適度なスピードで安全運転を心がけていても、突然、自家用車のボディに小石が飛んできて傷がついたり、フロントガラスに小石が当たってヒビが入ってしまうというような事故が起こることがあります。
自分の車が飛び石の被害にあったら、どうすれば良いのでしょうか?
こちらでは、「飛び石で傷ついた車の修理費用はどのくらいかかるのか」「飛び石被害にあった車に自動車保険は使えるのか」「飛び石被害を予防することはできるのか」など詳しく解説します。
目次
車の飛び石とは
車の飛び石とは、道路走行中に前方走行車両のタイヤが道路上の小石を巻き込み跳ね上げることによって、後続車のボディやフロントガラスに小石が当たり傷つけてしまうことを言います。
特に高速道路を走行する車のスピードが速く、その分石も高く跳ね上げられることで衝撃も大きくなり、当たってしまった車体へのダメージが大きくなります。車の走行速度が60km/h以上出ていると、フロントガラスに飛び石が当たっただけでヒビが入るとされています。また、トラックやダンプカーなどの大型車は、タイヤサイズが大きくなるためタイヤの溝も大きく、小石よりも大きな石が挟まっていることもあります。飛び石のサイズが大きくなり、同じように後続車両に当たってしまうと、車体につく傷が大きくなる可能性は高いでしょう。実際、高速道路走行中にトラックなどの大型車両の後方を走行していて、飛び石被害にあい、フロントガラスに大きなヒビが入って交換を余儀なくされたというような被害も少なくありません。
車の飛び石が起こりやすい季節はいつ?
車の飛び石自体は、どの季節でも起こってしまうものですが、特に起こりやすい季節というのが冬の初めと春先となっています。
それは、冬の初めと春先の路面の状況と、その季節に使用するタイヤの質や形状が影響しています。冬の初めや春先というと、気候に合わせて冬用タイヤに付け替えている車が多くなります。冬用のスタッドレスタイヤは、夏タイヤより柔らかく、すべり止めのためタイヤの溝が深くなっています。スタッドレスタイヤなど冬用タイヤに切り替える頃は、まだ雪がそれほど積もっておらず乾いた路面状況となっていることも多いでしょう。そういった路面状況の道路を、小石を挟みやすい冬タイヤで走ることによって、飛び石が起こりやすくなるのです。春先もまた、冬季中にたまった砕石や砂利などが道路上に残っているため、飛び石が起こりやすくなっているようです。
飛び石被害は前方走行車の責任になるの?
自分の車で跳ね上げた石によって自分の車に傷がついてしまったのなら、まだ諦めがつきそうなものですが、前方を走る他の車が跳ね上げた石で傷がついたとなると、責任を取ってもらいたいと思う人もいるかもしれません。
車の飛び石は誰の責任になるのでしょうか?
道路交通法には、車のドライバーは道路上にある石に注意を払う義務があるとは明記されていません。ドライバーが守るべきものとして「安全運転の義務」というものがありますが、それに関しても、道路上の小石を回避しなかったからといって、責任を問えるものではないと言えます。誰かに責任を追及しようと思っても、飛び石の原因となった石が他の誰かの積載物であったものなのかということや、飛び石の存在を把握していながら道路管理者が撤去していなかったからなのか、など複数の要素が絡んできます。そのため現実的には、石を飛ばしたのが前方走行車だとわかっていても、責任を追及することは難しいでしょう。
また、中古車を購入した時など、車の陸送サービスを利用することがあると思いますが、車の輸送中についた飛び石の傷についても、輸送業者に過失がない限り責任を問うことは基本的にできないこととなっています。
車が飛び石の被害にあった時はどうすればいい?放置してもいい?
車の飛び石によってついた傷は、とても小さいものが多いので、そのまま何もしない方も多いかと思います。しかし、飛び石の傷をそのままにしておくと、思わぬ弊害が後々生じてしまうこともあります。車が飛び石被害にあったら、どのように対応すればいいのでしょうか?
飛び石による傷を放置することによって、車にどういった悪影響を及ぼすのでしょうか?見ていきたいと思います。
車が飛び石被害にあったらどうする?
前方からの飛び石によって車のフロントガラスにヒビが入ってしまうと、初めは小さな傷だったとしても、走行中に次第にヒビが大きくなることがあります。そうなると、運転に支障をきたし、近くの車を巻き込んで大きな事故になる可能性も考えられます。飛び石の被害にあったら、まずは安全な場所で車を停止させて警察に状況を報告するとよいでしょう。保険について後ほどご説明しますが、飛び石傷の修理が必要となった場合に、保険の補償を受けることがあるかもしれません。その場合に備え、まず警察に届出をすることを忘れずに行ってください。
車の飛び石による傷を放置すると大変
車の飛び石の傷はほとんどが小さいものなので、あまり気にならない人もいるかもしれません。小さい傷なのでと、そのまま飛び石の傷を放置してしまうとどうなるのでしょうか?
ボンネットやバンパーなど車体の表面に飛び石があたってついた傷は、深い傷になるとパネルがサビる原因となってしまいます。また、たとえ浅い傷だったとしても、その部分に水が溜まることでウォータースポットにもつながります。
そして、飛び石の傷がフロントガラスについてしまっている場合は、絶対にそのまま放置しないようにしてください。特に気温が高くなる時期は、日差しによって温められたフロントガラスが、エアコン使用によって急激に冷やされることになり、目立たなかった飛び石の傷が突然ヒビ割れることも多いようです。また、走行中の振動や風圧により、飛び石でついた小さな傷が大きく拡がることもあります。小さい傷のうちに修理をしていれば高い修理費用がかからなかったのに、放置することで傷が広がり、フロントガラスの交換までしなければならなくなることもあります。フロントガラスの交換となると修理工賃も含めてかなり高額になってしまいます。
また、表面が欠けた程度の傷なら大丈夫かもしれませんが、フロントガラスに飛び石の傷があると車検が通らない可能性は高いようです。車の飛び石の傷は放置せず、早めに修理しておくといいでしょう。
車の飛び石傷の応急処置
フロントガラスに飛び石が当たってついた傷を放置していると、走行中に傷が大きくなってしまうことがあると上記でご説明しました。しかし、すぐに修理に出せないこともあるかと思います。そういった場合の応急処置方法をご紹介します。
車の飛び石傷用の応急処置シールを貼る
飛び石でついた傷の応急処置方法として、傷がついた部分に貼る専用のシールが市販されています。応急処置のシールを張り付ける時は、傷やひびの汚れを取り除いてから貼るようにしましょう。注意点としては、応急処置専用のシールのため、ひびを直すような効果はないことです。応急処置のシールは、あくまでひびが拡大しづらいように保護するシールとなっています。
ガラスにはUVレジン液を使った応急処置が可能
フロントガラスに飛び石傷がついてしまった時は、ガラスリペア用のUVレジン液を使って補修処置をすることができます。UVレジン液は、紫外線を浴びると硬化する仕組みです。市販されているものもありますので、説明に沿って使用しますが、流れとしては飛び石の傷にUVレジン液を流し込み、日光を当てて固めるようなものになっています。
自分で修理できる?飛び石傷の補修方法
フロントガラスの飛び石傷の補修を、UVレジン液を使用して自分でする時の手順をご紹介します。市販のガラスリペア用のUVレジン液セットは1,000円~4,000円ほどで手に入ります。修理工場等で依頼することに比べて費用は控えめとなっていますので、小さい傷のときは市販のガラスリペアキットを使って補修処置を試みる方も多いようです。
- フロントガラスを乾いた布できれいに拭く
- 飛び石の傷の中に入っている汚れを取り除く(ピンセットや針、綿棒などを使って丁寧に汚れをとる)
- 付属の台座を飛び石の傷の周りに取り付ける
- 補修液を飛び石傷に注入し、付属の器具で減圧と加圧を繰り返す
- 保護フィルムを貼って乾燥させる
- はみ出した補修液をカミソリで削る(フロントガラスに傷をつけてしまわないように気をつける)
こちらの手順で、ご自身でフロントガラスの飛び石の傷の修理ができます。リペアキットにより多少の違いはあるかと思いますので、取扱説明書を確認してください。手順を見ると、飛び石傷は意外と簡単かと思われるかもしれませんが、修理中に新たに傷をつけてしまったり、きれいに仕上がらなかったりと説明書通りにはいかないこともあるようです。また、補修液が不十分で、しばらくすると飛び石の傷が広がってしまうといった可能性もありますので、自分で修理をするのが不安な方は、専門業者に依頼することをおすすめします。
セロハンテープで応急処置はできる?
上記2つの方法については、飛び石傷の応急処置方法として市販されているアイテムを使用していますので、車のダッシュボードなどにどちらかを入れておくと安心でしょう。もし、どちらもすぐに手に入らないというような場合は、セロハンテープで代用するという方法があります。もしもセロハンテープを利用する場合は、耐水ではないので水に濡れると効果がないこと、ワイパーを使うことですぐ剥がれてしまうことを覚えておきましょう。また、小さなセロテープを重ねて貼ってしまうと、ゴミが入ってしまったりと逆効果になることもあります。セロハンテープは耐久性や粘着力は専用のものにくらべて低くなりますので、数日程度の使用にとどめるようにしましょう。
フロントガラスの飛び石傷でガラスを交換するかどうかの判断基準は
車のフロントガラスに飛び石傷がついた場合、フロントガラスを交換しなければいけないのかと不安に思われる方もいるかもしれません。簡単な修理ですむのか交換をしなければいけないのか、その基準と自分で修理する場合の方法を見ていきたいと思います。
フロントガラスの修理か交換の判断基準は傷の大きさ
フロントガラスに飛び石の傷が入った場合、修理になるのか交換になるのか、基準がわからない方も多いかもしれません。一般的にフロントガラスの交換が必要になるのは、傷の大きさが500円玉を超えた場合とされているようです。フロントガラスの傷に500円玉を当てて傷の大きさを確認してみてください。ただし、500円玉より小さな傷であっても、修理ではなく交換になる場合もあります。
小さな飛び石傷でもフロントガラス交換になるパターン
ガラスが交換になるかどうかの判断基準である500円玉サイズですが、500円玉よりも小さな飛び石傷でも交換になるパターンがいくつかあります。こちらでご紹介します。
デフロスターの近くに飛び石の傷がある場合
フロントガラスについているデフロスターは、温風を吹きつけることでフロントガラスの曇りを除去し、ドライバーの視界を確保するためにつけられている装置です。このデフロスターの温風が当たる場所に飛び石の傷ができてしまっている場合、温風による急激な温度変化によって傷が広がったり、最悪の場合、フロントガラス全体が割れてしまうといったことも起こり得ます。従って、修理ではなく交換が必要となってきます。
フロントガラスの端から10~20cm以内にできた飛び石の傷の場合
フロントガラスの端の方に飛び石の傷ができてしまっている場合は、走行中の振動によって、ヒビが大きくなったり、割れにつながることが考えられます。フロントガラスの端から大体20cm以内に飛び石の傷ができてしまっているなら、フロントガラスを交換してください。
フロントガラスの飛び石の傷がドライバーの視界の邪魔になる場合
飛び石の傷がドライバーの視界を遮る場合も、安全性の観点から交換することになります。また、そういったドライバーの視界の邪魔になる傷は車検も通りません。
フロントガラスについた飛び石傷はどこで修理できる?
車の飛び石被害にあってしまい、フロントガラスの修理や交換を業者へ依頼したいと考えた時は、どのような業者を選んで依頼すればいいのでしょうか?こちらでは、フロントガラスの飛び石傷の修理ができる業者や、修理にかかる費用・時間も合わせてご紹介したいと思います。
フロントガラスの修理・交換を引き受けてくれるのは、ディーラーやガラス専門店、自動車の修理工場などになります。実は車の整備工場よりもガラス専門店に依頼した方が、修理費用が抑えられる傾向にあるようです。詳しくご紹介します。
飛び石傷修理が可能な業者ごとの費用相場・平均期間
フロントガラスの飛び石傷の修理にかかる費用は、ガラス専門店なら15,000円~、ディーラーや自動車修理工場では30,000円~が相場となっているようです。飛び石傷の大きさによって価格は変わってきます。ディーラーや自動車修理工場では、フロントガラスの修理や交換は自社では行わずガラス専門店に外注していますので、中間マージンが上乗せされ、その分修理代金が高くなってしまいます。どこに修理を依頼しても、修理の内容に違いはほとんど出ませんので、フロントガラスの飛び石の傷の修理は、ガラス専門店に直接依頼するのが一番コストを抑えることができるかと思います。
フロンガラスの修理にかかる時間についてですが、傷の大きさにもよりますが、修理をする場合は60分ほどで作業が終了するようです。ガラス専門店に修理を依頼した場合は1日で終わるかもしれませんが、ディーラーや自動車修理工場に依頼すると、外注になりますので数日かかることが想定されます。
フロントガラスの交換にかかる費用の注意点
フロントガラスの交換費用は、ガラス代、ガラス交換工賃、必要部品代によって計算されます。
費用項目 | 概要 |
---|---|
フロントガラス代 | 交換する新しいガラスの代金(ガラスの種類によって金額が変わります) |
フロントガラス交換工賃 | フロントガラス交換の際の作業代金 |
必要部品代 | ガラス交換に必要な部品代金(モールやスペーサーと呼ばれる金属部材など) |
また、交換するフロントガラスの種類によっても相場は異なります。
フロントガラスの種類 | 部品代金 |
---|---|
純正品ガラス | 100,000円~ |
国産社外品ガラス | 80,000円~ |
輸入品ガラス | 70,000円~ |
SUVなどフロントガラス面積が広い車は、フロントガラスの代金が高くなるため修理費用も高くなりますが、反対にコンパクトカーや軽自動車などフロントガラス面積が狭い車は費用も安くなります。
フロントガラスの交換にかかる時間ですが、交換の作業自体は1時間ほどでできるようですが、接着剤を乾かすのに4~5時間かかるとのことです。
車のボディやボンネットの飛び石傷はどこで修理できる?
飛び石の傷は小さいものが多いのでなかなか気づきにくいかもしれませんが、飛び石の傷を放置しているとサビや水垢の原因にもなります。洗車をする際には、飛び石の傷がついていないか念入りにチェックしておいたほうがよいでしょう。飛び石で車のボディやボンネットなどに傷がついてしまった時はどうすればいいのでしょうか?
車のボディの飛び石傷を自分で補修することはできる?
車のボディにできた薄い擦り傷など、塗装面の上に乗っている傷の場合は、コンパウンドなどで磨いていけば傷は落ちていきます。しかし飛び石の傷の場合は、塗装そのものを剥がしてしまっていますので、コンパウンドをかけても傷は消えてくれません。塗装が剥がれてしまっていますので、塗装をし直すといった作業が必要になります。そのようなボンネットなどについた飛び石の傷は、市販されている飛び石の傷用の補修キットで補修することができます。飛び石の傷の補修キットを用いた補修方法を見ていきたいと思います。
ボディについた飛び石の傷の補修手順
- 塗装はじきを防ぐため、飛び石の傷がある部分をアルコールなどで脱脂します(キットに脱脂用のシートが入っている場合もあります)
- 傷の周りにマスキングテープを貼ります
- 飛び石の傷部分にタッチペンを塗っていきます(少量の塗料を数回に分けて塗り重ねる)
- 乾燥させる(塗料や季節によっては乾燥に数日かかることもあるようです)
- 塗料が乾いたら、サンドペーパーで磨く
- マスキングテープを剥がす
- コンパウンドで磨いて、サンドペーパーの削り跡を消す
- 光沢が出たら完成、仕上げにワックスでツヤ出し
上記のような手順で補修していきます。タッチペンは車のカラーナンバーと同じ色が市販されています。カラーナンバーは「型式表示プレート」に記載されており、エンジンルーム内やドア当たり部にありますので、確認して必ず同じ色のタッチペンを選ぶようにしてください。タッチペンの金額は大体700~800円ほどです。
手順だけを見ると簡単そうに思えますが、塗料の表面が滑らかにならなかったり、塗りが浅かったため、後でサビが出てきてしまったり、といった場合もあるようです。自分で補修するのが不安な場合は、業者に修理してもらうのがいいでしょう。
ボディについた飛び石傷の修理費用相場は
飛び石傷の修理を依頼した場合の費用ですが、小さい飛び石の傷なら1万円ほどで修理してもらえます。傷が深い大きめのものなら、3万円くらいするとのことです。しかし、小さい飛び石の傷であっても傷の中が既にサビている場合や、気付かないほどの目立たない飛び石の傷が多く存在したりすることもあるそうです。そうなってくると、修理にかかる金額も予想していたより高額になります。修理をしても、車にはまた新たな飛び石の傷がついてしまうものですので、毎回全ても修理するとなると金額的にもとても負担になります。目立たない部分についた飛び石の傷は、できるだけ自分で早めにタッチペンで補修しておくほうがいいのかもしれません。
車の飛び石傷の修理に保険は使える?
ボディやボンネットについた飛び石傷は、タッチペンを使い自分で補修すればコストもかかりませんし、修理に出した場合でも1~3万円程度です。しかし、飛び石の傷でフロントガラスを交換しなければならない場合は、前述の通り純正品のガラスへの交換となると10万円からとかなり高額になることが想定されます。できるなら保険を使って自己負担額を少なくしたいと思うのは当然ですが、飛び石傷の修理に保険は使えるのでしょうか?もし保険を使う場合に注意点などはあるのでしょうか?
車の飛び石傷に使える保険
結論から申し上げますと、車の飛び石による傷の修理に保険は使えます。飛び石による傷は、車両保険によって補償されます。車両保険には、補償の幅が広い「一般型」と、補償範囲が限定される「エコノミー型」があります。一般型とエコノミー型では補償内容は少し異なりますが、飛び石の傷は、「飛来中または落下中の他物との衝突」に当てはまりますので、どちらのタイプの車両保険でも飛び石による傷は適用されます。
事故の例 | 一般型 | エコノミー型 |
---|---|---|
落書き・いたずらなど | 〇 | 〇 |
他自動車との衝突・接触 | 〇 | 〇 |
飛来中または落下中の他物との衝突 | 〇 | 〇 |
盗難 | 〇 | 〇 |
火災・爆発 | 〇 | 〇 |
台風・洪水・竜巻など | 〇 | 〇 |
電柱に衝突 | 〇 | × |
当て逃げ | 〇 | × |
自転車との接触 | 〇 | × |
地震・噴火などの災害 | × | × |
※上記の表は一般的なものになります。詳しくは保険会社にお問合せください。
車の飛び石の傷に保険を使う際の注意点
高額な修理代がかかるフロントガラスの交換に、車両保険が使えるというのはとても嬉しいことです。修理代を安く抑えることができる!と喜んでしまいたいですが、注意しなくてはならない点が2つあります。
翌年度の保険の等級が下がる
自動車保険の保険料は等級制度によって決められ、事故を起こした人の保険料が高くなるように設定されています。飛び石による被害は、自分で起こした事故ではありませんが、飛び石の傷の修理に車両保険を使うと、残念ながら翌年度の保険の等級は1つ下がってしまいます。等級が下がるということは、翌年度の保険料が高くなってしまうということですので、飛び石の傷の修理代を安く抑えられても、支払う保険料が高くなり、トータル的に支払う額が増えてしまう可能性もあるのです。
保険会社の免責分は自己負担になる
車両保険はあらかじめ免責分というのが設定されています。飛び石の傷による修理代金より免責分を引いた額を、保険会社が負担することになります。例えば、飛び石の傷によってフロントガラスの交換に10万円かかる場合、免責金額を5万円と設定していると、フロントガラス交換代10万円-免責分5万円=保険会社負担5万円 となり、保険会社から払ってもらえる額は5万円となります。免責分のことを忘れている方もいらっしゃいますので、免責金額がいくらなのか契約内容を確認してみてください。
また、修理代が免責金額を下回る場合は、車両保険で保険は下りません。
飛び石傷の修理に保険を利用するかどうかの判断基準
車の飛び石傷を修理する際に車両保険を使うかどうかは、修理費用の見積りを出してもらってから判断するのがよいでしょう。免責金額分は自分で支払わなくてはなりませんし、もし車両保険を使った場合、翌年度の保険料がいくらになるのかも知る必要があります。自分で払う修理費用が、今後増える保険料よりも上回るなら、車両保険を使うのもよいかと思われますが、修理費用の方が安く抑えられるなら、保険は使わず実費で修理をしたほうが得と言えると思います。飛び石の傷の修理を、保険を使わず実費で対応するとなった場合、見積りの金額より修理費用を抑える方法として、フロントガラスの種類を変更するという方法もあります。
もし見積りの時点で、純正品のフロントガラスとの交換をお願いしていたなら、もう少し安い国産社外品に変更したり、国産社外品で見積りを出してもらっていたなら、輸入品に変更すると少しコストが抑えられます。このように、飛び石傷の修理に車両保険を使うかどうかは、修理代の見積り金額と、今後支払う保険料の増加分の金額を比べながら、よく考えて判断するようにしてください。もし判断に迷ったら、保険会社に相談するのが良いでしょう。
車の飛び石の予防策
これまで車の飛び石の修理・応急処置方法、修理費用や保険利用について解説しました。しかし、ご自身で修理をするのは手間も時間もかかりますし、特に自分の責任ではないのに修理費用を払わなくてはいけないとなると、飛び石被害にできるだけ遭わないようにするには、と考える方がほとんどでしょう。
残念ながら、車への飛び石を100%防ぐ方法はありません。しかし、飛び石が起きやすい状況を把握しておくことで、車が飛び石の被害に遭う確率を下げることはできます。飛び石の被害に遭わないようにするためにも、自分が飛び石の加害者になってしまわないようにも予防方法を知っておくことが大切です。
自分の車が飛び石を起こさないための予防策
誰でも車の飛び石の被害に遭うのはイヤなものです。自分が飛び石を起こさないようにするにはどうすればいいのでしょうか?
タイヤの溝に小石が挟まっていないかチェックする
タイヤの溝に小石が挟まっていると、高速道路などでは遠心力によって、遠くまで勢いよく小石が飛んでいってしまいます。タイヤの溝に小石が挟まっていないか、たまにチェックするのも飛び石の加害者にならないために有効です。
走行中にスピードを出しすぎない
スピードを出しすぎると、飛び石も発生しやすくなってしまいます。スピードの出しすぎには注意をしてください。
スタッドレスタイヤなど冬用タイヤ装着時は特に気を付ける
スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤは、柔らかく溝が深いため、小石を挟みやすい形状となっており飛び石を発生させやすいことは前述しました。そのことを踏まえて、スタッドレスタイヤ装着時は、小石がタイヤに挟まっていないかのチェックはもちろん、スピードを出しすぎないなど、夏用タイヤより注意する必要があると言えるでしょう。
車の飛び石の被害を受けないための予防策
車の飛び石の被害に遭う確率を下げるために有効な予防法もあります。
トラックやダンプカーなど大型車の後ろを避ける
トラックやダンプカーなど大型車の後ろは、どうしても飛び石の被害に遭いやすいと言えます。極力、そういった大型車の後ろは走行しないようにしたほうがいいでしょう。
車間距離を十分に開ける
飛び石が発生したとしても、車間距離が十分にとれていれば、飛び石の被害に遭う確率は下がります。特に高速道路では、速度と同じくらいの車間距離が必要とされていますので、時速100キロで走行するなら100メートル、時速80キロで走行するなら80メートルの車間距離をあけるようにしてください。
溝幅が大きい4WDタイヤの車の後ろは避ける
タイヤの溝幅が広いと石を挟みやすいため、飛び石が発生しやすくなります。4WDの後ろを走行するのは、できるだけ避けた方が、飛び石の被害に遭う確率も低くなると言えるでしょう。
スピードを出しすぎない
飛び石の被害に遭った場合、スピードがより出ていると、車へのダメージも大きくなってしまいます。高速道路でスピードを出すのは仕方がないことですが、飛び石の被害者になるだけでなく、自分が飛び石の加害者になる可能性も高くなりますので、必要以上にスピードを出しすぎるのは避けるようにしてください。
カーコーティングをする
車を前もってコーティングをしておくと、ボディをきれいに保てるだけでなく、少しの傷なら防止することもできます。飛び石の傷を完全に防ぐことはできないかもしれませんが、被害を比較的軽く抑えられるかもしれません。できるだけ車に飛び石の傷をつけたくないと思われる方は、カーコーティングをするのもいいかもしれません。
フロントガラスに保護フィルムを貼る
飛び石の傷を防止するフロントガラス保護フィルムがあります。この保護フィルムを貼っておけば、飛び石の傷を完全に防ぐことはできなくても、傷の深さを軽減することはできるようです。飛び石によりフロントガラスにヒビが入り交換するとなると、修理に出す時間もかかりますし、わずらわしさもあります。予防のために保護フィルムを貼っておくのもよいかもしれません。
まとめ
飛び石の被害に遭ってしまうと、自分は悪くなくても修理代を払わなくてはいけなくなってしまいます。飛び石の傷を放置しておくとサビが出てきてしまったり、走行中に傷が大きくなることもあります。また、保険を使うにしても、翌年度の等級が下がってしまったりと、良いことはひとつもありません。飛び石は完全に防ぐことはできませんが、被害者にも加害者にもならないために、できる限りの予防はしていきたいものです。