3年ぶりとなるラニーニャ現象が発生!ラニーニャ現象が及ぼす影響とは?

ラニーニャ現象をご存じでしょうか?あまり聞きなれない方も多いかもしれません。ラニーニャ現象とは、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象のことを指します。それとは逆で、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年よりも高くなり、その状態が1年程度続く現象のことをエルニーニョ現象といいます。

気象庁は2020年9月、世界中で異常気象をもたらすとされる「ラニーニャ現象」が発生したとみられることを発表しました。最近では、2017年秋から2018年春にラニーニャ現象が発生しており、その影響により日本国内では福井県内で2018年2月に記録的となる大雪の要因のひとつとなりました。今回のラニーニャ現象の発生はおよそ3年ぶりの発生となります。

こちらの記事では、ラニーニャ現象とあわせてエルニーニョ現象についても詳しくご説明したいと思います。ラニーニャ現象の発生により今後の天候に大きく影響する可能性が考えられます。こちらの記事をぜひ参考にしてみてください。

ラニーニャ現象とエルニーニョ現象

ラニーニャ現象とエルニーニョ現象は、日本を含める世界中の異常な天候の要因となり得るとされている自然現象です。これらの現象が発生した際には、世界中のあちこちで異常気象が発生している実態もあり、発生時には世界各国が強い警戒が示されています。まずはじめに、ラニーニャ現象とエルニーニョ現象について詳しくご説明いたします。

ラニーニャ現象

ラニーニャ現象とは、東太平洋の赤道付近で海水温が低下する現象のことです。ラニーニャ現象が発生しているときには、東風が平常時よりも強くなり、西部に暖かい海水がより厚く蓄積する一方、東部では冷たい水の湧き上がるが平常時より強くなります。このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が平常時よりも低くなっています。ラニーニャ現象発生時は、インドネシア近海やフィリピン周辺の海上では積乱雲がいっそ盛んに発生します。日本では冬にかけて続く可能性が高く、北陸地方の諸島は雨や雪が多い傾向にあります。ラニーニャ現象は、異常気象の原因となり地球規模での自然現象です。

エルニーニョ現象

エルニーニョ現象とは、中部・東部太平洋の赤道付近において海水温が1年以上にわたって上昇する現象のことです。エルニーニョ現象が発生しているときには、東風が平常時よりも弱くなり、西武に溜まっていた暖かい海水が東方へ広がるとともに、東部では冷たい水の湧き上がりが弱まっています。このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が平常時よりも高くなっています。エルニーニョ現象発生時には、積乱雲が盛んに発生する海域が平常時より東へ移ります。エルニーニョ現象も、異常気象の原因となり地球規模での自然現象です。

ラニーニャ現象発生時の天候

気象

ラニーニャ現象の発生は世界中の天候に影響を及ぼし、日本の天候にもさまざまな影響を及ぼします。ラニーニャ現象が発生した場合の日本の天候の特徴について、夏季と冬季にわけてご説明いたします。ラニーニャ現象が発生したことが発表された場合は、天候情報を確認するようにしましょう。

ラニーニャ現象発生時の夏季の天候

ラニーニャ現象が発生した場合、日本付近では夏の気温が高くなり猛暑となる傾向があります。ラニーニャ現象が発生すると西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が活発となります。そのため、日本付近では夏には太平洋高気圧が北に張り出しやすくなることが原因とされています。沖縄や奄美地方では、南から湿った桐生の影響を受けやすくなり、降水量が多くなる傾向もあります。

ラニーニャ現象発生時の冬季の天候

ラニーニャ現象が発生した場合、日本付近では冬の気温が低くなる傾向があります。ラニーニャ現象が発生するとペルー沖の海面水温が低下し続け、フィリピン付近を中心とした海面水温は平年よりも高くなります。それに伴い、雲を多く発生させ強い上昇気流が発生するのです。上昇気流が冬の高気圧を強めることから、寒気が流れやすくなります。場合によっては、厳しい寒さとなり大雪に見舞われる地域もあるでしょう。

エルニーニョ監視速報

寒波

2020年10月9日、気象庁が「エルニーニョ監視速報」を発表しました。この発表によると2020年夏からラニーニャ現象が発生しているとみられ、今後冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性があるとのことです。今回発表されたエルニーニョ監視速報について詳しくご説明いたします。

エルニーニョ・ラニーニャ現象の実況(2020年9月)

2020年9月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い値で、基準値との差はマイナス1.1℃、ラニーニャ現象発生の阪大委に使用している5カ月移動平均値は7月の値はマイナス0.7℃でした。太平洋赤道域の海面水温は中部から東部にかけて平年より低く、西部で平年より高くなっています。海洋表層の水温は中部から東部にかけて平年より低く、西部では平年より高くなっています。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年よりも不活発で、中部の大気下層の東風は平年より強くなっています。このような海洋と大気の状態はラニーニャ現象の特徴を示しており、夏からすでにラニーニャ現象が発生していたとみられます。

今後の天候予想

今後の天候予想としては、太平洋赤道域の中部から東部に見られる海洋表層の冷水が今後冬にかけて維持され、東部の海面水温が平年より低い状態が継続することが予想されます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が今後冬にかけて基準値より低い値で推移すると予測されており、今後冬にかけてラニーニャ現象が続く可能性が非常に高いとしています。今年の冬は寒さが一段と強まる可能性が高くなっています。

前回ラニーニャ現象が発生したときの天候

前回にラニーニャ現象が発生したのは、2017年の秋から2018年の春にかけてです。そのときの天候の特徴としては、10月には西・東日本で記録的な雨が多くなり、10月下旬には大型で非常に強い台風が関東地方に近づきました。その後、11月に入ると一気に気温が下がり11月の間に4回もの強い寒気が流れ込んできました。前回の天候を振り返ると、ラニーニャ現象の発生により今年も11月あたりから気温が急に下がり寒気の影響を受けやすくなることが予想されています。

まとめ

こちらでは、ラニーニャ現象やエルニーニョ現象などの自然現象について詳しくご説明いたしました。いかがでしたでしょうか?近年、世界各国でさまざまな異常気象や自然災害が起こっています。異常気象の原因ともなり得るラニーニャ現象が3年ぶりに発生し、今後冬にかけて日本の天候にも大きく影響を及ぼすことが予想されています。今年の冬は、昨年とは違い暖冬ではなくなりそうです。ラニーニャ現象が発生したからといって大雪になると断言できるものではありませんが、寒気が流れ込みやすくなりますので天候には十分な注意が必要です。天気予報などをこまめにチェックするようにしましょう。また、豪雪地域の方などでクルマに乗る方は、運転には十分にお気を付けください。