車検に整備保証の内容や期間について

2年に1度の車検の代行を業者に依頼するユーザーは多く、毎日全国では何百台という車が車検を受けています。その車検と同時に整備・点検を受ける車も多いですが、まれに整備不良が原因で車が故障してしまうことがあります。

そんなトラブルをバックアップするのが車検の整備保証。今回は整備保証の内容と注意点についてご紹介します。

車検の整備保証とは?

  

近年車検の際に「整備保証」をセットとする業者が増えています。整備保証とは一体どんなサービスなのでしょうか。

整備が原因で不具合が出たときに無償で対応

整備保証とは、車検時に行う整備のミスが原因となったトラブルに、無償で対応することを保証するサービスを指します。

車検を請け負う業者、そして対応する整備士はどの車に対しても真摯に向き合い、手を抜かずに整備を行います。しかし人間が行う作業であるため、まれにミスが発生することは避けることができません。

整備保証はそんなミスが原因となって起きてしまったトラブルに対応することを保証するサービスです。近年では整備保証対応を掲げる業者は急増しており、スタンダードなサービスの一つとなっています。

車検の整備保証の内容や期間

整備が原因で発生したトラブルへ無償で対応してくれる整備保証ですが、どんな内容のサービスで、どれくらいの期間対応してくれるのでしょうか。

保証範囲は道路運送車両法が基準

整備保証といえども、どんなトラブルにでも無条件で対応するわけではありません。一般的には、各業者は整備保証の範囲を「道路運送車両法第48条に基づく整備に同法に基づく点検基準に定められた項目」の点検内容と限定しています。

道路運送車両法第48条では「自家用乗用自動車および国土交通省令で定める自動車」は1年ごとに点検を行わなければいけないとされており、これは12か月点検、24か月点検が該当します。

つまり、車検時に行う12か月点検・24か月点検で何らかのトラブルを引き起こした場合には、無償で改善にあたるのが整備保証の内容です。

保証期間は日数か走行距離

整備保証は、車検実施から無期限で保証してくれるわけではありません。一般的な車検業者は整備保証の期間を6か月または12か月という期間か、5,000kmまたは10,000kmという走行距離、もしくはその両方を設定しています。

両方設定している場合には、どちらか一方の条件を満たした場合に保証期間が切れるとされています。例として6か月・5,000kmの保証期間が設定されているなら、頻繁に車を運転した結果3か月で走行距離が5,000kmを超えたなら、その時点で保証期間は終了となります。

対象車は自家用自動車

整備保証の対象は「自家用自動車」に限定されることがほとんどです。同じ車種だったとしても、タクシーやレンタカーのような事業用途の自動車は対象外となります。

また自家用自動車の中でも乗車定員が11人以上のもの、車両総重量が8t以上のものは対象外です。

なお、整備後に車検証に記載されている使用者が変更した場合、事業用途に使用するようになった場合にも、保証期間内であっても対象から除外されます。

このように、車検に関しては情報量が多く、難しいと感じるのも自然です。 こちらでは車に関する情報をわかりやすく、豊富に公開しておりますので、ぜひこの機会に参考にしてみてはいかがでしょうか。

整備保証の問題点と車検の選び方

  

車検を依頼するユーザーからすれば魅力的なサービスである整備保証ですが、適用のためには条件があり、その基準が原因でユーザーと業者の間でトラブルになることもあります。

全ての故障が保証の対象ではない

整備保証は、保障期間中に生じた全てのトラブルに対して保証を行うものではありません。車検業者から整備が必要と指摘されていたにもかかわらず、ユーザーが自分の意志で整備を行わなかった個所については、故障が発生しても整備保証の対象外となります。

また車検実施後の走行により、部品が消耗・破損した場合は、保証対象外として通常の修理として扱われます。

さらに特殊な例ですが、レースやラリー、過積載といった、通常の使用範囲を超えた乗り方をした場合に生じたトラブルも、整備保証の対象には入りません。

整備保証の対象となる修理を行ったとしても、休業補償やレンタカー代など、その修理により車を使用できなかった損失の補填も対象外とされています。

整備ミスを認めない業者もいる

トラブルの原因となる大きな要因に「業者が整備ミスを認めない」という点があります。

整備保証の規約の中には「当社が認めた整備不良について再度整備を行う」というような一文が入っていることがあります。裏を返せば、業者が認めなければ整備しないということ。悪質な業者では、頑なに整備不良を認めないまま保証期間が過ぎ去るのを待つというようなケースもあるようです。

また、車検後の車に何らかのトラブルが発生する場合、その多くは整備保証期間を過ぎてから発生することが大半です。そのため、整備保証対象外として、通常の料金で整備を行うことになります。

整備保証は業者の姿勢が見える

整備保証は、業者からすれば利用されないほうがよいサービスであるため、利用者が現れたときの対応や態度で、その業者の姿勢が浮き彫りになります。

車検代行を行う業者の中では、ディーラーが最も整備保証に力を入れている傾向があります。ディーラーは整備を行うと同時に、そのメーカーの車を販売する窓口でもあります。

ユーザーからすればディーラーの対応がそのメーカーの印象に直結するため、ディーラーは整備保証に対しても非常に丁寧な対応を行う傾向があります。

その他の業者も整備保証をつけるところが増えていますが、上記の通り整備ミスを認めないなど、業者側のさじ加減一つで保証を受けられるかどうかが決まってしまいます。

整備保証の期間が他より長いというような謳い文句を掲げているとしてもあまり参考にはなりません。実際に利用した人の口コミなどを参考に、どこが信頼できる業者か調べてみるとよいでしょう。

車検業者の選び方

それでは改めて、どんな視点から車検業者を選べばよいかを考えてみましょう。車検業者を選ぶポイントは大きく分けて「整備の質」「スピード」「価格」があります。

  • 整備の質

整備の質が最も高いのはディーラーによる車検です。そのメーカーの車についてどこよりも熟知しており、最新のコンピューター制御の車種に対しても問題なく対応可能。交換に使用するパーツも純正品を使用するため、パーツと車の相性によるトラブルは起こりません。

古い年代の車や外車など、他の業者での対応が難しい車は、指定工場の認定を受けた整備工場がよいでしょう。豊富な経験と知識を持ったベテラン整備士のいる整備工場の質は、ディーラーに勝るとも劣りません。

  • スピード

車検のスピードに関しては、指定工場の資格を持つ「カー用品店」または「車検代行専門業者」が優れています。店舗の敷地内に車検用の検査ラインを持っているため、車検が始まれば30分もしないうちに完了することも。前もって予約を取っておくことで、他の業者よりも早い車検対応が期待できます。

指定工場の認定を受けた整備工場も車検ラインを持っているため、即日の車検に対応する工場も多く存在します。近隣に整備工場があるようなら、即日車検に対応できるか問い合わせてみるとよいでしょう。

  • 価格

どこよりも安く車検を通してくれるのはガソリンスタンドです。点検は最低限であり、即日車検を通すことはできませんが、その分車検にかかる基本料金はどこよりも安く、中には1万円を切るような店舗もあります。

ガソリンスタンドには一歩譲るものの、車検代行専門業者や認証工場も、価格面では他の業者に比べ安価に設定されています。

専門業者をお探しの際には、ぜひこちらで無料見積もりをしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

整備保証は、車検時の点検整備が原因で何らかのトラブルが発生した場合、無償で整備対応してくれるサービスです。保証範囲は車検に関わる整備に限定されており、どんなトラブルにも対応してくれるわけではありません。

整備保証はユーザーにとってうれしいサービスではありますが、これが原因となって業者とのトラブルに発展する場合もあります。無償で対応する整備保証は業者の姿勢が見えるサービスですので、利用したいと考えるなら、口コミなどで信頼できる業者を探すとよいでしょう。