ホンダHR-Vは海外で人気?今後の中古車相場に変化は
今から25年前というと1998年(平成10年)となり、同年2月に日本の長野県では第18回冬季長野五輪が開幕しました。この時発売されたのが、1998年9月発表のホンダのHR-Vです。「Small is Smart」の発想をもとに製造されたコンパクトサイズのSUVで、ホンダのJ・ムーバー計画の第二弾として登場した、画期的な車となっています。2006年に国内モデルは廃止となったものの、車名は引き継がれて米国法人ホンダが発売するヴェゼル米国仕様車として、2014年に2代目HR-Vが登場しました。2023年現在も北米仕様・欧州仕様の3代目モデルHR-Vが海外で発売中です。
初登場から今年で25年が経過したホンダのHR-Vですが、現在の中古車市場での人気や海外での人気はどうなっているのでしょうか。
アーバンクールなホンダ・HR-Vとはどんな車?
アーバンクールとは、英語のUrban(都市の・都市的な・都会的な)とCool(涼しくてさわやかなさま・冷静なさま)から付けられたHR-Vのコンセプトです。1998年9月21日にホンダが発売を開始したHR-Vは、キーワードを【アーバンクール】とした活動的な若者に焦点を当て、全高を抑えて地上高を高く取り、大径タイヤを組み合わせたジェットフィール感覚のハイライダースタイルをもつ、コンパクトSUVとなっていました。
ホンダHR-V初登場時のスペックは?
1998年9月に発売を開始したホンダのHR-Vの初登場時のスペックをご紹介します。当時タイプは3通りあり、総排気量1.6LのSOHCエンジンのタイプJとタイプJ4、総排気量1.6LのVTECエンジンのタイプのJS4となっていました。ボディサイズは共通で、全長3,995mm・全幅1,695mm・全高1,575mm(ルーフスポイラー装着タイプの全高は1,675mm)、ホイールベースは2,360mmとなっています。当初は3ドアモデルのみでしたが、1999年7月に5ドアモデルが追加されました。ボディサイズのポイントは、ワイドデザインの雰囲気をもつSUVでありながら、5ナンバーサイズの条件に収まっているところです。5ナンバーの条件とは、全長4,700mm・全幅1,700mm・全高2,000mm以内、排気量2,000cc以下に収まるボディサイズと総排気量をもつ車となります。5ナンバーサイズの車は、車体のサイズとして小回りが利き、日本の道路環境や駐車環境に適しています。下記が発売当時のスペックです。
タイプ | エンジン | トランスミッション | 駆動方式 | 最高出力(PS・rpm) |
---|---|---|---|---|
J | 1.6LSOHC | 5MT/CVT | FF | 105・6,200 |
J4 | 1.6LSOHC | 5MT/CVT | 4WD | 105・6,200 |
JS4 | 1.6LVTEC | CVT | 4WD | 125・6,700 |
HR-Vは、2001年と2003年にマイナーチェンジをおこなったものの、フルモデルチェンジはなく2006年に製造終了が告知され国内モデルは廃止になりました。その後2014年に、冒頭でもお伝えした通り、米国ホンダからヴェゼルの米国仕様車モデルとして2代目HR-Vが登場し、現在も海外市場ではHR-Vの車名が継続して販売を続けられています。
現在のホンダHR-Vの中古車市場での状況
1998年代に発売されたHR-Vの3ドアモデルは、2023年7月時点の中古車販売ウェブサイトでは在庫を見つけることができませんでした。現在流通が確認できたモデルは、1999年製造の5ドアモデル以降で、3ドアモデルを探しているという人は中古車販売店舗で直接問い合わせされてみることをおすすめします。1999年式のHR-Vの5ドアモデルの中古車販売価格帯は30~60万台となっており、特に低走行モデルに関しては他の同年式車種よりもやや高めの販売価格となっているようです。
ホンダHR-Vが中古車市場で今後人気になる可能性
今年で発売開始から25年が経過し、すでに国内モデルの製造販売は終了している「HR-V」。年式が経ち古くなった車種であるものの、今後中古車市場で人気が上がる可能性があります。それはなぜなのでしょうか。
アメリカ輸出ルールにより制限解除となる25年目
日本国内からアメリカに車を輸出する場合、厳しい輸出ルールが設けられていることをご存知でしょうか。
実は、アメリカへ輸出するにはいくつもの輸出制限がかけられているため、高いハードルを越えなくてはいけません。例えば、日本車というと基本的に、右ハンドル車構造となりますが、アメリカの安全基準上では右ハンドル車は認められておらず、左ハンドル車へと構造変更をしなくては輸出できないようになっているのです。これから製造する新車を輸出するのではなく、コストを抑えて中古車を輸出するにも、まず構造変更からとなると高額な整備費用がかかってしまいます。そのため、基本的に右ハンドル車で輸出しようと考えるには、費用をかけて構造を変更して輸出し、それでも利益が出るような人気車種のみとなってしまうのです。
しかし、このアメリカの輸出ルールにはひとつ決まりが設けられていて、製造から25年が経過した車はクラシックカーやコレクションとしての輸出対象となるため、中古車の安全基準を達成していなくても輸出が可能な車、輸出ルールから対象外の車となるのです。このように25年が経過することによって輸出コストが大幅に抑えられることは国内外の輸出業者にとって大きなメリットとなっているため、25年経過した日本国内の年式が古いもののまだまだ走れる中古車が、アメリカへ沢山輸出されています。
今年発売開始から25年が経過し、輸出ルール対象外の車が増えることになるHR-Vは、もともと欧州や中東地域では新車発売当時から人気の高い車種であったことから、輸出中古車としての人気が高くなり、買取価格がアップする可能性をもっています。
年式が古くても高く売るには
前述のとおり、日本国内では古くて中古車としての再販が見込めない車も、海外輸出後に中古車として販売する販路があれば、まだまだ高く売れる可能性があります。ただ、高く売れる可能性がある古い車を高く買取してもらうには、海外輸出できる車買取業者を見つけなくてはいけません。
しかし、ウェブサイトの車買取業者などを見ていても、どの買取業者が海外輸出をしているかどうか、アメリカが輸出先になっているかどうか見抜くことは難しいですし、わざわざ連絡をして聞いてみるというのも手間がかかってしまいます。そのため、年式が古くても高く売れる可能性がある車の売却を考えているのであれば、おすすめは複数社でしっかりと買取見積もりをとることです。
ユーザーから車を買取った後の販路を、国内にしかもっていない業者に買取を依頼してみても、年式が古い車は次の買い手がつきづらいため希望の価格に届く可能性は低いでしょう。しかし、何社か買取見積もりをとってみることで、なかには輸出可能な買取業者があり、高い買取査定ができる車買取業者を見つけることができる可能性があります。また、複数社見積もりをとることで、平均を見てその車の中古車市場での相場もつかみやすくなるでしょう。
まとめ
ホンダHR-Vは、2023年に発売開始から25年を迎えるコンパクトサイズのSUVです。
25年目に入ったことで、海外輸出ルールの制限から対象外となる車体が増え、今後輸出対象車種としての買取価格がもっと上がる可能性があります。特に古くても低走行車などであれば、高値買取りになる可能性があります。古い車だからといって、一社の車買取業者に絞って買取見積もりをとってしまうと、もっと比べてみたら高く買取出来た業者があったのに、相場を調べることも出来ず、提示されたままの金額で売却することになってしまいます。できるだけ高く古い車の買取を狙うためにも、複数社の買取業者に相見積もりをとることをおすすめします。