ユーザー車検ってなに?ユーザー車検を行う方法やメリット・デメリットはあるのか?そんな疑問にお答えします!

ユーザー車検の方法

ユーザー車検を行うには、いくつかのステップを順番に進めていきましょう。

事前準備

・車の確認

車検に出す車に故障がなく、車検に通過できる状態か確認をしましょう。予備知識があれば自分で一通り点検し、難しいようならテスター車検を受け、車検に通過できる状態か確認してもらいましょう。

・書類準備

車検に必要な書類をまとめておきましょう。車に備え付けてあるものもあれば、当日陸運局の窓口で受け取るものもあります。当日慌てないように、どんな書類を用意しなければいけないのか、あらかじめ確認しましょう。

予約

一通り準備が出来たら車検の予約を行います。各地方の陸運局ホームページより、希望の日程を予約しましょう。各日午前中2ラウンド、午後2ラウンドの計4回チャンスがあります。

車検当日

・各書類の記入

陸運局の窓口でもらえるそれぞれの用紙に必要事項を記入していきましょう。自動車重量税はここで支払いを済ませます。自賠責保険も陸運局で契約できますが、利用している保険会社と事前に契約を済ませておく方が車検当日の手続きがスムーズに進むでしょう。

・予約確認

インターネット上の予約ができているかを窓口で確認しましょう。車検の経験の有無を聞かれることもあるので、経験がない場合や復習の必要がある場合には、正直に伝えることである程度のサポートも期待できます。

車検実施から検査後

車検が始まったら、ラインに従って順番に検査を行っていきます。当然ながら、事前に問題がわかっている場合には整備をして問題を取り除いておきましょう。

・検査後

一通りの検査が終わったら「継続検査申請書」に検査結果を記入し、提出します。合格なら車検証が交付されます。何らかの問題があり不合格となったら、その不合格部分を整備の上で再検査を受けましょう。

ユーザー車検の費用

費用が安くなると言われるユーザー車検でも、必ず払わなければいけない費用や、任意で払っておくことで安心できる費用があります。

必ずかかる法定費用

車検時にかかる費用には、ユーザー車検でも必ず発生する法定費用があります。

【自動車重量税】

自動車の車体重量、経過年数によって税額が決まる税金です。普通自動車の場合は0.5tごとに税額がアップ、また新車登録から13年以上、18年以上経過で重量に比例する税金の単位がアップします。
税金のため原則的に減額はされませんが、エコカー減税の対象車の場合には、対象外の車に比べて税額の減免または免除といった措置が取られます。

【自動車損害賠償責任保険料】

自動車を公道で走らせる際に必ず加入しなければいけない保険が、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)です。車検のタイミングで次の車検までの間分加入するのが一般的です。
保険料は損害保険料率算出機構によって計算され、金融庁の自動車損害賠償責任保険審議会で決定されます。契約は民間の保険会社と行いますが、保険料は定められたものに統一されるため、どこの保険会社と契約しても同じ保険料です。

【検査手数料】

陸運局(運輸支局)で車検を受ける際の手数料です。台紙に購入した印紙を貼ることから印紙代とも呼ばれています。
手数料は車種によって異なり、3ナンバーは1,800円、5ナンバーは1,700円、軽自動車は1,400円となっています。なお、地方陸運局長の指定を受けた「指定工場」での手数料は一律1,100円で統一されています。

その他必要な費用

ユーザー車検の場合、車検代行業者に依頼する際に支払う代行手数料は不要ですが、法定費用以外にもかかる費用があります。

【テスター車検利用料】

車検を受ける前の予行練習として、車検のラインと同等の検査設備を持つ「テスター車検」が受けられます。テスター車検は予備検査業者の指導の下で行い、車検の練習をしつつアドバイスや細かい調整を受けることもできます。
ここで問題がなければ、ほとんどの場合車検の本番もクリアできるでしょう。

【24か月点検料】

ユーザー車検では法定検査の一つである「24か月点検」も自分で行います。しかし一部の点検内容は個人で行うのが難しい項目もあるため、車検は自分で行うけれど、24か月点検は業者にまかせるというユーザーもいます。
車検を通すことだけを考えるなら、厳密には24か月点検を行わずに通すことも可能です。しかし、車を安全な状態に保つためには、しっかりと24か月点検を行い、愛車を正常な状態に保ちましょう。

ユーザー車検の必要書類

車検の手続きを行うには多くの書類が必要です。代行業者に依頼すればそのうち多くの書類の準備・作成も行ってくれますが、ユーザー車検の場合は自分で用意しなればなりません。

自動車検査証

通称「車検証」と呼ばれる、その車が保安基準を満たしていることを証明する書類です。初回は新車購入時に行った車検で発行され、それ以降は継続車検を受けるたびに更新されます。

公道を走行する際は携帯する義務があるため、多くの場合ダッシュボードに保管しています。

自動車損害賠償責任保険証明書

自動車を公道で運転する際に加入が義務付けられている「自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)」の加入証明書です。車検を受けるタイミングで、次回の車検までの期間分を契約するのが一般的です。

代行業者に車検を依頼する際は、それまで加入していた分の古い証明書のみが必要です。しかし、ユーザー車検の場合は再加入を代行してもらえないため、新たに契約した期間分の証明書も提出し、車検後も保険契約が続いていることを示す必要があります。

自動車税納税証明書

毎年4月1日時点の車の所有者に課せられる税金の納付を証明書です。5月上旬ごろ用紙が届き5月末までに納付する必要があります。

普通自動車の場合、以下の条件を満たせば証明書の提出を省略することができます。

  • 滞納していない
  • 納付から3週間が経過している

自動車重量税納付書

自動車の車体重量に対して課せられる税金の納付用紙です。陸運局(運輸支局)の窓口で配布されています。車検を受ける当日に、税額分の印紙を購入し、張り付けて提出します。

定期点検整備記録簿

24か月点検、12か月点検といった法定点検を行った内容を記録する書類です。過去の点検・整備の記録を振り返ることができるため、その後の整備の参考になる重要な書類です。記録簿自体は新車購入時に付属していますが、紛失した場合には整備振興会で購入可能です。

継続検査申請書

車検実施後、車検証を発行するために検査結果をコンピューターに読み込ませるための用紙です。OCR用紙、または専用3号様式と呼ばれます。車検を受ける当日に陸運局窓口にて配布を受けてください。

事前に国土交通省のホームページからデータをダウンロードできますが、インクジェットプリンタで印刷した用紙に対応できないため、窓口で配布を受けるのが確実でしょう。

車検を自分でするメリット・デメリット

代行業者を頼らないユーザー車検は、メリットと同時にデメリットも存在します。

メリット

・費用が安い

代行業者に依頼した場合にかかる代行手数料が不要になるため、高い業者と比べると10万円もの差が生まれることがあります。

・車について詳しくなる

車検の手続きや検査を通じ、車の仕組みや検査方法、法的な手続きなどについて知識を深めることができます。

デメリット

・時間がかかる

自分で全ての手続きを行わなければならないため、慣れないうちは大変時間がかかります。

・車の知識が必要

国が定めた保安基準を満たしているかを検査するためには、ある程度の点検・整備の知識が必要です。全く知識がない状態から車検のための点検・整備を行うのは至難の業と言ってよいでしょう。

・故障を引き起こすことがある

慣れない整備を行ったため、かえって車の状態を悪くしてしまい、故障の原因を作ってしまうこともあります。少々調子が悪い程度ならよいですが、事故を起こすような大きなトラブルにつながってしまうリスクを抱えることになりかねません。

・不合格時は再受験の必要あり

検査で不合格になった場合、整備を行った上で改めて手続きをしなければなりません。自分で整備しようにも知識や技術が不足しているため、結局業者に依頼しなおすことも十分にあり得ます。

まとめ

ユーザー車検は、代行業者への依頼時に比べて費用が安く済むのが魅力的です。しかし、日頃からしっかり整備をしていない車では車検に通らないばかりか、かえって問題を引き起こしてしまうこともあります。

ユーザー車検を通じ、愛車との付き合い方を見直したというオーナーも存在します。安いという面だけでなく、車の知識を深め、より愛車に愛着を持つためにも一度体験してみるのもよいでしょう。