インプレッサの中古車購入を検討されているなら
2019年中頃に発売された「スバルインプレッサSTI」は、その価格が270万円前後に設定されています。発売以降4半世紀が過ぎ、過去に5代にわたるインプレッサが発売されてきましたが、インプレッサは各代において根強い人気があり、中古価格とはいえ新車のメーカー希望小売価格を上回る車種も見受けられます。中古のインプレッサを選ぶには、どのタイプ・年式でどのくらいの走行距離の車種にするかという部分で求めやすさがかなり変わってきます。
インプレッサの特徴からモデル別中古車価格の相場、業者別の中古車価格、中古インプレッサを購入する際の注意点まで、さまざまな観点から中古インプレッサを徹底解説します。
目次
インプレッサの特徴
ワゴンタイプの中でもスタイリングが無難で万人受けすることで人気のインプレッサですが、それだけではインプレッサの魅力は語りつくせません。まずは、インプレッサの特徴で際立つ点から見ていきましょう。
安全性に優れた機能を多く搭載
2030年スバルは「死亡交通事故0」を目指しています。そのスバルのインプレッサは、安全性の面で優れた先進安全システムの「アイサイト」という機能を搭載しています。アイサイトには、高い認識機能を支えるステレオカメラが備わっていて、人の目と同じように左右二つのカメラで前方の歩行者や障害物を立体的に認識し、その距離や形状などをしっかり確認してくれるのです。
この機能が作用することにより、インプレッサは状況に応じた運転のサポートをしてくれます。車線からはみ出さない機能の「アクティブレーンキープ」、飛び出さない機能の「AT誤発進・誤後退抑制制御」、注意してくれる技術「警報&お知らせ機能」が備わっています。
インプレッサに遅れまいと、各メーカーともレーダーとカメラの両方をセンサーとして使用し、プリクラッシュセイフティシステムの開発を進めてきました。その結果、各メーカーとも安全性を確保できるようになりましたが、アイサイトで他社に先んじたスバルだけが、ステレオカメラだけですべての制御を行うことができるのです。これは、他社にはないスバルの安全面でのアドバンテージといえます。
運転中に疲れにくい設計
インサイトには、前方を走る車との距離を適切に保ちついていく技術「クルーズコントロール機能」が備わっていて、三角窓の改良で視界を広くとれるような工夫も凝らしたことで、誰でも運転しやすい状況を作り出しました。そのうえ、渋滞時にブレーキペダルを長く踏み続けなければならない状態をなくすため、「オートビークルホールド機能」を採用し、ブレーキペダルから足を外しても自動的に車の停止状態を保持できるようにしました。
さらに、インプレッサは、速度30km以内なら衝突を回避してくれるぶつからない技術「プリクラッシュブレーキ」や、クッションに低反発素材を採用するなど、より運転がしやすいように工夫されています。このように、さまざまな機能を備えることで、インプレッサは運転中に疲れにくい設計となっているのです。
インプレッサの中古車の価格の相場
安全面で他社の競合車をリードしているインプレッサですが、中古車市場での現状はどのようなものなのでしょうか。インプレッサの中古車価格の相場を詳しく見てみましょう。
インプレッサの中古車市場での価格には、6~678万円までのさまざまな価格帯の車種が揃っていて、ユーザーの予算に応じたモデルを購入することができます。高額になっているものもありますが、100台のみ発売されたインプレッサSTI2.0WRX S206 NBRチャレンジパッケージ4WDという限定バージョンのインプレッサのため別格といえます。
通常であれば、160万円台がインプレッサの中古車相場となっていて、新車価格よりは手頃な価格で購入することが可能です。インプレッサは中古車市場で2,000台以上の車種が存在しているため、バラエティに富んだ価格帯が揃っており、ユーザーにとっては選択の幅が広い車といえます。
それでは、過去に初代から5代まで発売されているインプレッサのモデル別の価格相場について見てみましょう。
インプレッサ初代GC/GF系
まずはインプレッサの初代GC/CF系(1992年~2000年、新車価格116~299万円)の大手3社で売り出されている中古車価格帯・相場を調べてみました。
中古車価格帯 | 中古車相場 | |
---|---|---|
A社 | 154.8~344.8万円 | 約250万円 |
B社 | 29.0~370.0万円 | 約200万円 |
C社 | 14.0~460.0万円 | 約237万円 |
さすがにこの年式ですと、各検索サイトに出品されている台数も少なく、選択する幅は広くありません。ただし、どのメーカーのどの車種でもそうですが初代のモデルに関しては、一部ファンの間に根強い人気があり、装備も充実しているものが多いため価格の高い出品車も多くあるようです。
インプレッサ2代目GD/GG系
初代のセダンとスポーツワゴンが引き継がれたが、スポーツワゴンは5ナンバーで、セダンは3ナンバーになりました。衝突安全ボディーが各メーカーで叫ばれていた時代なため、インプレッサにも「新環状力骨構造」が採用されました。2代目の新車価格は116~215万円です。大手3社の価格相場は次のとおりです。
中古車価格帯 | 中古車相場 | |
---|---|---|
A社 | 44.7~209.8万円 | 約128万円 |
B社 | 39.5~218.1万円 | 約129万円 |
C社 | 13.8~460.0万円 | 約237万円 |
インプレッサ2代目は「高密度スポーツカー」をコンセプトに開発されましたので、アメリカをはじめとした海外でも高い評価を受けたモデルとなっています。
インプレッサ3代目GE/GH/GR/GV系
「スポーティ」「カジュアル」「コンパクト」「新快適スタイル」をコンセプトに開発されたインプレッサ3代目は、4ドアセダンと5ドアハッチバックになり、スポーツワゴンモデルは姿を消しました。クラスを超えた安全性とスタイリッシュなデザインが好評を博しました。3代目の新車価格は145~593万円です。大手3社の価格相場は次のとおりです。
中古車価格帯 | 中古車相場 | |
---|---|---|
A社 | 39.8~299.8万円 | 約170万円 |
B社 | 7.0~150.7万円 | 約79万円 |
C社 | 9.0~328.8万円 | 約169万円 |
5ドアハッチバックが先行発売されて、4ドアセダンは1年遅れで市場に投入されました。両モデルともに3ナンバー仕様となりました。インプレッサ3代目は「自動車アセスメントグランプリ」に選ばれるなど、安全面で国土交通省のお墨付きとなっています。
インプレッサ4代目GJ/GP系
「スタイリュッシュな外観と質感の高い内装」、「走りの気持ちよさ」、「環境性能の向上」をテーマに掲げたインプレッサ4代目は、「New Value Class」をコンセプトに開発されました。4代目の新車価格は155~263万円です。大手3社の価格相場は次のとおりです。
中古車価格帯 | 中古車相場 | |
---|---|---|
A社 | 65.6~304.8万円 | 約185万円 |
B社 | 29.8~678.0万円 | 約353万円 |
C社 | 29.8~678.0万円 | 約353万円 |
5ドアハッチバックは「スポーツ」、4ドアセダンは「G4」とサブネームを改めました。インパネの高さを抑え、ドア窓肩部を低くし、三角窓を追加して視界や広さ、開放感を高めることに成功しました。
インプレッサ5代目GK/GT系
「乗る人全員が気持ちいい」をテーマに掲げたインプレッサ5代目は、「SUBARU GLOBAL PLATFORM」をコンセプトの開発された一番新しいインプレッサです。操舵応答性と操舵安定性が飛躍的に向上し、衝突時のエネルギー吸収量を今までの1.4倍としたことで乗員の保護性能を高めることに成功しました。5代目の新車価格は192~237万円です。大手3社の価格相場は次のとおりです。
中古車価格帯 | 中古車相場 | |
---|---|---|
A社 | 189.4~269.6万円 | 約230万円 |
B社 | 95.0~336.7万円 | 約215万円 |
C社 | 69.8~337.0万円 | 約203万円 |
インプレッサ5代目は、日本車で初採用となる「歩行者保護エアバッグ」を全車に標準装備しました。バンパー内部の圧力センサーにより、歩行者との衝突事故を感知し、フロントガラスとAピラーの下をエアバッグでカバーすることで歩行者の頭部へのダメージを少なくするシステムです。
おすすめの中古インプレッサのモデル
人によってそれぞれ好みはあるでしょうが、この5モデルではどれがおすすめなのでしょうか。まずはモデル別のスペックを見てみましょう。駆動方式4WD、定員5名は各モデル共通です。
モデル/ミッション | 排気量(cc) | 馬力 | 全長・全幅・全高(mm) |
---|---|---|---|
初代/MT | 1994 | 250~275 | 4,340×1,690×1,405 |
2代目/MT | 1994 | 280 | 4,405×1,730×1,435 |
3代目/MT、AT | 1994~2457 | 300~320 | 4,580×1,795×1,470 |
4代目/MT、CVT | 1994~2457 | 300~308 | 4,580×1,795×1,470 |
5代目/リニアトロニック | 1995 | 115~154 | 4,460×1,775×1,480 |
良質な車をお得に手に入れるなら4代目
200万円以上も予算があるなら、インプレッサの新車が購入できてしまいます。車には購入時に諸経費が必要になりますので、予算を50万円削って150万円以下のインプレッサを購入するとしたらどのモデルがよいのでしょうか。
150万円以下で良質なインプレッサを購入したい人には、インプレッサ4代目の2012年式インプレッサG4 2.0i-Sアイサイト4WDがおすすめです。現行の5代目と同じくアイサイトがついていて、安全面で優れています。また、4WDであるため悪路や雪道にも強くアウトドア派にも好まれるモデルです。
3代目から内外装のデザインは一新されていて、変速機が今までの4ATから「リニアトロニック」(CVT)に変更されています。スバルとしては初のアイドリングストップシステムを導入したモデルでもあります。北米がメインとなったレガシィに代わって、日本と欧州における主力モデルとして開発されたのが4代目なので、レガシィにしかなかったさまざまな装備がついているのです。高速クルージングでの静粛性に改良が欲しいのは、この価格では欲張りすぎというものでしょうか。
格安の車を狙うなら2代目
さらに安くインプレッサを購入しようとするなら、2代目を探すのが近道でしょう。2代目であれば、50万円以下のインプレッサの流通量が最も多く、インプレッサスポーツワゴンなどは30万円以下でも比較的良質なものが出回っているのです。
修復歴がなく、走行距離が10万km以下、あるいは5万km以下でも30万円程度で売りに出されているケースもあります。ただしこの手のインプレッサの場合、アウトドアで使用していることが多く、外装のキズやサビには注意が必要です。修復歴がある場合でも、車庫入れ時にリア部分をこすってしまったようなケースなど、運転時の操舵性にはまったく影響が及ばないケースもあります。そのような車であれば、修復歴ありとなるだけで価格が下がるためお買い得といえます。修復歴のある場合には、ディーラーなど業者に修復歴の詳しい状況を尋ねましょう。
業者別のインプレッサの中古車価格
大手3社の中古車販売店でのタイプ・年式別、走行距離別に比較表を用意しました。購入・検討時の参考にしてください。
タイプ・年式別
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
初代 | 154.8~344.8万円 | 14.0~460.0万円 | 29.0~370.0万円 |
2代目 | 44.7~209.8万円 | 13.8~460.0万円 | 39.5~218.1万円 |
3代目 | 39.8~299.8万円 | 9.0~328.8万円 | 7.0~150.7万円 |
4代目 | 65.6~304.8万円 | 29.8~678.0万円 | 29.8~678.0万円 |
5代目 | 189.4~269.6万円 | 69.8~337.0万円 | 95.0~336.7万円 |
走行距離別
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
~30,000km | 79.8~344.8万円 | 27.0~678.0万円 | 27.0~678.0万円 |
~50,000km | 39.8~344.8万円 | 17.8~678.0万円 | 17.8~678.0万円 |
~100,000km | 44.7~344.8万円 | 9.0~678.0万円 | 7.0~678.0万円 |
中古インプレッサを購入する際の注意点
インプレッサにかかわらず、中古車を購入する際には注意を要する点がいくつかあります。ポイントを絞って説明します。
タイミングベルトの劣化に注意
インプレッサの中古車はすべてタイミングベルトを使用しています。ガソリンに新鮮な空気を吸気して汚れた空気を排気する。タイミングベルトはこの吸気と排気を行っている部品です。タイミングベルトは素材がゴムでできているため劣化してきます。エンジンの中心部にあるため、普段は見ることができません。一般的にタイミングベルトの寿命は10年といわれていますが、使用環境や使用頻度によって寿命も変わってきます。
もし走行中にタイミングベルトが切れると、車はまったく動かなくなります。中古インプレッサを購入する際には、業者にタイミングベルトが劣化していないかどうかをチェックしてもらう必要があります。
中古車市場での相場を把握しておく
一般的に新車よりも中古車のほうが金額は安いので、インプレッサの新車価格がいくらぐらいなのかが頭に入っていても、インプレッサの中古車市場での相場をあらかじめ把握していなければ、これは安いと勘違いしてしまうことにもなりかねません。年式や走行距離がどのくらいの車を探すのかを決めたうえで、前もってその条件に合った中古車市場での価格を把握して車選びをすれば損をしないで済みます。中古車選びの場合には、ひと手間かけてもぜひ行なっておきましょう。
整備がきちんと行われていたか確認する
「走行距離も短いし、この価格ならお買い得」というディーラーのセールストークをよく耳にします。この場合は、本当にお得なのでしょうか。
いくら走行距離が短くても、ずっと放置しっぱなしの車だった可能性もあります。車は定期的にメンテナンスを行わないと、部品が劣化し車のパフォーマンスが落ちてきます。前の持ち主や販売店がしっかりメンテナンスを行ってきたのか確認しましょう。
年式と走行距離のバランスを考える
5年落ちの車で、走行距離がすでに15万kmを超えていたとしたら購入するのはちょっとためらわれるのが普通です。逆に同じく5年落ちの車で1万km以下の走行距離だったらどうでしょうか。
一般的に車は年間平均1万km走るといわれています。前のオーナーが週に1度は必ず車に乗っていても、買い物などで極端な近場でしか車を使用していなかった場合は別として、年間の走行距離があまりにも少ない中古車はやはり購入がためらわれます。車が大好きでよほど手入れをよくしていたなら話は別ですが、このように走行距離が少なすぎる車の場合は状態が悪いことのほうが多いため注意しましょう。
保証内容もチェック
車に限らず中古の場合には、購入時はよくても購入後にトラブルが発生することが起こりがちです。特に、中古車などのいったん人の手に渡ったマシンだと、購入者が整備士でもない限り購入時にはわからなかった欠陥が後から出てくることがあります。そのような購入後のトラブルに備え、販売店にしっかり対応してもらえるのかの確認が重要になってきます。通常、最低1カ月保証はついていますが、販売店によって対応が異なりますのであらかじめ保証期間・保証内容などを確認しておきましょう。
現在の車から買い替える場合には
それでは、今乗っている車から中古インプレッサに買い替える場合に注意する点は、どんなことが考えられるでしょうか。
売ったお金を元手にして購入できる
今の車を、必ずしも購入する販売店に下取りに出す必要はありません。買取業者に高く買い取ってもらうことによって、中古インプレッサの購入資金になるからです。車の買取業者は市場にたくさんあります。車の買取は、グレード・年式や走行距離によって査定価格が変わってくるので、自分の乗っている車がどのような状態にあるのかを把握したうえで業者を選びましょう。
中古インプレッサをお得に購入しよう
新車派と中古派。車のオーナーにはそれぞれのタイプがありますが、インプレッサを新車で購入するとなると気軽に決められる金額ではありません。中古であっても質のよいインプレッサを選べば、乗り心地もよく自分の予算内のインプレッサを購入することができます。
いろいろな業者を見て回り、掘り出し物のインプレッサを見つける。そういった楽しみもまた中古車市場ならではです。早速、中古インプレッサを検討してみましょう。