長年移動の足として活躍してくれた車でも、事故や劣化により動かなくなってしまうときがきます。廃車の手続きには一般的にお金がかかると思われていますが、実は動かない車でも買取してもらうことができるのです。
今回は動かない不動車を買い取ってもらえる理由と、買い取ってもらうためのコツについて紹介します。
動かない車に価値はある?
事故や水没、パーツの経年劣化など、様々な理由で車は動かなくなります。業者の中にはそれらの車に価値を見出し、買い取りしてくれるところも多くあります。それぞれの業者は不動車にどのような価値を感じているのでしょうか。
修理すれば動く
不動車の中には、事故で原形をとどめていないようなものから、つい先日までは公道を走っていたようなものまで、状態は様々です。
中にはいくつかのパーツを交換すれば、再び走れる状態に戻るものもあります。中にはバッテリーを交換するだけで息を吹き返す場合も。それらの準不動車ともいえる状態の良い車は、比較的高値で買い取りしてもらえるでしょう。
パーツ取りに利用
修理できないほど痛みがひどい車でも、元気なパーツは中古品として販売することができます。
車は一般的には高額の商品であり、交換用のパーツも決して安くありません。そのため新品ではなく中古品で出費を安く抑えたいというオーナーもおり、中古パーツは高い需要があります。
また古い年式の車はすでに新しいパーツを生産していないことも多く、中古パーツも年々在庫が減少していきます。交換用パーツが見つかるのを待っているというようなオールドカーのオーナーは、中古パーツであってもお金に糸目はつけないという人も多いようです。
スクラップにして金属資源の再利用
車には様々な金属が使われており、スクラップにされた車は金属資源としてリサイクルされていきます。
車は鉄鋼だけでなく、アルミニウムなどの非鉄金属も多く使われています。金属類は輸入に頼ることの多い日本において、廃車になった車は再利用できる金属の宝庫といえるほど、非常に価値の高いものとして扱われます。
事故を起こし原型を止めてない車や、水没し完全に機能を失った車でも、金属資源として買取価格をつけてもらえるでしょう。
車検が切れただけ
不動車と呼ばれる車は幅広く、故障などはなくても、車検が切れてしまった車も不動車の一種として考えられています。
公道を走るためには車検の有効期限が残っている必要があります。車検が切れてしまった車は自分で公道を運転することはできなくなり、移動のためにはレッカーやけん引など、他人の力を借りるか、一時的に公道を走行するための手続きを踏む必要があります。
通常の中古車買取とは手順は異なりますが、車検切れで自走できない車も買取の対象となります。
動かない車はどこで買い取ってもらえる?
それぞれ異なる理由で動かなくなっている不動車は、どんな業者に依頼すれば買取してもらえるのでしょうか。
中古車買取店は引き取りだけ
一般的な中古車買取店の多くは不動車の買取は行っておらず、引き取りのみしてもらえます。
中古車買取業者は、走行する中古車として価値がある車を買い取り、販売ルートに乗せる業者です。不動車は中古車として再販売できないため、中古車買取業者にとっては商品価値がありません。
そのため引き取ることすら断られるか、引き取ってもらえるとしてもオーナー側からお金を払ってからのことになります。また引き取る場合にも、処分代金とは別にレッカー費用も取られる場合があります。
ただし、車の状態には問題が無く、車検が切れただけという車は中古車買取業者が扱います。オーナーが自分で仮ナンバーを取得して業者まで運んで買い取ってもらうこともできますが、車検切れ車をレッカー移動してくれる業者もいます。
廃車買取業者は買取OK
廃車専門の買取業者は、車の状態によって修理や分解、スクラップ化といった様々な対応を行う設備を持つため、不動車の買取を行っています。
どんなひどい状態の車でも0円以上の買取をすると宣伝している業者もあり、引き取り費用の心配はありません。さらにレッカー代を無料とする業者も多いため、全く支出することなく、不動車となった車を処分することができるでしょう。
動かない車を売るときのポイント
全く動かなくなってしまった不動車も買い取ってくれる廃車買取業者を利用する際、売主側が抑えておいた方が良いいくつかのポイントがあります。
一日でも早く手続きする
不動車となった車を買い取ってもらうなら、何より大切なのは一日でも早く手続きを行うことです。
不動車は保管しておくだけで駐車場代などの費用がかかるだけでなく、不審者の利用や火災などの危険があります。すでに物置として利用しているというような理由が無い限り、手元に置いておくことにリスクが生まれます。
不動車は車として利用できない状態であっても、法的には走行できる車と同じ扱いであり、同様の税金がかかってきます。
車の所有者に対して課せられる自動車税は、毎年4月1日時点で登録されている車のオーナーに納税義務が生まれます。たとえ動かない車であっても、登録抹消の手続きを行わない限り、納税の義務は消えません。
また、廃車の手続きを行えば、前払いしてあった税金が還付される場合があります。自動車税は1年分、自動車重量税は2年分を前払いしますが、未経過期間が残った状態で廃車手続きをすれば、未経過期間分の税金が還付されます。
レッカー代無料の業者を選ぶ
廃車買取業者に依頼する際に、レッカー代が無料かどうか確認しておくと良いでしょう。
レッカー代は地域や距離によって変わりますが、通常1~3万円程度の費用がかかります。廃車を買い取ってもらえるとしても、新車を買い取るほどの高額での買取は期待できないため、レッカー代がかかると買取金額が全て消えてしまうということもあります。
その点、レッカー代が無料の業者なら、売却金額も全て手に入った上、余分な出費もかかりません。少しでも手元に残るお金を多くするためには、レッカー代無料の業者を選ぶのは必須です。
ただし、無料とはいいつつもレッカー代を査定額から引く業者もいますので、完全に無料なのかは前もって確認しておきましょう。
売却した車の用途を明確にする
廃車買取業者に不動車を売却するなら、その車がどのように使われるのかをはっきりさせておく必要があります。
廃車として買い取ってもらったとしても、完全にスクラップにしてしまうのか、修理して再度中古車として販売するのかによって、必要な手続きが変わります。
完全に廃車にする「永久抹消登録」を行うためには、業者から車をスクラップにしたという「廃車証明書」を発行してもらう必要があります。永久抹消登録ができなければ、自動車税・自動車重量税の還付を受ける事はできません。
またスクラップを目的とした買取と、修理して再販売するための買取では、買取金額にも差が出る場合があります。悪質な業者にだまされないよう、買い取った廃車をどう使うのかは明確にしておきましょう。
まとめ
事故や故障などにより全く動かなくなってしまった不動車でも、廃車買取専門業者に買い取ってもらうことができます。
廃車専門業者は不動車の中から中古品パーツを抜き出し、残りは金属資源として再利用するため、動かない車にも金銭的な価値を見いだし、買取してくれるのです。
不動車は手元に持っておくだけで税金が発生し、さらに駐車場代などの維持費もかかります。手元に不要な不動車があるならば、一刻も早く手放すのがお得です。費用を掛けず、少しでも現金が返ってくるように、不動車の処分には廃車買取専門業者を利用しましょう。