【意外と厳しい?】車検の審査基準についておさらい

2年に1回必ず受けなければいけない車検。必須とは言われていても、何のためにどんな検査をしなければいけないのか、よくわからないという人も多いでしょう。

車検とは何のために、どんな基準で検査を行っているのかご紹介します。

車検の審査基準とは

車検は、車が安全に公道を走るために必要な基準を満たしているかの検査ですが、その検査には公的に定められた審査基準が存在します。

車検は保安基準に適合しているかの検査

車検で検査される項目は、道路運送車両法 第三章の規定に基づき、昭和二十六年運輸省令第六十七号において「道路運送車両の保安基準」として定められています。

制定されたのは古い法律ですが、車の技術の進歩や交通事情などに照らし合わせた改正が行われています。

車検で検査される項目

車検時に検査される項目は全部で20項目におよび、公道を走行してもよいとされる基準を満たしているか審査されます。

外観の検査

検査員により、ヘッドライト・ブレーキランプなどの灯火類が正常か、クラクションの音量・音質は正常か、ガラスやライトカバーに亀裂が入っていないかなどが検査されます。またエアロパーツが基準値以上の大きさになっていないか、不適切な材質を使っていないかといった点も見られます。

また、ボディ自体に大きな痛みがないかも車検の審査対象です。多少の傷やへこみなら問題ありませんが、フレームがゆがむほどの大きな損傷は、車が危険な状態にあると判断され、車検に合格することはできません。

エンジンルームの検査

ボンネット内のエンジンルーム点検ではエンジンの改造の有無、バッテリーの設置状態といった点も検査の対象となります。

またエンジンオイル、冷却水、ウォッシャー液などの液体類が十分な量があるか、ラジエーターホースキャップ、エアクリーナー、タイミングベルトなどのベルト類は損傷や摩耗がないか、液漏れにより汚れ・劣化がないかといった点が点検されます。

タイヤの検査

「サイドスリップ検査」により、タイヤが正常に止まることができる状態かを確認します。ユーザー車検を行う場合には、電光掲示板の指示通りに発進・停止をし、決してハンドル操作をしないように注意しましょう。

またタイヤ・ホイールを交換している場合、フェンダーからはみ出していないか、ボディに接触していないかといった構造上の基準を満たしているかも見られます。

ハンドルの検査

ハンドルから手を離した状態で真っ直ぐ走ることができるかを確認します。徐々に左右どちらかにずれてしまう場合は失格となりますので、整備士による調整が必要です。

またハンドルは社外品に交換することが多いパーツです。ホーンマークがついており、運転席に座った時にしっかりとメーターを視認できれば問題ないでしょう。

スピードメーターの検査

実際の速度とメーターの表示の誤差が基準値以内であるかを測定されます。タイヤ・ホイールを交換し、径が変わってしまっている場合にはここで大きく誤差が出る場合があります。

ヘッドライト等灯火類の検査

ヘッドライトを含む灯火類は、パーツごとに非常に厳しい基準が定められています。チェックされるのはヘッドライト、スモールライト、ウィンカー、フォグランプ、バックランプ、ブレーキランプです。

それぞれ灯光の色、明るさ、位置、角度、左右が対照かなど、細かく規定されています。角度は足りなくても行き過ぎてもダメ、光量も強すぎても弱すぎてもダメと、基準内に正しく収める必要があります。

ブレーキの検査

ブレーキはフットブレーキとサイドブレーキの2種類が検査対象です。フットブレーキはしっかりと踏み込み、規定通りの制動力を発揮できるかを確認されます。

サイドブレーキは手で引くタイプ、足で踏み込むタイプがありますが、どちらも引きしろ(踏みしろ)が十分にあり、ブレーキを利かせた際にしっかりとタイヤがロックされていれば合格です。

排気ガスの検査

マフラーから排出される排気ガスに、有毒ガスが一定以上含まれていないかを検査されます。マフラーが劣化や破損により正常でない場合、また車検に対応しない外部パーツに交換していた場合には不合格となり、マフラー全体の交換が必要になるケースもあります。

車検時に注意したいパーツ

社外品を使って改造した車のパーツは、車検時には取り外さなければいけないと言われることがあります。しかし必ずしもすべてのパーツを取り外す必要はなく、車検に合格できる品を使用していれば問題ありません。

愛車のパーツが基準を満たしているか不安な場合は、お近くの専門業者のアドバイスを受けるのもひとつの手段です。

マフラー

車検で不合格になりやすい外部パーツの一つがマフラーです。マフラーは車の後部に配置された筒状のパーツだけを指すのではなく、排気ガスを排出するための配管全てを指します。

保安基準では、地上から最低9cmの高さを確保することを義務付けています。後部の筒は9cmより高くても、配管部分がそこよりも低いため不合格になるケースも少なくないようです。

マフラーを交換する際には、純正品か「車検対応品」「保安基準適合品」として認められているJASMA(日本自動車スポーツマフラー協会)の認定証がついている品を選ぶようにしましょう。

タイヤホイール

タイヤは2017年6月に保安基準が改正。タイヤの最も外側の部分が、フェンダーから10mm未満ならはみだし可とされました。しかしホイールははみ出してはいけないため、実質的にはほぼ変化なく、はみだしは不可と考えておいたほうがよいでしょう。

ホイールはメーカー純正なら問題ありませんが、もし社外品のホイールに交換なら「JWL」「VIA」といったマークが入っていないと、車検では不合格とされます。

カーナビドライブレコーダー

カーナビ、ドライブレコーダーの装着は保安基準により規制されていません。しかし、取り付け位置によってはダッシュボード、ウインドウに関する規定により、車検に不合格となってしまうこともあります。

近年流行の大画面ナビをダッシュボードに装着する場合、フロントウィンドウが隠れてしまうようだと不合格とされます。ドライブレコーダーはフロントウィンドウの上部20%以内に収まっていれば問題なし。ルームミラー装着型なら、ほぼ100%安心といえるでしょう。

車高

車高を調整するサスペンション、いわゆる「車高調」は、組み込むこと自体は問題ありません。車検時の車高が地上から最低9cm以上となっていれば、車検には合格できます。

ただし、元々エア式のサスペンションのところをコイル式のサスペンションに交換した場合、車の構造を変更したことになるため、構造変更申請を行う必要があります。

なお、一時的に車高を調整し車検を突破したとしても、不用意に下げた車高は思わぬ事故の元になります。車検のために一時しのぎの調整をせず、安全が確保できる範囲での調整を楽しむようにしましょう。

基準を満たしていない場合には

車検は1回で合格することもあれば、基準を満たせず不合格となることもあります。車検に不合格となってしまった場合、どのような対処ができるのでしょうか。

当日の再検査は2回まで無料

車検に不合格となった場合、当日の間に2回までは無料で車検を受けなおすことができます。ブレーキ検査の際の踏み込みが甘かった、ライトの操作を誤ってしまったなど、小さなミスで不合格となった場合には、すぐにやり直すことができるでしょう。

もし無料の再検査の間に合格できなかった場合、さらに有料で当日中に追加検査を受けられます。検査手数料は1,200円必要です。

限定自動車検査証を発行し15日以内に再検査

もし車検を受ける時間が遅かった、大きな問題が見つかって大規模な整備の必要があるという場合には、「限定自動車検査証」を発行してもらい、15日以内に再検査を受ける必要があります。

限定自動車検査証が有効の間は、再検査は不合格になった個所のみ受けなおせばよいですが、有効期間を過ぎてしまうと最初から受けなおさなければなりません。長引かせている間に車検自体の有効期限が切れてしまうこともありますので、早めに再受験しましょう。

今回ご紹介したほかにも、車検に対して不安なことがある場合は、お近くの専門業者にご相談ください。

まとめ

車検は、道路運送車両法によって定められた保安基準を満たしているか検査するための手続きです。その検査項目は全20項目と多岐に渡り、細かい基準が設けられています。

何らかの理由で車検に不合格となった場合、当日なら2回までは無料、それ以降は1回1,200円で再検査を行うことができます。もし当日中に合格できない場合には限定自動車検査証を発行してもらい、15日以内に正式な車検に合格できるように手続きを進めましょう。