廃車買取を専門とする業者では、他の買取業者で値がつかない車でも0円以上で買い取り、さらに無料で車の運搬や廃車の手続きまでしてくれます。それでも経営できるのは利益を出せるからです。
廃車買取業者がどのように利益を出しているのか紹介します。


廃車の買取で利益が出るワケ
一般的な中古車買取業者では、買い取った車をそのまま流通させるのが主流です。例えば自店で販売したり、業者間のオークションで取引したりします。そのため、人気や需要のある車は高く買い取ってくれますが、そうでない車は値がつかなかったり、買取自体を拒否されたりしがちです。
日本では年式の古い車や、走行距離の多い車は不人気です。どちらも劣化が進んでおり、いつ故障するのか分かりません。車検を通すために部品交換が必要になり、高額の費用がかかる場合もあります。また、事故歴のある車や水没した車は、修理して見た目は問題なさそうでも、どこかに不具合が潜んでいる可能性があり、安心して乗れません。価格が安いからと割り切って乗る人は少なく、買い手がつかずに売れ残ってしまいます。業者でも、車の在庫を抱えるのは経費や手間がかかりますから、長期にわたって売れ残るのは大きな損失です。だからといって廃車にするのも費用がかかります。こうした損失を防ぐために、不人気だったり、問題があったりする車は、初めから安く買い取るか買取自体を拒否するのです。
廃車買取業者は販路が幅広く買取ができる
一方、廃車買取業者は買い取った車をさまざまな形で流通させることができます。例えば車として販売するときも、国内だけでなく海外への輸出が可能です。主な輸出先として、ロシアや東南アジア、アフリカなどがあります。
海外では日本車の人気が高く、年式が古くても走行距離が多くても気にしません。事故歴のある車でも水没した車でも、走りさえすれば購入してくれます。実際に海外では数十年前のモデルや、20~30万kmを超える走行距離の車が現役で活躍中です。日本車を修理できる業者もいます。最近ではHVやEVにも対応できるほどです。
たとえ買い取ったときには故障して動かない車でも、修理できれば再販できます。修理できなくても、解体すればスクラップを売却して換金できますし、パーツを再利用して販売するのも可能です。廃車買取業者は自社で工場を持っているところが多く、修理や解体を外部に委託すると発生する中間マージンを省略できます。このように、廃車買取業者は利益を出す方法を多く持っているので、どんな車でも0円以上で引き取り、廃車に伴う費用もかからないというわけです。
廃車買取があなたにもメリットがある理由
車を手放すとき、廃車買取業者を利用するメリットは主に2つあります。
廃車買取業者に売却すると手間と費用がかからない
1つは、廃車に伴う手続きを代行してくれて、費用もかからないところです。自分で廃車するには、車を解体して運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会)で手続きしなければいけません。
車を解体するには費用がかかります。車の大きさにもよりますが、1~2万円くらいです。車が自走できなければレッカー車や積載車で解体業者まで運ばなければいけません。こちらも距離に応じて1~2万円くらいです。リサイクル料金は新車の購入時に支払うものですが、中古車のように支払われていない場合は、解体時に請求されます。車種によって異なりますが、7千円~2万円が相場です。運輸支局や軽自動車検査協会での手続きは平日の日中しか受け付けておらず、仕事で行けないドライバーも多いでしょう。また、住んでいる地域によっては遠く離れているところもあります。行政書士に手続きの代行を頼むと1~3万円くらいです。つまり、最大で9万円以上かかる可能性があります。
廃車買取業者では、これらの費用がかからず手続きも代行してくれるので、ドライバーは指定された書類を用意するだけです。あらかじめ業者から委任状と譲渡証明書を渡されるので、必要事項を記入して実印を押します。実印の印鑑証明書は自治体の窓口で入手可能です。車検証や納税証明書、リサイクル券、自賠責保険証明書も揃えておきましょう。準備ができたら、都合の良い日に車を引き取りに来てもらい、同時に書類も渡せば、ドライバーの役割は完了です。あとは廃車買取業者が解体から手続きまで代行してくれます。
廃車買取業者はどんな状態の車でも買取がつきやすい
もう1つ、廃車買取業者に依頼するメリットは、どんな車でも0円以上の値がつきやすいところです。車種やコンディションによって数万円から数十万円の値がつく場合もあります。処分に困っていたはずの車がお金になるわけです。
確かに、車を乗り換えるのであれば下取り、もともと高値がつきやすい車は一般的な中古車買取業者のほうが有利かもしれません。そうでない車であれば、廃車買取業者に依頼するとお得になりそうです。
廃車買取業者を選ぶときのポイントと注意点
廃車買取業者は数多くあり、全国展開している大手から小規模なところまでさまざまです。これだけあると、どこに依頼すればいいのか迷ってしまうでしょう。
業者を選ぶ基準としては、買値とサービスの2つがあります。買値についてはインターネット上で簡単に表示してくれるところもありますが、実際は査定してもらわないと分かりません。無料で査定を依頼してくれるところが良いでしょう。また、「〇〇円以上保証」と公言しているところなら、それ以上の買値が期待できます。
選ぶ時はサービス内容をチェック
車の運搬や廃車の手続きといったサービスは、多くの業者が基本的に無料です。ただし地域によっては対象外だったり、一部の費用はドライバー負担だったりするところもあります。また、買取が成立した後のキャンセルは、レッカー車や積載車の手配にかかった費用を違約金として取られるので要注意です。廃車にすると、残月数に応じて自動車税(軽自動車は除く)や自動車重量税、自賠責保険料が還付されます。これをドライバーが受け取れるようにしてくれるかは、業者によってまちまちです。無料で手続きする代わりに自ら受け取ったり、買値に上乗せしたりするところもあります。内訳を記載した明細を発行してもらいましょう。
還付金についてもチェックしよう
一口に廃車といっても、永久抹消登録や一時抹消登録、輸出抹消登録の3種類があり、それぞれに車の利用方法や還付金の有無が異なります。解体されるのは永久抹消登録ですが、いずれ国内で再販するのであれば一時抹消登録ですし、海外に輸出するのであれば輸出抹消登録です。このうち、自動車税は3種類とも手続きすれば還付されます。自賠責保険料も同様です。自動車重量税は解体しないと還付されないため、一時抹消登録と輸出抹消登録ではありません。輸出抹消登録は国内でリサイクルする可能性が消滅するという理由で、すでに納められたリサイクル料金が還付されます。
依頼するときは、どのように廃車されるのか確認しましょう。車台番号やリサイクル券番号か車のナンバーが分かれば、「自動車リサイクルシステム」のWebサイトでも調べられます。
廃車後であれば、業者から渡される「使用済自動車引取証明書」に、車体番号やリサイクル券番号(移動報告番号)が記載されているはずです。


まとめ
廃車買取業者が利益を出せるのは、車を再販する以外にも解体してスクラップを売却したり、パーツを再利用したりするなど、さまざまな手段を持っているからです。そのおかげで、廃車に伴う車の運搬や手続きにかかる費用が無料になったり、どんな車でも買値がついたりします。
複数の廃車買取業者を一度に比較できたら、違いが分かりやすくて便利です。こちらの廃車買取業者ランキングページも参考になるでしょう。