ユーザーが自分の手で車検を行う「ユーザー車検」。インターネットなどで手順が詳しく紹介されており、車検が安く済ませられるという評判から、ユーザー車検を選択する人が増えています。
ユーザー車検は自分で事前手続きから車検実施まで全て自分で行うため、車検場の受付時間や車検を受けるための手順など、業者に依頼した際には気にしなかった点も注意しなければなりません。
今回は車検場の受付、ユーザー車検に関する注意点について紹介します。
車検の受付時間
ユーザーが車検を受けるのは各地域にある陸運局内の車検場。いつでもどんなときでも受けられるわけではなく、受付時間が定められています。
受付は16時頃まで
車検場は原則として平日のみ営業しています。土日祝日は休業しますので、ユーザー車検は必ず平日に受けなければなりません。
また営業時間は車検場によって前後する場合がありますが、9:00~17:00。しかし車検を受け付けてくれる時間はそれよりも早く設定されています。
車検場の受付時間は9:00~12:00、13:00~16:00と、営業時間の終わりよりも1時間ほど早く締め切られます。車検場によっては8:45~11:45、13:00~15:45とさらに早めに締め切られますので、最寄りの車検場の受付時間は前もって調べておきましょう。
車検の中でも人気なユーザー車検とは?メリットデメリットを解説
自分で車検を受けるユーザー車検は、名前は聞いたことがあっても具体的にどんなものなのか知らないというユーザーも多いことでしょう。改めてユーザー車検の基本について振り返ってみましょう。
ユーザー車検とは
ユーザー車検とは、その名の通りユーザーが自分で手続きを行う車検です。車検場の予約から書類の準備、車検の点検実施まで自分の手で行います。
ユーザー車検のメリット
ユーザー車検には代行業者に依頼する場合にはないメリットがあります。
- 車検費用が安い
車検にかかる費用は、必ず支払わなければならない「法定費用」と、代行業者に依頼した際に業者に支払う「基本整備費」に分けられます。
法定費用は誰が車検を行っても必要な費用ですが、自分で車検の手続きを行うことで、代行業者に支払う基本整備費が不要になります。
事前の予備点検、微調整のための整備に費用が掛かる場合はありますが、代行業者に依頼する場合に比べると数万円の差が生まれるため、車検費用を少しでも安く抑えたいユーザーから人気が集まっています。
- 車について詳しくなる
ユーザー車検のやり方はインターネット上に多くの情報が公開されており、初めて挑戦するユーザーでも合格できるようにノウハウを学ぶことができます。
その勉強と、実際に車を車検場に持ち込み車検を受けることで、車の構造や点検上の注意点、どんな要素が事故につながりやすくなるかなど、車に関する知識を実体験として身に着けることができます。
日々の生活の中で、頻繁に活躍する知識ではないかもしれませんが、車の知識が高まることで、愛車への愛着がさらに高まることでしょう。
ユーザー車検のデメリット
大きなメリットがあるユーザー車検ですが、反対にいくつかのデメリットも存在します。
- 車検不合格になりやすい
ユーザー車検の経験者や、車の点検・整備に関心があり、日常的に車の状態に気を配っているユーザーは、車検の際にも大きなトラブルなく合格することができるでしょう。
しかし初めてユーザー車検に挑戦しようというユーザーや、普段車に気を掛けることがないユーザーは、車検時に発覚する思わぬ要因で不合格になることがあります。
不合格になる理由には「違反金を未払い」「書類の不備」「整備不足」などが挙げられます。小さな手違いやヘッドライトの角度などの細かな整備不良が原因なら、当日中に再検査を受けて合格することもできますが、ある程度規模の大きい整備が必要な場合には、後日受けなおしをしなければなりません。
後日再検査になると、また平日に車検場に来なければなりませんので、平日休みでないユーザーは時間が確保できなくなる恐れがあります。
- 書類の準備が複雑
車検代行業者に依頼する場合には、最低限の書類とお金を渡せば、書類の手配を含む手続きを代行してくれます。ユーザー車検の場合にはすべて自分で行わないといけないため、何種類もある必要書類を全て用意しなければなりません。
書類によっては車検前に手続きを行わないといけないものもありますので、案外時間を取られてしまうことも。代行業者に依頼したほうが時間もお金も得だったということにもなりかねません。
- 二度手間になる恐れがある
ユーザー車検で点検を行った際に、思わぬ大きな問題が見つかることがあります。部品の交換や分解を伴う整備が必要な場合、ユーザー自身では対応できず、ディーラーや整備工場に整備を依頼する必要があります。
すぐに整備が終わり当日中に再検査が受けられるようならよいですが、数日かかるような場合には出直さなければなりません。しかしユーザーの中には再検査のための休みを取ることができない人もおり、結局代行業者に依頼しなおすことになる場合もあります。
このようなデメリットもしっかり理解して車検に臨みたいものです。少しでも不安がある場合は事前に専門業者を選んでおく、もしくは専門業者に依頼する方が良いでしょう。
ユーザー車検の必要書類や手順
実際にユーザー車検を受けるには、どんな書類を用意し、どんな手順で行えばいいのでしょうか。
必要な書類
ユーザー車検を受けるには、いくつかの書類を用意する必要があります。ユーザー車検に必要な書類は以下の通りです。
1.自動車検査証(車検証)
2.自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証明書)※新旧両方
3.自動車税納税証明書
4.定期点検整備記録簿
5.自動車検査票 ※当日陸運局で配布
6.自動車重量税納付書 ※当日陸運局で配布、納税
7.継続検査申請書 ※当日陸運局で配布
8.認印
上記1~3の書類を紛失している場合、事前に再発行しなければ車検は受けられません。
まずは車検場の事前予約
ユーザー車検は、当日いきなり車検場に行っても受けられないことが多くあります。事前にインターネット上から希望日の空いているラウンドを予約しておくことで、確実に車検を受けられるようになります。
予約は無料であり、どこの車検場の予約も取ることができます。なお、予約システムのアカウントは自分で取得しましょう。
当日の流れ
ユーザー車検を受ける当日は、以下のような流れで進んでいきます。
- 予備検査、最終調整
車検場に到着後、本番の車検を受ける前に近隣の民間検査場で「予備検査」を受けておきましょう。有料にはなりますが、実際の車検と同様の点検を行い、問題点を洗い出しておくことができます。
もしヘッドライトの角度が悪い、ブレーキランプが切れているというような程度の問題が見つかったなら、その場で整備してもらうこともできます。
予備検査に合格できれば、本番でも合格できる可能性はかなり高いといえるでしょう。
- 申請書の配布を受ける
陸運局に入りましたら、「自動車検査票」「自動車重量税納付書」「継続検査申請書」の配布を受けます。このタイミングで自動車重量税および検査手数料に必要な金額の印紙を購入し、用紙に張り付けておきます。
もし自賠責保険の更新を済ませていないようなら、このタイミングで近隣の代書屋で契約しておきましょう。
- 車検の申請
運輸局内のユーザー車検窓口で車検の申請を行います。揃えた書類一式を提出し、不備があればここで指摘されますので、修正して再提出を行ってください。
- 検査用レーンで車の点検
車検の本番です。係員の指示に従って、手順に沿って検査を進めましょう。スリップ検査でハンドルを切る、ブレーキ検査でブレーキの踏み込みが甘いなど、ユーザーの操作が原因で不合格となることも多いため、落ち着いて操作するように心がけましょう。
車検場での車検は1度不合格になっても、当日中にあと2回まで無料で再検査を受けることができます。
- 車検証の交付
全ての車検の手続きが終わり、問題がなければ車検合格とされ、新しい車検証と検査標章(ステッカー)が交付されます。
不合格となった場合には「限定自動車検査証」の交付を受け、15日以内に再検査を受けましょう。15日以内の再検査は、不合格になった個所のみ検査が行われます。しかし15日を過ぎてしまうと限定自動車検査証が効力を失い、最初から手続きをやり直す必要があります。
ユーザー車検にはメリットが多くありますが、同様にデメリットもあり時間もかかります。きちんとスケジュールを練って取り組まなけれないけません。時間がない方や少しでも不安を感じる方は専門業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
ユーザーが自分で車検を行う「ユーザー車検」は、代行業者に依頼するよりも大幅に車検費用を安く抑えることができます。ユーザー車検は陸運局の車検場で受けられますが、受付時間は平日の16:00頃までと限定されています。
ユーザー車検は必要な書類を揃え、係員の指示に従って点検を行います。小さな問題なら当日中に解決し再検査を受けられますが、大きな問題が見つかった場合には後日再検査となり、場合によっては代行業者に依頼しなおさなければならなくなります。
ユーザー車検を受ける際には事前に予備検査を受け、車検に合格できる状態か確認してから臨むとよいでしょう。