廃車の工場では何をしてる?作業内容や費用を解説

廃車工場へ持ち込まれた自動車は、そのままスクラップされるわけではありません。燃料タンクなど引火のおそれがある部品も含まれるため、安全な状態に処理されます。 また、自動車としては廃車扱いとなっていても、部品レベルで見ると価値の残っているものが多いことから、ひとつひとつ丁寧に取り外されます。 ここでは、廃車扱いとなった自動車が工場でどのような処理を受けているのか、持ち込んだときに発生する費用の目安や、お得に廃車するコツとともにご紹介します。

廃車の工場では細かい作業なども行われているのね。どんな車の部品が外されたりしてるのかな?
廃車の工場で取り外された部品などは海外へ輸出されたりするんだ。廃車の向上に行くと海外で人気のトヨタ車やディーゼル車の部品がいっぱい置いてあるよ。

 

廃車工場でどんな作業が行われている?

一度廃車に出された自動車は、すべてまとめてスクラップされているとイメージしている方も多いでしょう。実際には「まだまだ使える部品」が多く含まれているため、一台一台丁寧に分解などの処理が行われています。
工場で行われる作業の主な流れは、(工場によって一部の順序が異なりますが)以下のとおりです。

一口に自動車といっても、メーカーや車種によって構造は大きく異なります。またガソリンやエンジンなど、些細なきっかけで事故につながりかねない部品が複数組み上げられているため、1台ずつ解体作業を行う必要があります。

車の車種など詳細情報の確認

まずは持ち込まれた自動車の車種など、詳細情報をチェックします。自動車ごとにエンジンの形式やエアバックの数など、部品構成はさまざまです。
スクラップする前に適切な解体処理をするため、まずは車の情報を整理します。情報整理は安全に自動車を解体するだけではなく、リビルド部品を傷のない良い状態で取り外すためにも必要な工程です。
リビルド部品とは、廃車に出された自動車から回収される中古部品のことをさします。中古部品は新品よりも安価で入手できるうえ、丁寧に取り外せば十分に再利用できる部品です。廃車として持ち込まれる車には、極端に古いものや事故車も含まれます。そのため事前の状態確認では、リビルド部品として利用できそうな部品のチェックも行います。

作業指示書など手順の確認

車種やエンジン形式、エアバックの数に加え、回収できそうなリビルド部品を作業指示書に記載します。書面に残すことで、大量かつ多様な自動車をスムーズに処理するのが目的です。オルタネーターやドライビングシャフトなど、各部やパーツごとに状態を記録し、病院のカルテのような作業指示書を作成します。

タイヤなど大型部品の取り外し

最初の解体作業はタイヤ・ホイール・バッテリーのような大型部品の取り外しです。一見するとすり減って使い道のなさそうなタイヤも、活用方法次第で有効利用できます。たとえば再生ゴムとして素材の特性を以下したリサイクルをしたり、熱回収して化学燃料の代替品にしたり、さまざまです。熱回収したタイヤのゴムは、焼却すると熱エネルギーが発生するため、セメントの焼成などに利用されています。
ホイールやバッテリーもアルミ・鉄・鉛など素材レベルでの活用が可能です。その他、タイヤの状態によってはトレッドを張り替えたリトレッドタイヤ(中古タイヤ)に生まれ変わることもあります。

ガソリンを抜き出す

ガソリンを空にしたつもりでも、微量に残っている可能性もあるため、そのままの状態でスクラップするのは危険です。専用のスラストカッターで燃料タンク部分に穴を開け、残存しているガソリンを抜き出します。
通常の環境でスラストカッターをタンクに刺すと、火花が散ってガソリンへ引火する危険性があげられますが、難燃性の窒素ガスによる対策が必要不可欠です。そのため、素人が個人宅で同様の作業をすることはできません。廃車手続きを行うときは無理に燃料タンクの残存ガソリンを抜かず、廃車専門の工場へ任せましょう。

その他廃油や廃液を抜き出す

ガソリンの他にも自動車には複数タイプの廃油や廃液が隠れています。ガソリンの抜き取り作業に引き続き、以下の廃油や廃液を抜きます。工場によって自然落下方式もしくは吸引方式を利用しており、近年は効率の良い吸引方式が主流です。

抜き取る廃油や廃液は、上記のようなものがあげられます。これらの中にもリサイクル可能なものは多く、ろ過などの適切な処理を経て再生燃料として活用されています。

中古部品用のパーツ取り外し

ガソリンや廃油・廃液の処理が終わったら、次はリサイクルへ回す部品の取り外しです。ライトユニットや銅線、マフラーなど自動車の部品が次々と取り外されていきます。状態が良く正常に動作するものは、リユース品やリビルド部品として回収へ。海外では日本発の部品の需要が高く、中古部品は世界各地で活用され続けています。
リユース品・リビルド部品に不適切な状態の部品は、素材別に仕分けされ、リサイクルされます。

エアバックの処理

意外と危険な部品がエアバックです。事故による衝撃に応じて瞬時に膨らむよう設計されているエアバックの特性を実現しているのは、火薬です。使用されないままのエアバックには、未使用の火薬が残っているため、そのままスクラップへ回すと爆発する危険があります。爆発しないよう処理を行われた後、エアバックの布はナイロン樹脂へと再生利用されます。

残りパーツを分別・処理

残りのパーツも素材ごとに分解し、プレス機にかけられます。プレス機で同じ素材とまとめられた解体済みの自動車は、サイコロのような形状のまま出荷へ。ちなみに、出荷されたプレス品もそのまま廃棄されるわけではありません。
工場と提携しているシュレッダー業者へ運ばれて破砕処理が行われた後、再び自動車メーカーへ運ばれるため、廃車後のリサイクルは無駄なく行われています。

廃車を工場へ持ち込む

運輸支局(陸運局)など、正しい廃車手続きを行わなくては自動車税金が課せられ続けるため、注意が必要です。所定の手続きを済ませるには、まず廃車工場へ自動車を持ち込み、「解体処理が完了しました」と証明書を発行してもらわなくてはなりません。

廃車費用の相場

気になるのが廃車にかかる費用ですが、こまかな金額は業者ごとに異なります。1~3万円前後が廃車の相場料金です。さらにレッカー利用で工場へ持ち込んだ場合は、3万円ほどのレッカー代が加算されます。
少しでも費用を押さえたい方は、廃車を依頼するのではなく、リサイクル素材として買い取ってもらう方法がおすすめです。上記でご紹介したとおり、自動車には鉄や鉛の他に廃油やエアバックの布など、あらゆる素材が用いられています。鉄をグラム数で買い取ってくれる業者に買い取ってもらうだけで、大きな出費を抑えつつ面倒な廃車を任せることができます。自動車のタイプや状態により左右されますが、普通自動車で1~3万円、軽自動車でも運が良ければ1万円程度の買取が可能です。

ただし、個人からの持ち込みを受け付けていない工場も存在します。

廃車を無料で引き取ってくれる業者がある

個人で持ち込み可能なスクラップ工場を見つけるのは困難です。また、仮に買取してもらったとしても、相場を考えると高額での買取は期待できません。高価買取を希望する方は、廃車専門の買取業者を検討してはいかがでしょうか。廃車買取業者は最初から廃車する予定の車を買取対象としているため、多少状態が悪くても買取対応してくれる可能性があります。高価買取が期待できる理由は、自動車から回収できる部品の価値で査定することがあげられます。業者の多くが海外へ独自の販売ルートを確立しており、一定価格による買い取りを保証してくれます。中にはレッカー車による回収や、面倒な廃車手続きの代行を請け負ってくれる業者もあり、廃車の手間をできる限り解消したい方におすすめです。

廃車だから、そこまで高くは売れないよね。だから、いちいち持っていくのは面倒だから引取りに来て欲しいね。
廃車の買取業者なら不動車でもレッカーで無料引き取りを対応してくれるところもあるよ。

まとめ 

廃車された自動車は、工場でさまざまな工程を経てリサイクルされるのが一般的です。素材ごとにリサイクルされるのはもちろん、状態の良いものは部品として再利用されることもあります。
そのため、事故車のように廃車する以外にない自動車でも、素材や部品レベルで見ると高い価値を持っているものです。少しでもお金に換えたい方は、素材・部品の価値を適切に評価して買い取ってくれる、廃車買取業者への持ち込みを検討してみてはいかがでしょうか。