一定期間ごとに車検を受けていない車は公道を走ることができません。
「車検シール」は車検に合格したことを証明します。ただし、せっかく車検シールを持っていても正しく貼付していないと罰金に問われる可能性も。また、紛失してしまった際の正しい対応も知っておきたいところですよね。本記事では車検シールの概要と正しい扱い方、紛失してしまった際の対応について解説します。必ず理解しておきましょう。
車検シール(ステッカー検査標章)とは?
車検シール、車検ステッカーの正式名称は「検査標章」です。
車検はディーラーや整備工場、カー用品店などで受けられ、合格することで車検証と一緒に車検シールが交付されます。
車検シールを貼る意味
自動車は事故を起こすと人の命を奪う可能性のある乗り物です。
そのため、車検はすべての自動車に義務化されています。
たまに「車検に合格して車検シールが交付されたから期間内は安心だ」と思われる方がいますが、これは間違いです
車検シールは、あくまで法律で定められた保安基準を満たしたことの証明に過ぎず、自動車の安全を保証するものではありません。
車検シールの有効期間内であっても自動車のコンディションは定期的にチェックし、必要に応じて整備をしてもらいましょう。
車検シールには有効期間が記載されており、期間内は公道を走ることが可能です。
有効期間が切れた状態の自動車で公道を走ってはいけません。
車検シールにはドライバーが車検の有効期間を忘れてしまうことを防止する役割もあるのです。
車検シールの有効期間は普通乗用車や軽乗用車であれば2年間、新車で購入した場合は3年間となっています。
バスおよびタクシー、貨物自動車(8トン以上)は新車で購入したときから1年ごとの有効期間です。
また、軽貨物自動車は購入時から2年ごと、貨物自動車(8トン未満)の購入時は2年間でその後は1年ごとに有効期間が設定されています。
これらの大型車両の有効期間が短い理由は、毎日長距離移動し、各部パーツの消耗も激しいためです。
車種ごとの違い
シールの色は車種によって異なり、普通自動車は水色で軽自動車は黄色です。
2017年1月よりデザインが変更され、サイズが大きくなり文字の視認性が向上しました。
車検シールと混合されがちなのが「法定点検シール」と呼ばれる丸いシールです。
こちらは法定点検を受けた証明であり、車検シールと異なり点検を受けないことに対する罰則はありません。
また、法定点検シールは剥がしてしまっても罰則がありませんが、有効期間が切れているものを貼ったままにしておくと罰則があります。
罰則がないとはいえ、法定点検の有効期間が切れた自動車で走行することはリスクが高い行為です。
法定点検も車検同様に定期的に受けることをおすすめします。
車検シールの見方貼り方剥がし方どこに貼るの?
車検シールは外側から見える面が表、ドライバー側から見える面が裏です。
表面には大小の2つの数字が記載されており、大きい数字は有効期間が何月であるか、小さい数字は有効期間が平成あるいは令和何年までかを示します。
年号の変更に伴い「平成32年」「平成33年」といった存在しないものが記載された車検シールもそのまま使用することが可能です。
また、小さい数字は車検シールの四隅のどこかに記載されており、位置は年度によって異なります。
「1」と左上に記載された翌年は「2」が右上。
「2」と右上に記載された翌年は「3」が右下。
このように時計回りに記載される位置が動きます。
裏面には「自動車検査証の有効期間の満了する日 〇〇年△△月□□日」と記載されており、意味は表面同様に有効期間です。
貼付する場所
車検シールは見やすく貼付することが原則で、位置が決まっています。
貼付する位置は以下の通りです。
1. バックミラー(ルームミラー)の前方、フロントガラス上部
2. バックミラーがない場合、運転席から最も遠い場所のフロントガラス上部
3. フロントガラス上部に色がある場合、外から確認できる位置まで車検シールを下げる
4. フロントガラスがない場合、ナンバープレートの左上、ひらがなの上部
貼り方
車検シールを貼付する手順は以下の通りです。
1. 車検シールを右半分だけ台紙から剥がし透明シールの上に貼る
2. 左側も同様に台紙から剥がして透明テープの上に貼る
3. 台紙から車検シールを完全に剥がしてフロントガラスに貼付する
車検を受けたディーラーなどで車検シールを貼付してくれることが多いので、自分でやらない場合が多いかもしれません。
しかし自分で貼付する際のポイントは、フロントガラスの汚れを拭き取っておくことです。
汚れの上に貼付してしまうと車検シールが剥がれてしまう原因となります。
剥がし方
車検シールは簡単に剥がれてしまわないように粘着力が強くなっています。
強引に剥がすと粘着物がフロントガラスに残ってしまうため、車検シールの剥がし方も確認しておきましょう。
車検シールの剥がす手順は以下のとおりです。
1. 表面の透明シールを剥がす
2. 霧吹きなどでシールを貼付していた部分を濡らし、濡れティッシュとラップを重ねて20~30分蒸らす
3. ガラスを傷つけないように慎重にティッシュを剥がす
4. 粘着物が残っている場合はスクレーパーを使用して慎重に除去する
5. ウェットティッシュで拭き取って仕上げる
車検シールを貼付していない自動車は公道を走ることができません。
必ず新しい車検シールが手元にある状態で古いシールを剥がすようにしましょう。
車検シールが手元に無いときは?貼らないとどうなる?
道路運送車両法第66条に「自動車検査証を備え付け、検査標章を表示しなければ運転してはならない」と記載されています。
つまり、車検シールを貼付していない自動車の公道での運転は明確な法律違反なのです。
車検シールを貼付していない自動で公道を走行した場合、道路運送車両法第109条8項により、50万円以下の罰金に問われる可能性があります。
道路交通法の違反には当たらないため免許点数への影響はありません。
必ず車検シールは自動車の正しい位置に貼付するようにしましょう。
万が一、車検シールを紛失してしまった場合は再発行が可能です。
速やかに再発行の手続きを取ることをおすすめします。
再発行の手続きができる場所は普通自動車と軽自動車で異なるので注意しましょう。
普通自動車は「陸運局・陸運支局」、軽自動車は「軽自動車検査協会」で車検シールの再発行ができます。
インターネットからの手続きはできないため、出向かなければなりません。
ただし、代理人による代行手続きは可能です。
車検シールが貼付されていない自動車は公道を走れないため、別の移動手段を準備しましょう。
車検シールを再発行してもらう際には、車検証の原本が必要です。
また、検査標章再交付申請書に押印するための認印、申請手数料(300円程度)も持参しましょう。
さらに普通自動車の場合は、紛失届と委任状(本人以外が申請に行く場合のみ)が必要です。
無事に再発行の手続きが完了すると、「検査標章再交付」と記載された新しい車検証が交付されます。
忘れずに自動車に乗せておきましょう。
まとめ
今回は車検シールについて解説しました。車検シールの貼付はドライバーの義務です。正しい位置に貼付すればドライバーの視界を邪魔することはありません。
必ず有効期間が残っている車検シールを貼付するようにしましょう。また、車検を合格しているからと過信せず、安全運転や自動車の定期点検を心がけて下さいね。