車を長期間乗らない時の賢い保管方法は?車は長期間放置で故障するか

4都府県へ緊急事態宣言が発令されてから、一か月以上が経過しようとしています。当初の期限は5月11日まででしたが、その後期限延長を受けて5月31日までとなりました。5月25日には、さらに期間を延長する検討に入ったという一報もあり、人流を抑制し外出を自粛するという生活スタイルがまだ続きそうです。この期間に運転することが減り、車に一か月以上乗っていないというドライバーも多いでしょう。

実は、車は長期間乗らないまま置いていると、エンジンがかからなくなる、車が故障するといったトラブルが起こる可能性が高いとご存知でしょうか?

車に1か月くらい乗っていなくても、特に問題ないのでは?と思っている方もいらっしゃるかもしれません。実は、車は動かさない期間が1カ月以上あると、停車して置いているだけなのに故障しやすくなったり、実際に故障してしまうことがあります。
もちろん車の年式やそれまでの使い方、普通乗用車か軽自動車か、はたまたガソリン車かハイブリッドモデルか電気自動車かなどによって、車に起こるトラブルの内容は異なります。久々に運転しようとしたら車が動かなくて困った、ということも起こるかもしれません。

車に長期間乗らないまま放置したことで起こる故障などのトラブルや、長期間乗る予定がない車が故障しないよう賢く保管する方法をご紹介します。

ガソリン車を長期間使わないと、どんなトラブルが起こる?

ガソリン車に長期間乗らない時のトラブル

車に長期間乗らないまま置いていることで起こってしまう車の故障やトラブルというと、どんなことがあるのでしょうか。まずはガソリン車で長期間使っていない時に起こりやすい車のトラブルや故障について解説します。

車はちょっとだけに弱い?バッテリー上がりが起こりやすくなる

新型ウィルスの影響を受ける以前は、平日毎日30分程度通勤のために車を使用していたが、今はリモートワークになって週末に近所のスーパーまでの車で5分程度の運転しかしていない。

このような方も、決して少なくないでしょう。週に1回程度はエンジンもかけているし、車は使っているので問題ないと思っている方も多いと思います。
しかし、車はちょい乗りが続くとあまり良い使用状況とは言えません。特にガソリン車はちょい乗りが続くことで車のバッテリーが上がりやすくなり、エンジンがかからなくなるトラブルが起こる可能性があるのです

エンジンを始動するスイッチを押す、またはキーを回すと、バッテリーからセルモーターへ電気が供給され、エンジンの回転が始まります。ガソリン車を運転したことがある方は、始動時にこのセルが回る音を聞いたことがある方も多いでしょう。
エンジンが始動して走行が始まると、エンジン駆動によって車内の発電機(オルタネーター)から電気が発生します。その発生した電気をバッテリーに充電する仕組みです。このように車は走行時にバッテリーに充電する仕組みがあるので、電気を使い切ってしまうということがないのです。

しかし、車をちょい乗りし続けるだけでは、ずっと停めているだけの状態とほぼ同じです。電気は使うのに充電が出来ていない状態のバッテリーは蓄電がなくなっていまい、バッテリー上がりが起こる可能性が高いのです。
また、エンジンをかけることもなく置いているだけの車も、バッテリーが自然放電してしまうため、気づくと溜めていた電気が残っていないという状況になっている可能性があり、知らないうちにバッテリー上がりになっていることがあります。

車のタイヤの空気ちょっと減ったかも?目視でわかると危険

1カ月程度でタイヤの空気圧が大きく減ってしまうことはあまりありません。しかし、車に乗らなくなり半年から1年以上経っていると、空気圧が減少しタイヤが変形してしまっている可能性があります。
車のタイヤのゴムパーツ部分が、目視でわかるほど形が変わってしまっている場合、いざ動かそうとしてもタイヤが転がり抵抗を受けて転がらなかったり、ハンドリングが安定しなくて危険な運転になる可能性が高くなります。

車検が切れて再登録しようか悩んだまま1~2年置いていたという方は、エンジンには気を使っていたもののタイヤのチェックはしていなかったという方も少なくありません。
長期間の自粛生活で車を利用する機会が減り、車検を通さずに置いているという方は定期的なタイヤのチェックも行いましょう。

車を使わないまま放置すると車の中のガソリンが腐ることも

長期間車に乗る機会がなく1年以上放置していると、自動車ガソリンを含む燃料油は酸化劣化が進んでしまいます。ガソリンの酸化劣化が進むと、もともと着色処理されているオレンジ色から濃い褐色に変色し、さらに性質も酸性化してしまうため刺激臭が発生します。また、保管の仕方によっては軽質分が蒸発してしまい、蒸発しづらい重粘度の高い部分のみが残るため、どろっとした状態になります。
変質してしまった燃料油を無理に使用しようとすると燃焼不良や着火不良などが起こるため、エンジン故障の原因や車両火災の原因になる可能性があります。

長期間放置している車でガソリンもそのまま入れていたという方は、異臭がする、目視で変色していると気づいたら、無理にエンジンをかけようとせず不動車の引き取りが出来る廃車業者等に依頼するようにしましょう。

ハイブリッド車・EV車に長期間乗らないと起こるトラブルや故障とは?

ガソリン車の長期間使わない時のトラブルについて前述しましたが、ハイブリッド車や電気自動車(EV車)を長期間使わないと、どんなトラブルや故障が起きてしまう可能性があるのでしょうか。
純ガソリン車以外の低燃費自動車のシェアも近年確実に増えてきていますので、ハイブリッド車を所有している方、購入予定の方は参考にご覧ください。

補機バッテリー上がりが起こる可能性が高い

ハイブリッド車は駆動用バッテリーと、補機バッテリーの二つのバッテリーを搭載している車が一般的です。駆動用バッテリーは車のモーターを動かすための大容量バッテリーで鉛ではなく、水素ニッケルやリチウムイオンバッテリーが多く、2~3か月程度車を使わなくてもすぐにバッテリー上がりになることはありません。

しかし車の電源を入れるための電力や電装品への電力を供給している補機バッテリーは、1カ月程度車を使っていない期間があると、バッテリー上がりを起こしてしまうことがあります。補機バッテリーの充電をするには、一定時間ある程度の距離を走行する必要があり、メンテナンスや交換の目安が2年~5年となっている部分はガソリン車の畜鉛バッテリーに少し似ています。ただしハイブリッド車の補機バッテリーは車種ごとに専用補機バッテリーを用意している場合があり、もしもバッテリー上がりが続いて交換となった場合、ガソリン車のバッテリー交換以上の費用がかかるかもしれませんので、出来る限り劣化しないように使用することが大切です。

駆動用バッテリー上がりが起こってしまうこともある

補機バッテリーは容量が小さい畜鉛バッテリーのためバッテリー上がりの心配があるとお伝えしましたが、実は駆動用バッテリーも絶対にバッテリ上がりしないというわけではありません。数多くのハイブリッドモデルを販売するトヨタ自動車のよくあるご質問のコーナーでも、駆動用バッテリーでもバッテリー上がりが起こることはあると書かれています。実際に海外へ半年間出張に出かけていて、帰国後すぐに車を使おうとしたところリチウムイオンバッテリーが動かず、バッテリ上がりを起こしていたということもあったようです。

駆動用バッテリーがバッテリー上がりを起こしてしまった時は、救援車によるブースターケーブルの充電は出来ません。ディーラーに相談し、ロードサービス等を読んで専用機器のある充電施設へ持ち込む必要があります。
また、一度バッテリ上がりをしてしまうと部品の劣化が進みます。ハイブリッドモデルの駆動用バッテリーは大容量のリチウムイオン電池またはニッケル水素電池バッテリーです。駆動用バッテリーが劣化し交換するとなると、メーカーによって費用に差はありますが基本的に30万円~60万円の部品費用とさらに交換工賃がかかります。新車購入時に補償等をつけておくと費用を抑えることが出来る場合もありますが、決してお安くはありません。

駆動用バッテリーと補機バッテリーは、外気の温度変化に弱いという特徴がありますので、夏場や冬場など、気温の変化が大きい時期は特にバッテリ上がりに注意が必要です。

車に長期間乗ることがないと分かっている時の対策方法は

長期間車に乗らない時の対策方法

長期出張の辞令があった時、海外留学する時、入院予定となった時など、車に長期間乗ることがないと前もってわかっている場合、その期間中に車に故障が起きないように対策することはできるのでしょうか。

バッテリー上がりを防ぐために出来る対策

ガソリン車のバッテリーや、HV車やEV車の補機バッテリーのバッテリー上がりを防ぐための対策としては、月に一回程度30分以上の充電ドライブすることをおすすめします。車の所有者当人が運転を出来ない状態の場合は、ご家族などに依頼出来る状況であれば、たまにエンジンをかけて少し走らせてと依頼するのも良いでしょう。ただし、所有者以外が運転を行って事故等起こしてしまった時、任意保険等で所有者以外の使用者が車を使用した時の補償をつけていないと保険対象外になるなど、更なるアクシデントが発生する可能性があります。

しかし充電ドライブが出来ない状況ももちろんあると思います。このような場合は、バッテリーのマイナス端子のみ外しておくことで自然放電を防ぐことが出来ます。
車のバッテリーは駐車時も常時電力を使用しています。オーディオやカーナビのバックアップ、車の盗難防止のセンサーなど停車しいている間も電装品に電力が使われていますし、スマートキー対応の車は随時待機電力が必要です。1か月間充電なく、電力供給だけしている状態のため、バッテリー上がりが起こってしまうのです。このようにバッテリーが電力を使わないようにするには、ターミナルのマイナス端子を外しておくという方法があります。バッテリーからターミナルを外す時、注意するポイントは必ずマイナス端子を外すことと、何かの拍子にターミナルが触れて通電しないようにしておくことです。また、ターミナルを外すことが難しい方にはカットオフというバッテリー端子に取り付ける接続と解除を操作できるカー用品も販売されています。

バッテリーのマイナス端子を外しておく方法は注意が必要

バッテリー上がりを防ぐためや、劣化を防ぐためにマイナス端子を外しておくという方法があります。しかし、マイナス端子を外し、バッテリーとの接続を解除することによるデメリットもあります。
1つ目は、バッテリーから電源供給を受けている電装品にトラブルが起こる可能性や、初期化されデーターが失われる可能性があることです。例えばカーナビはバックで随時電源供給を受けることでデータを更新しているため、電力供給が止まるとHDDが壊れて使えなくなったり、今までに記憶していたデータが消えて初期化される可能性があります。

また、エンジンの制御ユニットに学習機能がついているものも、学習した内容が初期化されてしまうことがあります。

車内や車外の湿気対策に除湿剤をおいておく

車を置いておく時期や、保管場所の状況によっては湿気が起きやすい場所もあります。車を置いている駐車場が砂利や土に直接車が触れているところであったり、屋根がない駐車場の場合は上空や地面からの湿気を車が吸収してしまいます。そうなると車の外装や足回りに錆が出たり、内装やトランクにカビが発生することもあります。生活用品店で購入することもできますが、気を付けないといけないポイントは除湿剤の中身がこぼれない工夫です。除湿剤は除湿しだすと水が中にたまります。その水の中に含まれる塩化カルシウムがもしもこぼれてしまうと、錆の原因になります。動かすことは基本ない車に置く前提ではありますが、ガムテープ等で動かないように設置するなどしておきましょう。

ディーラーに長期間車を使用できない状況であると相談する

上記のようにいくつか対策方法をご紹介しましたが、まず長期間車を使用できないような場合であれば、対応方法を車を購入したディーラーに聞いておくと安心です。それは、車種や車の使用状況・メンテナンス状態によって、長期保管時の一番良い対策が異なるからです。特にディーラー車検や定期点検を依頼している方は、相談されることをおすすめします。

まとめ

長期間車に乗ることが出来ない時の対策

車に長期間乗らないと起こるかもしれない車の故障や、トラブルについてご紹介しました。特に注意するところはバッテリー上がりです。バッテリーの放電状態が続くと劣化が進んでしまいます。救援車を呼んで接続しても十分な充電ができなかったり、エンジンがかからないこともあります。また、ハイブリッドモデルのリチウムイオンバッテリー等、救援車では充電が出来ないバッテリーのバッテリー上がりの場合もロードサービス等に依頼が必要となり、工賃もかさみます。

ご紹介したような車を長期間置いておく時の対策などを行い、出来るだけ車の状態を故障やアクシデントへ進まないようにしておくことが大切です。

また、古い車の場合、バッテリーの劣化やオイル交換が出来ていなかった車は長期間置いておくと完全不動車になってしまっていることもあります。
その場合は修理を行っても費用が嵩んだり、修理自体が難しいと言われることも少なくありません。不動の車でも廃車引き取りや買取が可能な業者もありますので、不動車を放置してしまうよりは、廃車の判断をされることをおすすめします。