普通自動車運転免許を取得するために自動車教習所へ通ったことがある方は、一般講習かオートマ限定講習、どちらの免許の取得を目指しますか?と聞かれたことがあるのではないでしょうか。ある自動車教習所では、オートマ限定講習を選択すると受講数が3回少なくなり、その分受講料も安くなるため選ぶ方が約6割いらっしゃるそうです。実は運転免許を取得していても、ちゃんとは知らないMT車とAT車の違いや、それぞれの意味について詳しく解説します。
マニュアル(MT)車とオートマ(AT)車の意味
マニュアル車とは、ManualTransmissionマニュアルトランスミッション車のことです。オートマ車は、AutomaticTransmissionオートマチックトランスミッション車のことです。MT車とAT車とはどんな車のことをいうのでしょうか。
マニュアル車とはどんな車?
ManualTransmissionマニュアルトランスミッション(MT)車とは、直訳すると手動変速機のことです。MT車を運転する時に、走行する場面や状況に応じてドライバー自身が何段階かの変速(ギアチェンジ)操作をします。運転操作時に、クラッチペダルとシフトレバーを使って変速をするため、AT車に比べると複雑な操作が必要になります。MT車はドライバーにとってダイレクトな運転性を感じることも出来るため、車の運転が好きな方やドライビング感覚を大切にしたい方に人気があります。
変速するときのギアとは?
車にとっての【ギア】とは、歯車と歯車を組み合わせた装置のことです。現行車に多い常時かみ合い式の場合、各ギア毎に歯車がかみ合った状態で空転しています。変速操作をする時は、空転している歯車に出力軸を結合させることで行います。段階毎に歯車の大きさが異なり、大きいほど駆動力が出ます。駆動力が必要な時は、ギアの比率を低くしてパワーを出し加速します。高速道路で一定の速度での走行ができている状態であれば、エンジンの駆動力を一気に出すことはありませんので、トップギアに置いて程よい加速を保ち走行することも出来ます。
オートマ車とはどんな車?
AutomaticTransmissionオートマチックトランスミッション車とは、自動変速機の車という意味です。MT車ではドライバーが行っていた変速を、車が自動で行ってくれる自動変速機構がAT車には搭載されています。AT車の場合、ドライバーが操作するのはブレーキとアクセルペダルでの速度調整となり変速を段階ごとに切り替えることはしませんが、MT車はAT車とは異なり、ドライバーが切り替え操作出来なければいけません。そのため、自動車教習所でも【坂道発進】時の切り替え操作が仮免許試験に登場します。MT車の場合は坂道発進時、クラッチ操作が必要で失敗してしまうとエンストを起こしてしまう可能性もあり難しいといわれています。オートマ限定車が坂道発進を行う時は、サイドブレーキの引き忘れなどに気を付ければ複雑な操作はありません。販売されている車輌もAT車の割合が高くなってきているため、オートマ限定の運転免許を取得する割合が高い傾向にあるのではないでしょうか。
オートマ(AT)限定も限定解除を行えばMT車が運転可能に
普通自動車運転免許を取得した際はAT車限定免許を選択したものの、後からMT車を運転したいと考える方もいるでしょう。その場合は、オートマ限定解除を行えば運転が出来るようになります。こちらでは、オートマ限定解除の方法をご紹介します。
オートマチック(AT)車限定免許の限定解除の方法
オートマチック(AT)車限定免許の限定解除をする方法は、二通りあります。
1.指定自動車教習所で普通車AT限定解除の教習と検定を受ける
普通車AT限定免許を所持している方のみ、自動車教習所で普通車AT限定解除の技能教習を受けることが出来ます。教習料金は地方や教習所によって異なりますが、40,000円~80,000円前後に設定されていて、その料金内に初回検定料を含めている学校が多いようです。最短で技能教習4時限と技能検定を受け、検定審査に合格すればAT限定解除ができます。すでに普通車運転免許は取得しているため、適正検査と学科試験は免除されます。
2.運転免許試験場等で直接審査を受ける
オートマチック限定の技能限定解除の技能審査を、試験場で直接受けることも出来ます。試験場での審査に必要なものは、AT車限定運転免許と審査手数料1,400円、貸車料1,450円、筆記用具です。試験場にも寄りますが、貸し車等の数も限られているため前日までの予約が必要なところが多くなっています。こちらは限定一発解除と言われる方法のため、審査に合格すれば教習所に通うより費用の節約が出来ます。ただし、教習所に比べて審査は厳しいと言われているため、何度も試験を受けることになったり、練習コースを借りる必要があると費用が多くかかってしまう可能性もあるでしょう。
AT車限定免許が限定解除されたら
AT車限定解除の審査に合格すると、合格証明書が交付され、免許交付センターで限定解除の判子を押してもらいます。判子は、運転免許の裏面に押されます。そのため、表面の「条件:普通車の運転はAT車に限る」の文言が消えるわけではありません。次回更新時や、別に二輪免許を取得するなどして新しい免許証が交付されたときに、AT車限定の文言が消えます。
AT車限定解除でMT車の運転ができるとこんなメリットが
AT車限定免許を取得されている方が、もしも今後AT車限定解除を行いMT車の運転が出来るようになると、メリットになるかもということがいくつかあります。MT車はスポーツカー要素が強い車のイメージだから、とAT車限定を考えている方は初耳メリットかもしれません。ぜひ参考にご覧ください。
軽トラックを利用するならMT車の可能性大
農業や林業などを行う人にとって身近な車で、利用する方も多い軽トラック。実は、MT車を利用されている方が多いことをご存知でしょうか。郊外からのリモートワークの可能性や、都心部から移住しライフスタイルを見直す方も多い昨今、中には畑仕事や農作業をはじめてみようと考える方も多いでしょう。実は、農作業等で荷物を運ぶ際に勾配が急な道路を利用することも多いため、軽トラックドライバーはギア比を活用し、トルクの調整を行っています。知らずにAT車を利用していて坂道を下ろうとするとエンジンブレーキの効きが弱く感じて不安になったり、燃費を悪く感じるという方も多いのです。また、各軽自動車販売メーカーにおいて、軽トラックは販売価格を抑えられている車種ですが、中でもMT車はAT車に比べると安く、燃費率も良くなってます。中古車の供給も5MT車が多い傾向にあるため、今後軽トラックの利用があるかもしれない、そんな方はMT車の運転に慣れておくことをおすすめします。
海外ではMT車が主流の地域もある
海外の特にヨーロッパやインド、ブラジルなどの国や地域では、MT車とAT車の比率でいうとMT車が高くなっています。国際運転免許証の場合、AT車限定運転免許という条件はありません。そのため、ヨーロッパへ旅行に行きレンタカーに乗ろうとしたら、MT車だったため運転出来なかったという経験談もあるのです。将来的に海外に行く予定がある方、長期出張、旅行中も自分の運転での移動をしたいなどを考える方であれば、MT車の運転ができるようにAT車限定解除をしておくと安心ですね。
MT車でもAT車でもない、CVT車とは?
CVTは無段変速機という意味で、continuously variable transmission(コンティニュアス・ヴァリアブル・トランスミッション)を省略したものです。英単語ごとに直訳するとcontinuously連続的に、variable 変数、transmission変速機となります。
MT車・AT車とCVT車の違いは?
CVT車は、ギアを使わず無段階で変速することが出来ます。MT車やAT車は何段かの変速比を選択することで速度域の調整はドライバーが行いますが、CVT車は自動的に無段階で最適な変速比を選択して走ります。極端な低速や、高速が頻繁に繰り返される走りにはCVT車は向いていませんが、一般的なシティユースであれば無駄なく変速比制御も可能なため、燃費面としてもプラスになります。
CVT車はどの運転免許で運転が可能?
CVT車は、無段階変速のため、オートマ(AT)車限定免許での運転が可能です。現在は、AT車やCVT車が増えていることから、AT車限定免許で運転することが可能な車も増えています。
まとめ
こちらでは、オートマチックトランスミッション(AT)車、マニュアルトランスミッション(MT)車についてご紹介しました。現在の新車販売市場では、オートマ(AT)車は運転がしやすく燃費消費率も向上しているため多い傾向です。ただし、スポーツグレードなど走行性能が高く、車との一体感を重視する車であれば、MT車が断然人気でもあります。乗りたい車はどんな車なのか、車選びの際にぜひ参考にしていただければ幸いです。