車が保安基準を満たしているかを確認する車検。この手続のためには多くの書類が必要ですが、ユーザーの居住地を示すための住民票は必要なのでしょうか。
どんなケースの場合に車検で住民票が求められるのか、車検にはどんな書類が必要なのかについて紹介します。
車検に住民票は必要?
車検には多くの書類が必要とされていますが、その中には住民票は含まれているのでしょうか。
住所変更時に住民票が必要
車検において通常の手続きを行う場合、住民票は必要ありません。ただし、引っ越しや区画整理などにより住所が変わった場合、車検証に記載されている住所が現住所とは違うものになります。
住所に変更があった場合には15日以内に車検証の住所を現住所に変更する必要がありますが、その変更手続きの際に住民票が必要となります。
住所変更をしない場合どうなる?
住所が変わり、車検証に記載された住所と一致しなくなった場合には、15日以内に陸運局に届け出を行う必要があります。この住所変更の手続きを行わなかった場合、どのような問題が発生するのでしょうか。
自動車税納付書が届かない
毎年4月1日時点で車を所有している人は、自動車税を納付する義務があります。自動車税納付書は車検証に登録されている住所に届くため、車検証の住所が変更されていないと、以前の住所に届いてしまいます。
自動車税を納付していないと、納付が済むまで車検を受けることができなくなる上、悪質と見られた場合には懲罰金が課せられることもあります。
自賠責保険の通知書が届かない
車に乗る際に加入が義務付けられている自賠責保険。原則として自賠責保険は車体番号で管理されており、現住所と登録されている住所が異なっていても、規定通りの保険金は支払われます。
自賠責保険は車検と同期間で加入している人が多いですが、何らかの理由で期間がずれている場合、自分で保険切れ前に再加入しなければなりません。
登録住所が異なる場合、期限切れ目前で送られる通知書が届かなくなります。通知がないため自賠責保険切れに気が付かず、事故を起こしたら保険が下りないということもありますので、忘れずに住所を変更しておきましょう。
なお、自賠責保険は民間の保険会社と契約するため、変更の届け出先は契約している保険会社です。
最悪逮捕の可能性あり
住所が変更になった場合、15日以内に変更の手続きを行うよう道路運送車両法で定められています。この期間を超えて現住所と車検証の住所が異なる状態は違法であり、道路運送車両法第109条二号により50万円以下の罰則が定められています。
また、意図的に虚偽の住所が登録されているとみなされた場合には、最悪逮捕されることもあります。よほど悪質でもない限り罰金も逮捕も無いようですが、万が一の危険性を残さないよう、早めの住所変更を心がけましょう。
不安な場合はお近くの車検専門業者を利用するのもおすすめです。
車検時に住所変更する注意点
登録住所の変更は、車検の際に同時に行うという人も多いでしょう。住所変更のためにはいくつかの書類を準備する必要がありますが、どんな物が必要なのでしょうか。
住所変更に多くの書類が必要
住所変更に必要な書類は以下の通りです。
- 自動車検査証(車検証)
自動車が保安基準に適合しており、公道を走れる状態であることを証明する書類です。この車検証に登録してある住所に対し、自動車税納付書やその他の関連書類が送付されます。
- 自動車保管場所証明書(車庫証明)
所有する自動車を保管する場所を確保していることを証明する書類です。車庫証明を取得するには、いくつかの条件があります。
1. 保管場所として使用できる権利を持つこと
2. 保管場所が道路以外の場所であること
3. 保管場所が使用の本拠の位置から直線2kmにあること
4. 自動車を道路から支障なく出入りさせられ、自動車全体を収納できること
車庫証明は車庫となる場所を管轄する警察署で申請書類をもらいます。自宅の庭などその場所を所有している場合と、月極駐車場など他者から借りている場合で、提出する書類がわずかに変わります。
必要書類がすべて揃ったら再び警察署に届け出を行い、問題なければ1週間後に警察署で受け取ることができます。
なお、住所変更の手続きに使える車庫証明は1か月以内のものに限りますので、車庫証明を取ったらすぐに手続きを行いましょう。
- 手数料納付書
住所変更を含む、各種手続きの費用を支払うための用紙です。陸運局でもらえるので、規定の金額の印紙を貼り付けて納付します。
住所変更の登録費用は350円です。
- 申請書
住所変更を申請するための用紙です。コンピューターで読み込むOCR用紙で、正式名称は「第1号様式」です。陸運局の窓口で配布されています。
記入された内容をコンピューターで読み取り、その内容に従って新しい車検証が発行されます。記入の際には記入ミス・漏れ、汚れには十分注意しましょう。
- 住民票
現在居住している住所が記載された住民票です。原則として
1. 発行から3か月以内のもの
2. マイナンバーの記載がないもの
3. 現住所と前住所の繋がりがわかるもの
が必要です。もし複数回引っ越しをし、現住所の住民票に記載されている前住所と車検証の住所が異なる場合、前住所の住民票(除票)も合わせて用意する必要があります。
- 印鑑
各種書類に押印するための印鑑です。事前に用意できる書類にも押し直しが必要となる場合がありますので、忘れずに持っていきましょう。
ナンバープレート持ち込み費用がかかることも
異なる管轄の自治体へ引っ越しする場合、ナンバープレートが再発行され、新しいプレートに付け替える必要があります。
車検ラインを持つ指定工場で車検を行う場合、車検業者は車検場に出向く必要がありません。そのためプレートの付け替えのために車検場に出向くことになるため、その分の費用を別途請求されることがあります。
業者によっては高額の手数料を請求される場合もありますので、手数料がどれだけかかるのか、あらかじめ車検を依頼する業者に確認しておきましょう。
車検に必要な書類
車検の際に住所変更を行うとしても、肝心の車検が通らないのではいけません。改めて車検に必要な書類を確認しておきましょう。
業者に依頼するときに必要な書類
代行業者に車検を依頼する際に必要な書類は以下の通りです。
- 自動車検査証(車検証)
車が保安基準に適合していることを証明する書類です。公道を走る際には携帯する必要があるため、多くのユーザーはダッシュボードに保管しています。
- 自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証明書)
車に乗る際に加入が義務付けられている対人保険「自賠責保険」に加入していることを証明する書類です。車検証同様、公道に出る際には携帯が義務付けられています。
- 自動車税納税証明書
毎月4月1日時点で車を所有しているユーザーに課せられる「自動車税」の納付を証明する書類です。ただし、自動車税を滞納しておらず、納付から3週間以上が経過している場合には、陸運局のコンピューターで納付状態を確認できるため、書類提出は免除されます。
- 認印
各書類に押印するのに必要です。
ユーザー車検を行うときに追加する書類
ユーザーが自分で車検を行う「ユーザー車検」では、業者に依頼する際に必要だった書類に加え、作成を代行してもらえた書類も準備する必要が出てきます。
- 自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証明書)※新旧両方
車検を通す際に、次の車検を行うときまで自賠責保険の契約期間があることを証明する必要があります。
ユーザーが自分で自賠責保険に加入すれば、その際にもらえる証明書が2年間加入している証となります。
- 自動車検査表
車検の点検項目にチェックを入れていくための書類です。陸運局の窓口で配布されていますので、当日受け取ればよいでしょう。
- 自動車重量税納付書
自動車の車体重量に対して課税される「自動車重量税」の納付書です。用紙は陸運局の窓口で配布されています。窓口で納税に必要な金額の印紙を購入し、用紙に貼り付けて提出します。
- 継続検査申請書
車検証を発行する際に必要な書類です。正式名称を「専用3号様式」といい、記載内容をコンピューターで読み取ります。用紙は陸運局の窓口で配布しています。
- 定期点検整備記録簿
これまでどんな点検・整備を受けてきたかの履歴が記載されている書類です。12か月点検、24か月点検の内容もすべて記載されています。
上記のように、普段なじみのない書類を扱う際には注意が必要ですので、不安な場合はお近くの車検対応店舗をご利用ください。
まとめ
車検の際には多くの書類が必要ですが、住民票は必ずしも必要な書類ではありません。住所の変更があった場合には、陸運局で車検証に登録された住所を変更する必要があり、その際には取得して3か月以内の住民票の提出が求められます。
車検証の住所を変更しない場合、自動車税納付書を始めとした関連書類が届かなくなり、通常通り車検を受けられなくなる場合があります。また最悪の場合には懲罰金や逮捕につながることもあるため、引っ越しをしたら早めに住所変更手続きを行っておきましょう。