車検時の点検項目って?法定点検と車検の違いを解説

車を所有していると2年に1度は受けなければならない車検ですが、安全に車を運転するために、たくさんのチェック項目が設けられています。

1回で車検を終えるためには、事前に車検でのチェック項目を把握し、セルフチェックも行っておきましょう。

車検の点検項目とは

車検でのチェック項目は、外装や内装といった普段から目に見える部分の検査と、外回りから点検したり実際に操作して検査したりする検査など、たくさんの項目からなっています。

それぞれの検査内容を詳しく解説しますので、自分の車で検査に通らなさそうなところはあるか、簡単にチェックしていきましょう。

外装と内装

自分でも普段から目にすることが多い内装と外装の項目では、5つの検査が行われます。

1.内装点検

内装の点検は、目視で行われます。バックミラーやシートベルトなど、車の安全性に関わるパーツが正しく搭載されているか、発煙筒はあるか、危険なものはないかなどが見られます。

細かな部分では、クラクション部分にホーンマークがついているか、ヘッドレストがついているかなども検査されるのです。

クラクション部分にホーンマークがなかったり、平成24年7月以降に登録された車なのに運転席と助手席にヘッドレストが装着されていなかったりする場合は、車検に通りません。

2.メーター付近の点検

メーター付近のパネルは、警告灯や表示灯が点灯する場所があります。普段から見かける点灯部分には、シートベルトをしていない時に点灯するシートベルト非装着警告灯や、ガソリンの量を教えてくれる燃料残量警告灯があります。しかし、これらの他にも車の異常を知らせる警告灯や表示灯が多く存在します。

車の異常を知らせる何らかのマークがメーターパネルに表示している場合は、警告されている部分の点検と整備が必要となります。普段から、運転時には意識して見ておきましょう。

3.灯火装置の点検

灯火装置とは、車に装備されている全部のライトを指します。車には前方を照らす「ヘッドライト」や車幅を知らせるための「スモールランプ」、どちらに曲がるかを知らせる「ウインカー」、車がバックすることを知らせる「バックライト」、ブレーキをかけていることを知らせる「テールランプ」、非常時の停車を知らせる「ハザードランプ」という6つのライトが搭載されており、どれが不備であっても安全に運転できなくなってしまうのです。

ライトの色は法律で定められた色をしているか、明るさは適切か、点灯していないライトはないかなどを検査されます。

4.ガラスの点検

車の周りに装着されているガラスは、運転時に周囲の状況を把握するために非常に重要な部分です。ひび割れがないか、透過率は適切かを検査されます。

車のドレスアップや紫外線防止のために、ガラスにフィルムを貼っている方は、特に注意してほしい項目です。

車前方のガラス、すなわちフロントガラスを含む運転席と助手席のサイドガラスは、透過率が70%以上と決められています。サイドガラスは窓の開閉時に擦れるので、透過率が徐々に下がることも。ギリギリ透過率70%のフィルムを貼っている場合は、車検に通らないことも考えられますので注意してください。

5.タイヤの点検

タイヤが安全に走行できる状態であるかを検査されます。基本的に道路を走行すれば、タイヤは負担がかかり摩耗していくので消耗品と考えられ、定期的な交換が必要です。

具体的には、タイヤのスリップサインが出ていないか、ひび割れや劣化がひどくないかを点検します。

外回り検査

車の外回りから見える部分を検査する項目で、実際に操作して点検する検査項目も含まれます。ナットやボルトの緩み具合やオイル漏れはしていないかも検査されますが、その他は以下の検査項目です。

1.車台番号のチェック

車体番号は、車のナンバーとは異なる番号です。エンジンルーム内や車内の座席下に記載されているので、車検証と相違がないかチェックされます。

2.ホーンの検査

ホーンを押さえたときに適切な音量で鳴るか、連続して鳴るかなど、保安基準に沿った検査が行われます。

3.ウィンドウォッシャーとワイパーの検査

ウィンドウォッシャーの噴射が滞りなく噴射され、フロントガラスやリアガラスの視界を確保できるかということに合わせて、ワイパーの点検もされます。

ワイパーが動作しなかったり、劣化して水を拭き取れなかったりする場合は、検査に通りません。

その他の検査

先ほど紹介した検査項目以外にも、以下の検査項目があります。

  • 車検証の内容と車に相違がないか、またエンジンの不正改造がされていないかを調べる目的の同一性の確認
  • 車がまっすぐ走行できるかを調べるサイドスリップ検査
  • ブレーキとサイドブレーキの効き方を調べるブレーキ検査
  • 実際の速度とメーターの速度の誤差を調べるスピードメーター検査
  • 車から排出されている有毒ガスの濃度を調べる排出ガス検査
  • 車体の下から確認する下回り検査

自分で事前にすべてチェックするのは難しいこともありますので、お近くの専門業者に見積もりを依頼してみてはいかがでしょうか。

法定点検との違い

車検と法定点検は、目的がまったく異なります。どちらも安全に車を運転するために必要なものではありますが、車検の場合は、保安基準に適合しているかの検査なので点検ではありません。それに対し法定点検は、車が故障せず快適に運転できるかという目的に沿って検査するものです。

車検は、新車時を除くと2年に1回ですが、法定点検は1年目に受ける12ヶ月点検と、車検と同時に受ける24ヶ月点検があります。

法定12ヶ月点検

自家用車の12ヶ月点検での検査項目は、26項目です。以下の項目を点検します。

1.パワーステアリングのベルトの緩みや損傷

2.ブレーキペダルの遊びと踏み込んだときの床とのすき間

3.ブレーキの効き具合

4.サイドブレーキの効きしろ

5.サイドブレーキの効き具合

6.ホースやパイプの漏れがないか、損傷や取付状態

7.マスタシリンダやホイールシリンダ、ディスクキャリパの液漏れ

8.ブレーキドラムとライニングとのすき間

9.ブレーキシューの摺動部分とライニングの摩耗

10.ブレーキディスクとブレーキパッドとのすき間

11.ブレーキパッドの摩耗

12.タイヤの状態

13.ホイールナットとホイールボルトの緩み

14.クラッチペダルの遊びと切れたときの床とのすき間

15.トランスミッションの油漏れと油量

16.シャフト連結部の緩み

17.点火プラグの状態

18.点火時期

19.ディストリビューターのキャップ

20.バッテリーターミナル部の接続状態

21.排気の状態

22.エアクリーナエレメントの状態

23.エンジンの油漏れ

24.ファンベルトの緩みと損傷

25.冷却装置の水漏れ

26.マフラーの取付けの緩みと損傷

法定24ヶ月点検

自家用車の24ヶ月点検での検査項目は、12ヶ月点検の26項目を含んだ56項目です。12ヶ月点検26項目を省いた点検項目は、以下の30項目となります。

1.ハンドルの操作具合

2.ギアボックスの取付けの緩み

3.ロッドやアーム類の緩みやガタツキ、損傷

4.ボールジョイントにあるダストブーツの亀裂や損傷

5.ホイールアライメント

6.パワーステアリングの油漏れと油量

7.パワーステアリングの取付けの緩み

8.マスタシリンダやホイールシリンダ、ディスクキャリパの機能や摩耗と損傷

9.ブレーキドラムの摩耗と損傷

10.ブレーキディスクの摩耗と損傷

11.フロントホイールベアリングのガタツキ

12.リアホイールベアリングのガタツキ

13.緩衝装置の緩みやガタツキ

14.ショックアブソーバーの油漏れと損傷

15.自在継手部のダストブーツの亀裂と損傷

16.ディファレンシャルの油漏れと油量

17.電気配線の接続部の緩みと損傷

18.燃料漏れ

19.メターリングバルブの状態

20.ブローバイガス還元装置の配管の損傷

21.燃料蒸発ガス排出抑止装置の配管の損傷

22.チャコールキャニスタの詰まりと損傷

23.チェックバルブの機能

24.触媒反応方式等排出ガス減少装置の取付けの緩みと損傷

25.二次空気供給装置の機能

26.排気ガス再循環装置の機能

27.減速時排気ガス減少装置の機能

28.一酸化炭素等発散防止装置の配管損傷と取付状態

29.マフラーの機能

30.車枠や車体の緩みと損傷

車検前に行えるチェック

車検を無事に通すために、自分でできるセルフチェック項目をご紹介します。セルフチェックが困難な項目は、予備検査場を利用するのも良いでしょう。

エンジンルームの点検

エンジンルーム内の液漏れやエンジンオイルの量は、素人でも簡単にチェックできる項目です。エンジンオイルは、レベルゲージを確認し規定量入っているか、色は汚れていないかを点検します。

ブレーキフルードやウォッシャー液についても、量や汚れを確認しておきましょう。

タイヤの点検

スリップサインが出ていないか、ひび割れしていないかをチェックします。空気圧は、ガソリンスタンドでも無料で測ってもらえるので、車検前に必ずチェックしておきましょう。

運転席からの点検

運転席に座って確認できるセルフチェックには、ホーンが鳴るか、ワイパーは動作するか、警告灯はついていないかなどがあります。

警告灯が点灯している場合は、何らかの不具合が出ていますので、すぐに修理の依頼をして直しておきましょう。

お近くの専門業者に無料見積もりを依頼するのもおすすめです。

まとめ

車検では、細かいところまで検査員のチェックが入ります。車検前にできるセルフチェックは必ず実施しておきましょう。

また、普段から安全に車に乗るためには車検だけでは不十分ですので、日常点検も定期的に行うと良いでしょう。