スペアキーを無くした場合の査定への影響

車を買取に出す際には、付属品を全てセットで渡すことで高査定が期待できます。しかし付属品のひとつであるスペアキーを無くしてしまった場合、査定にはどんな影響があるのでしょうか。今回はスペアキーを無くした場合の査定への影響について紹介します。

スペアキーを紛失していても買取できる

車を購入した際、キーはメインとスペアの2本の鍵が渡されることが一般的です。このスペアキーを紛失してしまった場合、車を買取してもらうことはできるのでしょうか。

スペアキーがなくても買取可能

スペアキーの紛失は査定のマイナス評価につながることはありますが、買取できない理由になることはありません

ほとんどのオーナーは、車を運転する際にメインキーのみしか使用しません。スペアキーを使う機会はほとんど無く、車を購入してから買取に出すまで、一度も触れなかったということも珍しくありません。 それくらい普段気にしない存在であるため、いつの間にか無くしていても気がつかなかったというオーナーも多く、車買取の際にスペアキーがないということはよくある話です。

JAAIの査定基準では約2万円の減額

スペアキーはあまり重視されない付属品ではありますが、それでも紛失するとマイナス査定の要因にはなってしまいます。

中古車の査定に関する基準を定めている「一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)」が公表している査定基準では、スペアキーの紛失について以下の様に定めています。

減点の
区分・細則
減点
キーシリンダセット 1台分
リモコンキー 1個
キーレスシステム 1個

引用:一般財団法人 日本自動車査定協会 中古自動車査定基準及び細則〔Ⅰ〕

リモコンキーを紛失した場合、20点の減点となります。減点1点あたり約1,000円程度の減額とされており、キーの紛失は2万円程度の査定ダウンの影響があると見られています。

現場では大きな問題としていない

しかし、実際の買取現場においては、スペアキーの有無はそれほど重視されていません。

日本の中古車市場において、スペアキーが無いということは車の売れ行きに大きな影響がありません。前述の通り1本の鍵があれば十分使用できるため、購入する側もそれほど重視していないというのが現状です。 そのためスペアキーが無くても大きな減額にはならず、ましてやスペアキーが無いことを理由に、買取を断られることはまずありません。

JAAIの基準である2万円はあくまで参考数値であるため、キーが無いことに対する減額は現場の判断が優先されています。鍵の種類や車種によっては、2万円よりも安い減額で済むことも珍しくありません。

スペアキーの種類によって減額幅が異なる

紛失しても大きな影響がないとされるスペアキーですが、鍵の種類によって査定額への影響は変化します。

シンプルなキーなら大きな減額にはならない

特殊な機能がついていないキーである場合、大きな減額にはならずに済むでしょう。複製が簡単なキーであるなら、減額幅が小さいか、もしくは全く減額されないこともあります。

イモビライザー付きキーはやや大きめの減額

現在販売されている車のキーの多くには、防犯装置である「イモビライザー」が装着されています。

イモビライザーはキーの頭部についているICチップが車両本体に登録されたIDと照合を行い、一致したときだけエンジンがかかる仕組みになっています。そのためギザギザのついたキー部分だけを複製しても、エンジンをかけることはできません。

イモビライザー付きのキーは簡単に複製することができません。鍵本体の原価はそれほど高くありませんが、ディーラーでICチップに車両のIDを登録する作業が行われるため、複製費用が高めに設定されています。 そのため、イモビライザー付きキーを紛失した場合は、査定額にそれなりの影響があります。

スマートキーは大幅減額

近年ではドアのキーロックを遠隔操作できるリモコンキーや、エンジンの始動までキーレスで行えるスマートキーを搭載した車が増えています。

これらのキーも車のIDを利用しているため、複製するには時間と費用がかかります。特にキーレスでエンジンをかけられるスマートキーの再発行は高額の費用がかかるため、その分査定額にも大きく響きます。

スペアキーの紛失が買取価格にどの程度響くのか

スペアキーの紛失は、種類によって査定額に与える影響はさまざまです。もしキーを無くしてしまったときには、具体的にどの程度の費用がかかるのでしょうか。

キーの再発行費用

キーの複製・再発行は、そのシステムとメーカーによって費用が異なります。
イモビライザーが無いシンプルなキーの場合には、数千円から1万円程度で複製できます。ここにイモビライザーが付くと、およそ2~3万円程度にアップ。一本も鍵がなく、シリンダーごと交換する必要がある場合には、4万円を超える場合があります。リモコンキー、スマートキーはさらに費用が高く、5万円を超えることもあります。最新システムを使うキーほど複製・再発行にかかる費用はあがり、査定額にも同じような影響を与えます

売却前にキーを作り直す必要は無い

もしキーを紛失してしまった場合、買取前にキーの複製・再発行はしておくべきなのでしょうか。

結論からいうと、買取前にキーの複製をする必要はなく、そのまま買取に出すのが良いでしょう。

買取査定において、スペアキーがないことはそれほど大きな問題とは考えられておらず、大きな減額にはなりません。 前述の通りキーの複製・再発行には多額の費用がかかりますが、キーが無いことで生まれる減額幅は、キーの複製代金よりも小さいことがほとんどです。そのため複製して防いだ減額幅よりも、キーの複製代金の方が高いということになります。

もしキーが揃っていないことが問題となるようなら、買取業者が買い取った後に複製を行うため、売主は気にすることはありません。

査定額を下げないための対策

とはいえ、キーを紛失したことで多少なりとも査定に減額が出ることは事実です。キーの紛失で下がった査定額を取り戻せるように、売主は買取手続きの前に査定額をアップさせる対策を行っておきましょう。

査定は複数社に依頼

同じ車でも、業者によって査定金額は大きく異なる場合があります。そのときにそれぞれの業者がその車をどれだけ欲しがっているか、その車を高く売る販路を持っているかなど、査定額に影響を与える要素は様々です。

また1社だけに査定を依頼すると、できるだけ安く買い取りたいため、安い査定額を出される恐れがあります。複数社に査定額を競わせることで、キー紛失を無かったことにするような、高い査定額を出してもらうことが期待できます。

車は清潔に保つ

査定の対象となる項目に、内装と外装があります。内装は新品に交換することが難しいため、汚れや傷みの影響が大きくなりやすい項目です。またタバコやペットの臭いもマイナス査定になるため、キレイに清掃し、また臭い取りも十分対策しましょう。外装は洗車することで、車を大切にキレイに乗ってきたことをアピールすることができるかもしれません。

洗車自体は査定項目にはなっておらず、見えにくかった傷やへこみを明らかにしてしまうこともありますが、後から見つかった傷やへこみを理由にした減額はトラブルになりやすいため、前もってはっきりさせておいたほうが良いでしょう。

純正パーツも全て引き渡す

社外パーツを使ってカスタマイズを楽しんでいたなら、交換前に着けていた純正パーツも全て買取業者に引き渡しましょう。

一部の社外パーツは高く評価されることもありますが、多くの車の買い手は他人の趣味で改造された車を好みません。そのため、純正パーツが揃っている車は買い手が付きやすく、査定も高額になりやすいのです。

まとめ

車のスペアキーの有無は、キーの種類によって買取査定額に影響を与えますが、前もってキーを交換しなければならないほど大きな減額にはなりません。スペアキーは一生使わないこともあり、中古車市場では特別重要視される付属品ではないからです。キーを紛失したことによる減額を補いたいなら、複数の買取業者に査定を依頼し、高額査定を狙いましょう。高値をつけてくれる業者を見つけることができれば、キー紛失分による減額以上に、高い査定額をつけてくれることでしょう。