チャイルドシートは自動車に乗る幼児を守るため、必要な乗車装着です。小さなお子様は抱きかかえていれば大丈夫と思われるかもしれませんが、不意な衝撃によって増す重量は、腕で支え切れる重さではなくなってしまいます。
お子様を乗り物による事故から守るため、平成12年に改正された道路交通法により、チャイルドシートの使用は義務付けられることになりました。
こちらでは、チャイルドシートの使用義務とはどんな内容で、違反すると罰金はあるのか?チャイルドシートにはどんな種類があるのかなど詳しく解説しています。
チャイルドシートの使用義務は何歳まで?
チャイルドシートの使用は、6歳未満の幼児まで義務づけられています。
道路交通法第71条-3において、「自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際、座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であって、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない」となっています。
この幼児に対する年齢の定義は、道路交通法第14条の「児童6歳以上13歳未満の者、幼児6歳未満の者」から、6歳までが対象となります。
チャイルドシートの使用義務を怠ると
チャイルドシートを自動車に装着せず、成人用に設置されているシートベルトを幼児に着用させ同乗した場合、突然の事故や急ブレーキ等で衝撃を受けると、シートベルトが幼児を適切に保護出来ず、首や腹部を圧迫してしまい、重大な傷害が発生する可能性があります。また、シートベルトも装着させず、座席にそのまま着座していた場合は、衝撃を受けて身体が車外に投げ出されてしまうなど重大な事故につながる可能性もあります。
チャイルドシートの使用率はまだまだ低い
チャイルドシートの使用が義務づけられた、平成12年の法改正から10年以上が経過しているものの、まだまだチャイルドシートの使用率は低い状態です。令和元年6月に、警察庁と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が合同で実施した、チャイルドシートの使用状況全国調査の結果では、チャイルドシートを使用している割合は70.5%で、次に多かった車両シートにそのまま着座は14.1%となっていました。
チャイルドシート不使用での、不使用者の致死率は適正にチャイルドシートを使用しいている時に比べて約8.1倍となっています。
チャイルドシートの使用義務違反はドライバーが罰せられる
6歳未満の幼児を同乗させるドライバーには、チャイルドシート(幼児用補助装置)の使用義務があります。もしもこの使用義務を守らず、そのまま着座させて運転していた場合、同乗させた運転者が罰せられます。
チャイルドシートの使用義務違反の罰則とは
チャイルドシート(幼児用補助装置)の使用義務違反によるドライバーへの罰則は、交通違反点数1点です。反則金等は特にありません。交通違反点数は加点制ですので、違反点数が6点を超えると前歴がない人でも30日の免許停止になります。
チャイルドシート使用出来ない場合はどうなる?
道路交通法にもあるように、疾病によってチャイルドシートが使用出来ない場合は免除されます。また、小さなお子様の成長速度はそれぞれ違います。同年代のお子様と比べて身体が大きいお子様もいるでしょう。すでに身体的に問題なく座席ベルト(シートベルト)が使用出来るという6歳未満のお子様であれば、幼児用補助装置の使用義務は免除されていますので、シートベルトを正しく装着し車に乗るようにしましょう。
チャイルドシートにはどんな種類があるの?
チャイルドシートは、子供玩具店やカー用品店など様々なところで取り扱われていますが、どのような種類があるのか、またどのようなものを選ぶといいのかわかりませんよね。
まず選ぶ際のポイントの一つが、国の安全基準適合が確認されたチャイルドシートであるかどうかです。国の現行の安全基準適合が確認されたチャイルドシートには、Eマークが添付されています。また、現行の安全基準ではなく2012年6月30日以前に製作された旧基準を満たしたシートには、自マークが添付されています。いずれかのマークが添付された適合商品の中から、使用する予定の車種と適合するチャイルドシートを選び購入しましょう。
チャイルドシートの選び方はお子様の成長に合わせて
チャイルドシートは、赤ちゃんが生まれる前に準備するところから始まります。新生児の赤ちゃんから使用できるチャイルドシートはベビーシートといわれることもあります。このような乳児用のベビーシートの適用体重は10kg未満、身長が70cm以下、新生児から1歳ぐらいまで使用します。乳児用と幼児用の兼用できるチャイルドシートを選ぶ場合は、新生児から4歳くらいまで使用します。体重は新生児から18kg未満までが目安ですので、みんなより大きくなるのが早いお子様の場合は、ジュニアシートに移行することもあります。ジュニアシートは、もともと車に設置されている成人用のシートベルトを使用します。身体つきがまだ小さい子供は、成人用のシートベルトが首にかかってしまう危険があるため、ジュニアシートやブースターシートなどを使用することで、安全にシートベルトを使用することが出来ます。
赤ちゃんのためにもチャイルドシート
1歳未満の乳児には乳児専用ベビーシート、または乳児と幼児兼用のチャイルドシートがあることを前述しました。新生児から使えるチャイルドシートもしくはベビーシートは、フラットに寝かせることが出来るシートになります。首の据わっていない新生児の赤ちゃんは、頭を支える部分がしっかりしているシートや、頭からお尻まで一直線の姿勢でいられるように作られていてお腹が圧迫されることのないシートがおすすめとなっています。特に新生児の赤ちゃんは身体が柔らかいため、首の周りなどホールド力があり、姿勢が安定するベッドのようなベビーシートが人気となっています。
チャイルドシートの設置方法は二通り
チャイルドシートはもともとある座席に装着する幼児用補助装置です。装着の仕方は、車種やメーカーによって適合が異なります。
シートベルトで固定するベルト固定タイプと、ISO-FIXという専用金具でチャイルドシートを座席に固定するタイプがあります。ISO-FIXは、シートベルトによるチャイルドシートの取り付けが困難で、取付ミスが多かったということや、安定性が弱くグラグラするといった声が多かったことから誕生した取付器具です。チャイルドシートについているコネクタ部と、クルマに元からついている固定金具を連結させるだけで、しっかりと安定するため簡単に取り付けることが出来るようになっています。
例えば、2020年の燃費が最も良い普通自動車ランキングで一位だったトヨタ・ヤリスには、後部左右の席に汎用ISO-FIX対応チャイルドシート固定専用バーが設置されています(新保安基準適合のみ使用可能)。
また、チャイルドシートを使用する席は出来るだけ後部座席が良いでしょう。現在新車で販売されている自動車は、助手席の前面にエアバッグが設置されています。エアバッグは事故などによる衝突時の被害を軽減するための装置ではあるものの、成人用に設計されています。体の小さな子供にとっては適切に機能しない可能性があるだけでなく、被害が大きくなってしまうことがあります。どうしても助手席にチャイルドシートを装着する必要がある場合は、助手席のシート自体を一番後ろまで下げ、チャイルドシートは前向きに取り付けるようにしましょう。
まとめ
チャイルドシートの使用は、平成12年に改正された道路交通法により、運転者に義務付けられています。チャイルドシートの使用義務は、6歳未満の幼児までとなっていますが、6歳以上の児童であっても、成人用のシートベルトでは体格にあっていないこともあります。そのような場合は、ジュニアシートやブースターシートといった補助装置を使用し、同乗する子供が安全に自動車で移動が出来るようにしましょう。
チャイルドシートは、子供を守るための大切な補助装置です。
チャイルドシート未使用であっても運転者に罰則や反則金はなく、交通違反点数の加点のみではありますが、安全基準に適合したチャイルドシートをしっかりと装着し、自動車に乗る子供を交通事故の被害から守りましょう。