書類を準備するよう指示されるので、その日まで用意しなければいけません。車検証、納税証明書、リサイクル券、実印と印鑑証明書（軽自動車は認印）です。ディーラーに廃車の手続きをしてもらうための譲渡証明書や委任状にも記入しなければいけません。
ディーラーに廃車を引き渡す
車が自走できればドライバー自ら持ち込み、そうでなければレッカー車や積載車でディーラーまで運びます。ディーラーに引き取られた車は、解体されるのが一般的です。自社で解体する工場が無ければ、業者に依頼した後、運輸支局（軽自動車は軽自動車検査協会）で廃車の手続きを行います。いわゆる「永久抹消登録」です。車の状態が良ければ「一時抹消登録」をした上で、自社で中古車として再販する場合もありますが、それほど多くありません。
ディーラーで購入した車の引取りが基本
基本的にディーラーが廃車を引き受けるのは、自店で購入した車に限られます。他店で購入したり、別のメーカーの車だったりすると、断られる可能性が高いでしょう。ただし、例外もあります。特に高級車や人気のある車は、なかなか値引き交渉に応じてくれません。簡単に値引きするとブランドの価値が下がってしまうからです。下取りであれば、あくまでもそれまで乗っていた車の評価額という名目で値引きしますから、ブランドの価値は損なわれません。そのため、車の状態によっては一般的な中古車買取専門店よりも、高値がつく場合があります。例えば年式が古かったり、走行距離が多かったりするなど、買い手が見つかりにくい車です。
ただし、実際は新車の値引き可能な額が上乗せされているだけですから、本当の評価額ではありません。また、中古車買取専門店に売却するのと違って、下取りは新車の値引きに使われるだけなので、現金で受け取るのは不可能です。車として使えない水没車や不動車などば下取りを断られるかもしれません。
ディーラーに廃車を下取りしてもらうメリット
ディーラーに廃車を下取りしてもらうことで起こるメリットとはなんでしょうか。
乗り換えなら値引きが発生
ディーラーで下取りに出し、同店で乗り換えの車を新たに購入する場合は廃車ではなく「下取り」という形で車を引き取ります。下取りでは、車の状態に応じて新車の価格から値引きされます。車種によっては、交渉するよりも下取りのほうが値引き額が大きくなるケースもあるほどです。
廃車と納車のタイミングを合わせることが出来る
廃車をディーラーに下取りしてもらうメリットは、もう一つあります。廃車と新車の購入が1ヶ所で完了するところです。新車を購入しても、実際に納車されるまでは日数がかかります。廃車と新車の購入を別々にすると、数日間は車の無い生活を送らなければいけないかもしれません。両方ともディーラーで行えば、納車のタイミングで廃車を引き取ってくれます。わざわざ店舗まで出向かなくても、自宅まで届けて引き取ってもらうことも可能です。
廃車手続きと新車登録手続きどちらも任せてOK
手続きにおいても一人の担当者が行ってくれるので、ドライバーの負担が少なくなります。特にディーラーでローンを組んでいると、車検証の所有者がディーラーの名義になっているため、手続きに必要な実印や印鑑証明はディーラーが持っています。譲渡証明書や委任状は不要です。廃車が別の業者になると、ローンを完済した上でディーラーに所有権留保を解除してもらう手間がかかります。ディーラーに一任すれば、手続きを簡単に済ませられるわけです。残っているローンも、新しい車の分と合算した借り換えで対応できる場合があります。
ディーラーが廃車する時のデメリット
ディーラーに廃車してもらうとあり得るデメリットとはなんでしょうか。
廃車引取時の実費など負担が発生
先述のとおり、ディーラーではドライバーの代わりに廃車するだけで、引き取った車を再販して利益を出す手段は、ほとんどありません。廃車にかかった費用は、そのままドライバーに請求されます。例えば永久抹消登録の場合、車を解体する費用は大きさにもよりますが1～2万円程度が相場です。リサイクル料金は新車購入時に支払っているものですが、中古車など未払いの場合は解体時に請求されます。おおよそ7千円～2万円です。もし車が自走できなければレッカー車や積載車で運ばなければいけなくなり、距離に応じて1～2万円ほどかかります。
運輸支局（または軽自動車検査協会）での手続きに費用はかかりませんが、「代行手数料」という名目で請求されるかもしれません。ディーラーによって異なりますが、1万円から3万円くらいが目安です。特に自社経由で行政書士に代行してもらうと高くなります。つまり最大で9万円以上かかる可能性があるわけです。解体や車を運ぶ費用は自分で廃車してもかかるものなので、手数料を支払って代行してもらうと思えば、極端に高いとは感じないでしょう。運輸支局も軽自動車検査協会も平日の日中しか受け付けていませんし、近くにあるとも限りません。代行してくれるのは、仕事で時間が取れないドライバーにとって大助かりです。さらに下取りだったり、ディーラーとの付き合いが長かったりすれば、これらの費用が無料になったり、割り引かれたりするかもしれません。
還付金について確認しておく
ただし、ディーラーの中には廃車の還付金を自社で受け取る代わりに、無料や割引にするところもあります。還付金とは、自動車税（軽自動車は除く）、自動車重量税（一時抹消登録は除く）、自賠責保険料です。廃車後に手続きをすれば、残月数に応じて還付されます。廃車を依頼するときは、還付金がどのような扱いになるのか確認しましょう。
ディーラーより得する？廃車の方法
ディーラーに廃車を依頼するよりお得な廃車の方法があります。
廃車費用がかからない買取業者が存在する
廃車は費用がかかるものと思われがちですが、廃車を専門とする買取業者であれば無料になるのが一般的です。解体費はもちろん、車が自走できなくてもレッカー代は無料になります。還付金もドライバーが受け取れるよう手続きしてくれるのがほとんどです。さらに、ディーラーや一般的な中古車の買取店では0円にしかならない車でも、値がつく可能性があります。
そのような対応ができるのは、利益を出せる方法がいくつもあるからです。一般的な中古車の買取店では、店頭で販売したり、オークションで流通させたりして利益を出します。あまりにも年式が古かったり、走行距離が多かったり、不具合があったりする車は、買い手が見つからない恐れがあるので、買取価格も低くなりがちです。一方で、廃車買取業者は海外に販路を持っていることが多く、そのようなところでは年式が古くても走行距離が多くても不具合があっても、走りさえすれば気にしません。特に日本車は、車検のおかげで一定の品質を保っているため人気があります。
たとえ車として使えなくても、スクラップを売却すれば利益になりますし、パーツを再利用して販売することも可能です。さらに自社で解体工場を持って、経費を削減している廃車買取業者もあります。車を買い替えるのではなく、一般的な中古車の買取店では値がつかない車を廃車にするなら、廃車買取業者に依頼するほうが、費用がかからず、お得になるかもしれません。
まとめ
ディーラーに廃車を依頼すると、諸費用や代行手数料を請求されてしまうのがデメリットです。同時に新車を購入するのであれば、下取りという扱いになって、値引き額に反映されます。そうでなければ、廃車買取業者に依頼するほうが良いでしょう。廃車にするなら実績があって信頼できる業者に依頼するのがおすすめです。こちらの廃車買取業者ランキングページもご覧ください
