車の査定に走行距離はどれくらい影響するの?少しでも高く売るには?
車を査定するときは、コンディションを見るだけでなく、需要がどれくらいあるのか調べた上で、査定額を決定します。その両方に大きく影響するのが走行距離です。なぜ走行距離が査定に大きく影響するのでしょうか。その理由と少しでも高く売る方法を紹介します。
車査定で走行距離が重視される理由
車は多くの部品から構成され、快適な走行を可能にするためにさまざまな要素が組み合わさっています。その中でも、車の走行距離は非常に重要な要素の一つとされています。なぜなのでしょうか?
部品の摩耗と劣化
車はエンジン、トランスミッション、足回り、ブレーキなど多くの部品が協力して動作します。エンジンが動力を生成し、トランスミッションが力を伝え、足回りが車体を支え、ブレーキが安全な停止を可能にします。これらの部品は常に摩耗し、劣化します。エンジンやトランスミッションの内部部品は摩擦によって摩耗し、オイル交換などのメンテナンスで寿命を延ばすことはできますが、最終的には劣化は避けられません。
ボディーと外部要因
車のボディーも外部の要因にさらされます。雨や風、温度変化、道路上の砂や石などがボディーに影響を与えます。また、虫や小石などが車体に当たることもあります。シートも乗車中に摩耗し、劣化します。これらの要因により、車の外観や内装も経年劣化します。
走行距離と部品の負荷
走行距離が多い車ほど、これらの部品はより多くの負荷を受けます。エンジンやトランスミッションは常に動作し、足回りは車体の重さを支え、外部要因にさらされています。その結果、走行距離が多い車は、部品の摩耗や劣化が進みやすく、故障のリスクが高まります。
需要と査定額
需要と供給の法則に従い、走行距離が多い車は需要が低く、そのため査定額も低くなりがちです。走行距離が少ない車は需要が高く、査定額も比較的高くなります。したがって、車の走行距離は査定額に大きな影響を与える要因となります。
要するに、走行距離が多い車は多くの部品が酷使され、そのため故障のリスクが高まるため、需要が低く査定額も低くなる傾向があります。一方、走行距離が少ない車は部品の劣化が少なく需要が高いため、査定額が比較的高くなります。
車査定における走行距離のチェック基準
車の査定において、走行距離は非常に重要な要素です。しかし、どれくらいの走行距離が査定で過走行とみなされるのでしょうか? また、走行距離だけでなく、需要と供給も査定に影響を与える要因となります。
JAAI(日本自動車査定協会)の基準
JAAIのハンドブックによれば、査定の基準は新車登録からの使用経過月数と走行距離に関連しています。たとえば、500万円以上する高級車の場合、8万kmの走行でも、経過月数が114ヶ月(9年6ヶ月)までは特に減点されません。それ以上の場合でも加点も減点も行われません。年数が経過するにつれ、減点の割合は小さくなります。
一般的な普通車であれば、年間8,000~9,000km、軽自動車であれば年間7,000~8,000kmを超える走行距離は、過走行とみなされることがあります。ただし、高級車ほど過走行の基準は緩和され、コンパクトカーでは基準が厳しくなることがあります。これは車の寿命にも関連しています。走行距離が少ないほど、査定額に加算が行われることが一般的です。
需要と供給の影響
車の走行距離に対する査定基準は、JAAIのハンドブックだけでなく、市場の需要と供給にも影響されます。多くのドライバーは、走行距離を中古車の状態を判断する重要な指標とみなし、走行距離が増えるごとに需要は低下します。たとえば、2万km未満の走行距離であれば、10,001kmでも19,999kmでも査定額には大きな違いはありません。
しかし、5万kmを超えると需要が急激に低下します。特に10万kmを超えると、需要の低下が著しくなります。これは、5万kmは一般的に中古車の車検時期と重なり、多くの部品の交換や整備が必要になるためです。さらに、中古車としての需要も減少するため、走行距離が多い車は査定額が低くなる傾向があります。
ただし、走行距離が少ないからといって必ずしも高い査定額が保証されるわけではありません。車は走行しないことで劣化する要素もあるため、バランスを取る必要があります。エンジンや部品は定期的な動作を必要とし、放置された場合にも劣化が進むことがあります。そのため、走行距離だけでなく、状態も査定に影響を与えます。
結局のところ、走行距離の査定基準はJAAIのハンドブックによるものだけでなく、市場の需要や車の状態も考慮され、査定業者によって異なることがあります。
走行距離以外の査定チェックポイント
JAAIのハンドブックでは走行距離が査定に大きな影響を与えますが、走行距離以外にも査定時にチェックされるポイントがあります。走行距離については変更できない要素ですが、以下のポイントに注意することで査定額を最適化できるかもしれません。
1. 年式: JAAIのハンドブックでは年式による減点はありませんが、実際の市場では古い車ほど人気が低く、自動車税や自動車重量税が高くなることから需要が低下します。特に自動車税や自動車重量税の増額がある年数には査定額が低くなる傾向があります。
2. 車検のタイミング: 走行距離が5万kmに達する5年目や、10万kmに達する10年目など、車検時期に近づくと査定額が低下する傾向があります。これらのタイミングで多くの部品の交換や整備が必要になるためです。
3. ボディの傷やへこみ: 傷やへこみが1cm以上の大きさであれば査定額に減点されますが、それ未満であれば減点されることはありません。大規模な修理をするよりも、そのまま査定を受ける方が経済的です。
4. 整備履歴: 定期的な整備や点検の記録を残す「整備手帳(定期点検記録簿)」は査定時にプラスになります。整備が頻繁に行われている車は故障リスクが低く、査定額が向上します。
5. メーカーオプション: メーカーオプションとして付属しているサンルーフ、オートスライドドア、革シート、エアバッグ、ABSなどの安全装置は査定額を高く評価されることがあります。また、エアコンやパワーウィンドウ、パワーステアリングなどが標準装備されていない場合、それらのオプションがあると評価が上がります。
6. 社外オプション: 社外オプションは買取業者によって評価が異なります。一般的には社外オプションは外して純正に戻すことが査定額を最適化する方法です。ただし、カスタムカーを扱う買取業者なら社外オプションも評価されることがあります。
これらのポイントに注意することで、走行距離以外の要因で査定額を向上させることができます。査定時に車の状態を最良の状態でアピールすることが大切です。
過走行車を少しでも高く売る方法
過走行車を高く売るためには、以下の方法を検討することができます。過走行の車でも、高値で売却できる可能性があるので、あきらめずに試してみましょう。
1. 海外輸出を検討: 海外では走行距離が多い車でも需要があることがあります。特に日本の中古車は品質が高いと評価されており、走行距離が多い車でも人気があります。海外に輸出ルートを持つ買取業者を探し、高値で売却できるか相談してみましょう。
2. 廃車買取業者に相談: 廃車買取業者は、車を解体して鉄くずとして売却したり、再利用可能な部品を取り出して売却したりします。過走行車でも部品の再利用価値がある場合、高値をつけてくれることがあります。また、廃車手続きの代行などの費用も無料で提供されることが多いです。
これらの方法を検討することで、過走行車でも高値で売却するチャンスをつかむことができます。ただし、複数の買取業者と相談し、最適な方法を見つけることが大切です。
まとめ
走行距離が多い車は部品が劣化して故障する可能性が高いため、需要が少なく、査定額も低くなります。過走行の目安は10万kmですが、5万kmも査定額が下がる大きな節目です。海外へ輸出したり、廃車にして鉄くずや再利用できる部品を売却したりする買取業者であれば、過走行車でも高く買い取ってくれる可能性があります。
このように、車の査定額は買取業者によってまちまちです。ある業者では0円にしかならなかった車が、別のところでは数万円の買値がつく場合もあります。できるだけ多くの業者に査定を依頼し、自分に合った買取業者を見つけましょう。