車を人に譲る、人に譲ってもらう…。その際に「車の名義変更」の手続きが必要になります。この手続きを対応せずにいると保険や税金の支払いなどで後々大きな問題になりかねません。 「とはいっても、どんな手続きが必要なの?書類は?」そんな疑問にお答えします。本記事では車の名義変更をする際の廃車手続きの方法・必要な書類を、ケース別にご紹介! 事前に正しい手続きを理解して、車の名義変更をより円滑に行いましょう!
廃車の名義変更は、移転抹消
自動車の名義変更をする際の手続きは、「自動車の所有者を他の人へ移転(名義の変更)をしてから登録を抹消する」というもので、これを「移転抹消」といいます。移転抹消は新しい所有者の住所を管轄する運輸局で手続き可能です。また、この際元々の所有者の住所を管轄する運輸局では手続きができない為注意しましょう。
移転抹消について
この移転抹消は「所有者の変更手続き」や「抹消手続き」など様々な手続きを同時に完了させることができます。内容は細かく複雑な部分もありますが、事前にしっかり理解することで結果的に余計な手間や作業を省くことができるのです。車を譲渡する側としても譲渡される側としても、理解しておくことでより円滑に手続きを進められるでしょう。また、名義変更後に廃車の手続きが必要になります。必ず廃車手続きを行う前に名義変更手続きを終えてください。
パターン別、名義変更方法と必要書類
それでは名義変更をする上でどのような手続きや書類が必要なのでしょうか。ケース別に細かくご紹介します。
移転抹消をする上で旧所有者は下記の書類が必要になります。
旧所有者が準備する書類
- 申請書(OCRシート1号)
- 手数料納付書(自動車検査登録印紙を添付)
- 自動車検査証(車検の有効期間のあるもの)
- 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 譲渡証明書(新旧所有者を記入して旧所有者の実印を押印)
- 印鑑(本人が直接申請するときは印鑑証明書の印鑑(実印)、代理人が申請する場合、代理人は記名でよい)
- 委任状(代理人による申請を行う場合は実印を押印、本人が直接申請するときには不要)
また、新所有者は手続きの際に以下の書類が必要です。
新所有者が準備する書類
- 新所有者の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 新所有者の印鑑(本人が直接申請するときは印鑑証明書の印鑑(実印)、代理人が申請するときは代理人は記名でよい)
- 新所有者の委任状(代理人による申請を行う場合は実印を押印、本人が直接申請するときには不要)
- 新所有者の自動車保管場所証明書(住所等を管轄する警察署より証明を受けたもので発行後、概ね1ヶ月以内のもの)
※使用の本拠の位置が変更になり、且つ自動車保管場所証明書適用地域の場合に限り必要
さらに、新所有者・新使用者が異なる場合は下記の書類も追加で必要になります。
追加で必要になる書類
- 新使用者の住所を証する書面(個人においては住民票(マイナンバーが記載されていないもの)または印鑑証明書、法人にあっては登記簿謄本等で発行後3ヶ月以内のもの)
- 新使用者の印鑑(本人が直接申請するときは認印、代理人が申請するときは代理人は記名でよい)
- 新使用者の委任状(代理人による申請を行う場合は認印を押印、本人が直接申請するときには不要)
そのほか、費用として以下も用意が必要になります。
移転抹消にかかる費用の内訳
- 登録手数料 500円
- ナンバープレート交付手数料(自動車登録番号の変更を伴うとき) 約2000円
- 自動車取得税
出典:国土交通省
手続きを円滑に進めるためにも事前に入念な確認をしてから手続きに向かいましょう。
また、手続きは主に以下のような流れになります。
1.必要書類を揃える。
2.運輸支局へ行き「申請書」と「登録印紙」を購入し、必要事項を記入する。
3.書類一式を運輸支局へ提出後、車検証を交付してもらう。
4.税申告窓口で自動車税・自動車取得税申告書と車検証を提出する。※自動車取得税がかかる場合はこのタイミングで計算されます。
(以下、ナンバーの変更がある場合のみ)
5.ナンバー返納窓口にナンバープレートを返納し、新しいナンバープレートを購入する。
(古いナンバープレートを記念に持ち帰りたい場合は、ここでお願いすることで貰うことができます。)
以上で名義変更の手続きは終了です。そのほか、状況や新所有者の立場などにより別途必要な手続きや書類があります。
家族や知人の車を廃車する場合の、名義変更方法と必要書類
子どもが免許を取ったタイミングで親が子どもに車を譲る、親戚が使わなくなったので車を譲り受ける…など、親族間で車を譲り合うことは珍しくありません。その際はどのような手続きが必要なのでしょうか。
実は、家族や親戚などの近しい関係でも書類が不要になったり手続きが簡略化したりすることはなく、所有者が変わる上での手続きをそのまま行う必要があります。
未成年者に車を譲る時の注意点
また、車の譲渡の際に子どもなど未成年の方が所有者になる場合は、下記の書類も必要になるため注意が必要です。
必要書類
- 両親の実印を押した同意書
- 戸籍謄本
- 両親のうち1名の印鑑証明書
死亡した人から相続する場合の、名義変更方法と必要書類
まず車の持ち主が死亡してしまった時点で車は相続人全員の共有財産となり、相続の手続きが必要になります。この相続手続きが車でいうところの「移転抹消」になります。また、この場合の相続人全員とは、第1順位が死亡された方の「子・孫」、第2順位が「父母・祖父母」、第3順位が「兄弟・姉妹」です。そのほか、配偶者は必ず相続人となります。また、名義変更する人によって変更方法や必要な書類は異なります。また、相続先が決まっていない場合は一時登録抹消・永久登録抹消も1つの方法です。
特定の相続人に名義を変更する場合
特定の相続人に名義を変更する場合は、以下の書類が必要になります。
▼必須書類
車検証、戸籍謄本、もしくは戸籍の全部事項証明書
▼相続人全員(新所有者となる相続人を含んだ)によって手続きを行う場合
印鑑証明書、相続人全員(新所有者となる相続人を含む)の実印※本人が来られない場合は実印を押印した委任状、新所有者以外の相続人全員の譲渡証明書
▼遺産分割協議によって新所有者となる相続人(代表相続人)が手続きを行う場合
遺産分割協議書、遺産分割協議成立申立書、新所有者となる相続人(代表相続人)の印鑑証明書新所有者となる相続人(代表相続人)の印鑑証明書、代表相続人(新所有者となる相続人)の実印、車庫証明書
▼※相続人の中に未成年者がいて共同相続とする場合
戸籍謄本、もしくは戸籍の全部事項証明書※親権者が確認できるもの、親権者の同意書、親権者の印鑑証明書、未成年相続人の住民票
第三者に譲渡する場合
第三者に譲渡する場合は、以下の書類が必要になります。
▼「相続人」の必須書類
車検証、戸籍謄本、もしくは戸籍の全部事項証明書、
▼相続人全員が手続きを行う場合
相続人全員の譲渡証明書、相続人全員の印鑑証明書、相続人全員の実印※本人が来られない場合は実印を押印した委任状
▼遺産分割協議により代表相続人が手続きを行う場合
遺産分割協議書、代表相続人の譲渡証明書、代表相続人の印鑑証明書、代表相続人の実印※本人が来られない場合は実印を押印した委任状
▼「新所有者」の必要書類
印鑑証明書、実印※本人が来られない場合は実印を押印した委任状、車庫証明書
▼所有者と使用者が異なる場合
使用者の住民票、使用者の委任状
ローンが残っている場合の、名義変更方法と必要書類
ローン返済中の場合、変更方法や必要な書類に大きな違いはありませんが、車の所有者が自分である場合のみ名義変更は可能です。所有者が自分でない場合は名義変更ができません。車の所有者が自分かどうかは車検証の「車の所有者」の欄で確認ができます。
また、一部ローン借り入れ先の規約上で返済期間中の名義変更が禁じられている・制限している場合があるので、それは各自確認が必要です。名義変更した際のローンの引き継ぎについても、ローン会社によって対応は様々なので不明点は直接ローン会社に聞いて確認しましょう。
死亡した人から相続する車にローンが残っていた場合
死亡した人から相続する車にローンが残っていた場合は残っているローンは相続した遺族が支払うことになります。しかし、ローンの残高があまりにも高額であった場合は相続放棄も可能です。ただし、相続放棄をする場合は「車のみ放棄」ということはできず全財産と全債務を放棄することになるので他の財産や債務も踏まえて慎重に検討しましょう。
相続放棄は相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きが可能です。
廃車の種類と必要書類
廃車には「永久登録抹消」と「一時登録抹消」があります。それぞれの違いは以下の通りです。
永久抹消登録
自動車の登録を「永久的に取り消す」手続きです。この手続きをした場合今後登録の復活は一切できません。現在使用することがなく、今後も使用する予定がない車は永久登録抹消をしましょう。
永久抹消登録に必要な書類を揃えて管轄の運輸支局で手続きを行います。
永久抹消登録に必要な書類
- 車の名義人の印鑑証明書(発行日から3か月以内のもの)
- 自動車検査証(車検証)
- リサイクル券に記載されている「移動報告番号」の控え
- 解体業者からの報告書(解体証明)にある「解体報告記録日」の控え
- ナンバープレート(前後2枚)
- 車の名義人の実印(印鑑証明書の印鑑)
- 手数料納付書(※申請当日に運輸支局で入手)
- 永久抹消登録申請書(※申請当日に運輸支局で入手)
- 自動車税自動車取得税申告書(※申請当日に運輸支局で入手)
- 委任状※代理人が手続きする場合
永久抹消登録は、自動車の解体後15日以内に運輸支局か自動車検査登録事務所で手続きを完了させなければなりません。
一時抹消登録
自動車を「一時的に廃車状態にする」手続きです。廃車状態にするため、登録をした車はもちろん公道を走ることができません。出張や海外赴任など、長期間車を使わないことが明確である場合に利用します。
一時抹消登録で必要な書類を揃えて管轄の運輸支局で手続きを行います。
一時抹消登録に必要な書類
- 車の名義人の印鑑証明書(発行日から3か月以内のもの)
- 自動車検査証(車検証)
- リサイクル券に記載されている「移動報告番号」の控え
- ナンバープレート(前後2枚)
- 車の名義人の実印(印鑑証明書の印鑑)
- 手数料納付書(※申請当日に運輸支局で入手)
- 一時抹消登録申請書(※申請当日に運輸支局で入手)
- 自動車税自動車取得税申告書(※申請当日に運輸支局で入手)
- 委任状※代理人が手続きする場合
一時抹消登録の手続きも、永久抹消登録と同じ流れになります。運輸支局か自動車検査登録事務所で手続きを完了させます。
軽自動車を廃車する際に必要な書類
軽自動車を廃車する際は必要な書類を揃えて、管轄の軽自動車検査協会で手続きを行います。
必要な書類
- 所有者の印鑑
- 使用者の印鑑
- 使用済自動車引取証明書
- 自動車検査証(車検証)
- ナンバープレート
- 軽自動車税申告書
- 解体届出書
廃車は業者におまかせできる
手続きが大変そう、必要な書類が複雑で不安があるという方は業者にお任せするのも一つの手段として有効でしょう。おすすめは、廃車買取業者に廃車と廃車手続きをすべて一括でお任せしてしまう方法です。
廃車買取業者をご存知でしょうか?廃車買取業者とは、その名の通り廃車予定の自動車を買い取ってくれる業者です。もちろん登録抹消済みの車も買取可能になります。
自分で廃車の手続きをする際は基本手間も費用もかかります。しかし、買取業者にお願いすれば運搬や解体などの作業を代行してくれるのみならず、自動車に金額をつけて買取してくれるのです。さらに、会社にもよりますが登録抹消した車のみならず、水没した車・故障で走行が難しい車・事故車など、どのような状態でもほとんどの車を買い取りしてくれます。
「廃車の手続きが面倒」や「お金をかけるくらいならお金が欲しい」と少しでも思うのであれば、廃車買取業者にご依頼することをオススメします。
まとめ
車の名義を変更する際は、廃車をする前に名義変更が必要になります。名義変更で必要な書類や手続きは新所有者やその時の状況により様々です。これらの、名義変更を行った後に廃車手続きをしなければなりません。
本記事では様々なケースにおける必要な手続きと書類を説明しました。それらの正しい手続きを理解しなければ後々余計に面倒な手間が発生したり、大きな問題が起きたりする場合もあります。省ける手間は省きつつ、必要な手続きをしっかり行い無駄なく名義変更を完了させましょう。