車を手放す際には、車買取業者に売却する方法だけでなく個人売買という方法もあります。友人や知人など、相手がすでに決まっていれば取引もスムーズにいきそうです。車買取業者や中古車販売店などを通すよりも、お互いに得をするでしょう。
しかし、個人間売買では注意すべき点も多いです。業者を通さないということは、手続きなども自分で行わなければならないでしょう。ここでは、車の個人売買をする際に必要な手続きと注意点について紹介していきます。
個人売買で車を売りたいときの手続き
車の個人売買の際に必要な手続きについて解説します。
名義変更手続き
車には登録制度があります。そのため、所有者が変わった場合には、運輸支局に行って名義変更手続きを行わなければなりません。その手続きのために準備する書類は次の通りです。
- 車検証
- 自賠責保険証
- 自動車税納税証明書
- 譲渡証明書
- 売主の委任状
- 両者の印鑑証明書
- 買主の車庫証明書
- 自動車税環境性能割申告書
譲渡証明書は車を売買して売主から買主に譲渡されたという事実を証明するための書類です。車種名や車台番号、売買が行われた日付などが記載されています。売主と買主双方の氏名を記載し、売主の印鑑も押さなければなりません。
委任状は買主が単独で手続きを行う際に必要になります。売主も買主と一緒に運輸支局に行って手続きを行う場合にはなくても大丈夫です。
車庫証明書は警察署で取得できるので、手続きを行う前に取得しておきましょう。手数料が2,500から3,000円程度かかります。
また、自動車税・環境性能割申告書の用紙は税務署で入手できるので、あらかじめ入手して記載を済ませておきましょう。
必要書類を揃えたら、運輸支局の窓口に提出しましょう。書類に特に不備がなければ、名義変更の手続きは完了し、新しい車検証が交付されます。買主は念のため所有者の欄に自分の氏名が記載されているかどうか確認しましょう。
そして、運輸支局には税申告窓口があるので、そこで自動車税と環境性能割の申告も済ませます。申告書の記載が済んでいればあとは車検証と一緒に提出して、その場で納税するという流れです。
任意保険の手続き
任意保険の手続きも忘れずに済ませておきましょう。売主は新しい車に買い替える場合には、車両入替の手続きを行うことで、等級やプランなど、現在の状態のまま任意保険を続けられます。また、車に乗るのを止める場合には、任意保険の解約手続きが必要です。
買主の方も、乗り換えの場合には車両入替の手続きをしておきましょう。今回が始めて車を買う場合には、新規で任意保険への加入手続きを行います。
任意保険は必ず必要というわけではありませんが、万が一の事故に備えて加入しておくのが無難です。
車を売りたいなら個人間でも相場をチェック
車を個人売買する場合には、売買金額などを巡ってトラブルに発展するケースも見られます。トラブル防止のためには、相場をきちんとチェックし、お互いに納得できる適正な価格にしなければなりません。
お互いにとってメリットがある金額にする
車を売りたい人も中古車を買いたい人も、業者を通した方がスムーズにいくでしょう。あえて個人売買を行うのは、金銭的なメリットがあるためです。売主と買主の両方にメリットがあれば、お互いにとってWin-Winの関係になります。
しかし、どちらか一方にとってのメリットが薄ければ、不満が募るでしょう。トラブル防止のためには、お互いにとってメリットがある金額にするのが望ましいです。
業者を利用するよりも得をするという観点から見れば、売主は車買取業者に売るよりも高い金額だといいということになります。買主にとっては中古車販売店での販売価格よりも安い金額なら不満はないでしょう。
そのため、車買取業者の買取額と中古車販売店の販売価格の間の金額が、個人売買における適切な金額です。
相場はどのようにして調べるのか
中古車の販売価格も買取価格も、車種や年式、走行距離などにより調べることができます。中古車販売店などでは、条件を指定して在庫を確認できるフォームを公式サイトに設けているところが多いです。
これから中古車を購入しようとしている人が利用するためのものですが、中古車の販売価格の相場を調べるのにも使えます。
車の買取価格もほぼ同じやり方で相場を確認可能です。車種別に年式や走行距離などを入力することで、買取価格を公開している買取業者があります。車のボディーカラーなども考慮した金額なども分かるので、個人売買をする際にはぜひ参考にしてみましょう。
また、ひとつの業者だけでなく、複数の業者で買取価格を調べてみることで、より正確な相場を把握できます。
個人売買で車を売りたいときの注意点
個人売買では価格についてお互いに納得していても、あとから車の状態などに関してトラブルに発展するケースも見られます。そのようなトラブル防止のためにやっておくべきことについて見ていきましょう。
きちんと契約書を作成しよう
車を個人売買する際には、売主と買主で売買契約を締結することになります。売買契約そのものは、口頭でも成立しますが、車のような金額の大きなものを売買する際には、きちんと契約書を作るのが望ましいです。
口頭での契約だと、あとから言った・言わないのトラブルになることも多いですが、契約書があればそのようなトラブルは回避できます。
売買金額に加えて、支払期日や未経過分の自動車税、自賠責保険料などに関することも、契約書に記載しておきましょう。
車の状態をチェックしてもらえるサービス
中古車販売店で中古車を購入する際には試乗をするでしょう。個人売買においても、実際に少し乗って運転してみることが多いです。
しかし、そのときに調子よく走行できても、あとからブレーキの不調やパーツの摩耗などが判明することもあるでしょう。売主も意図的に隠したわけではなく、単に気づかなかったという場合もあります。
そのような場合に備えて、車の状態をチェックしてもらえるコンディション査定サービスを利用するといいでしょう。不調箇所が見つかれば、あらかじめ部品交換などを済ませた上で売り渡せるので、トラブル防止につながります。
ローンの残債がある場合には
ディーラーなどのローンを利用して購入した車は、ローンを完済するまで基本的に売却できません。所有者がディーラーやローン会社になっているため、その車を売却する権限がないということになります。
ローン返済中の車を売却したいのであれば、ローンを完済するまで待つか、一括返済しなければなりません。もし、車を売って得た金額でローンを完済できるような場合には、買主から先に代金を支払ってもらうことでローンを完済する方法もあります。
ローンを完済すれば、自分に名義変更してもらえるので、そのあとで自分から買主へ名義変更可能です。
ただし、買主にとってリスクが高く応じてくれない可能性もあるでしょう。そのため、ローンが残っているうちに個人売買をするのはあまりおすすめできません。
また、銀行のマイカーローンなどを利用しているのであれば、車検証の所有者名に自分の氏名が記載されていることが多いです。その場合には、ローン返済中でも売却できます。ただし、売却後は手元に車がなくても、ローンを返済していく義務は当然残ります。
まとめ
車の個人売買は、業者を通さない分だけ売主にとっても買主にとっても金銭面でのメリットがあります。しかし、その反面でトラブルのリスクも高まるのです。これまで仲のいい友人だった場合でも、車の個人売買によるトラブルが原因で仲違いしてしまってはいけません。
車の個人売買をするなら、きちんと契約書を作って名義変更手続きなども、確実に済ませるようにしておきましょう。
もし不安が残るようであれば、個人売買よりも車買取業者に買取に出すのがおすすめです。その際にも買取業者はよく吟味して決めるようにしましょう。