車検を受けられる期間は、一般的には有効期限切れの1か月前と言われています。しかし実は45日前から受けられる裏技があるのです。
今回は車検を有効期限切れ45日前に受ける 方法と、早く車検を受けることのメリット・デメリットについてご紹介します。
車検を45日前から出す方法とは
車検は一般的には有効期限満了日の1か月前以内に受けることで、満了日後から有効期限を引き継げます。それ以前の車検は残りの車検期間が無効となってしまい、車検を受けた日から有効期限が始まりますが、特例として指定工場での車検なら45日前から有効期限を引き継ぐことができます。
指定工場なら45日前から受けられる
指定工場は、陸運局から工場内で車検を行うことを許可された整備工場です。指定工場では特例措置として、その車が保安基準に適合していることを証明する「保安基準適合証」を発行できます。
保安基準適合証の有効期限は15日間。指定工場は保安基準適合証を発行後、陸運局へ申請を行い、車検証を発行してもらい、ユーザーへ車検証・車検ステッカーを渡します。
この保安基準適合証の有効期限切れの日を、車検有効期限満了日の1か月前に合わせれば、15日+30日で、ちょうど45日前に車検を通せるようになります。
認証工場には特例制度無し
整備工場には、指定工場の他に「認証工場」があります。認証工場は陸運局から車の整備業務、車検業務を行うことを許された工場ですが、指定工場のように車検のラインを所有しておらず、保安基準適合証を発行する特例措置が認められていません。
認証工場に車検を依頼する際は、通常通りの1か月前からの手続きを行いましょう。
さらに詳しく知らないと不安な方は、専門業者に問い合わせることをおすすめします。
車検はいつでも出せる
車検は一般的に満了日の30日前からしか受けられないといわれますが、厳密には車検は1年間の間、いつでも受けることができます。ではなぜ30日前と言われるのでしょうか。
満了日30日前以降なら有効期限が延長
車検の有効期限満了日から30日前以降に車検を受ける場合、現在の満了日に有効期限が加算されます。
例えば2020年5月15日に車検の有効期限が設定されている場合、2020年4月15日から5月15日の間に車検に合格すれば、次回の有効期限は2022年4月30日まで延長されます。
満了日30日以前の車検は日数を損する
しかし、満了日の30日前よりも早く車検を受けてしまうと、その車検を受けた日から車検の有効期限が始まります。
例えば、2020年5月15日に車検の有効期限が設定されている車が2020年4月1日に車検を受けた場合、その車検の有効期限は2022年4月1日までとなり、2020年4月1日から5月15日までの約1.5か月分の有効期限は無効となってしまいます。
なお、ここでいう「車検を受ける」とは、陸運局で行う車検の登録手続きを指します。45日前に指定工場に依頼した場合には30日前に陸運局で手続きを行うため、満了日までの有効期間は引き継がれ、2022年5月15日まで有効となります。
車検が切れるとどうなる
普通乗用車の場合には2年に1回の車検が必要です。指定された期間に車検を受けることを忘れてしまい有効期限が切れてしまった場合、どのような問題が起きるのでしょうか。
車検切れで公道を走るのは違法
車検切れの車は「無車検運行」という状態となり、道路輸送車両法に定められた安全基準を満たしていない状態となります。そのため道路運送車両法第58条に違反していると見なされ、処罰の対象となります。
無車検運行は6か月以上の懲役または30万円以下の罰金という重い処罰が下されます。また道路交通法にも抵触し、6点の違反点数が加算。前歴無しの人でも30日間の免許停止、前歴2回以上では免許取り消しの処分が下されます。
同時に自賠責保険も切れている恐れあり
また車検を通す際に、同じ期間分の「自動車損害賠償責任保険」、いわゆる自賠責保険に加入することが多いでしょう。車検が切れるタイミングで自賠責保険の加入期間も満了を迎えた場合、その状態で公道を走ると「無保険運行」とされる処罰の対象となります。
無保険運行は自動車損害賠償保障法第5条の違反に該当。1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
また無車検運行と同様に道路交通法違反にも該当。6点の違反点数が加算され、最低30日の免許停止、前歴が2回以上あれば免許取り消しの処分対象とされます。
車検を45日前に出すメリットデメリット
有効期限が切れてしまうと重い処罰の対象となる車検。確実に通すために早い時期から手続きを行いたいものですが、指定工場を利用して45日前から車検を受けるには、それぞれ一定のメリットとデメリットが存在します。
メリット1:混雑する時期を回避できる
毎年2月~3月の車販売店の決算期、9月の中間決算期には車の販売数が増えるため、それに伴い車検を受ける車の数も増加します。この時期に慌てて車検の業者を訪ねても予約が取れないことがほとんどでしょう。
ここで45日前から受けられる指定工場の特例制度を活用すれば、混雑する時期を避けて車検を受けることが可能に。混雑していない工場ならすぐに対応してもらえ、当日のうちに車が戻ってくることも期待できます。
メリット2:工場によっては早期割引の対象
車検を代行する業者から見れば、繁忙期に対応しきれないほどの大量の依頼が殺到するのは避けたいところ。そのため、早い時期からの予約には早期割引を設定していることも多くあります。
早期割引の期間は数か月前から数週間前までと、店舗により受付期間に差があります。また割引だけでなくオイル等のサービスなどの特典を付ける場合もありますので、いくつかの店舗を比較して最も良いサービスをしている業者を選ぶのがよいでしょう。
デメリット1:指定工場でしか受けられない
45日前車検を実現するために必要な保安基準適合証の発行は、指定工場のみに許されている特権です。安価で車検対応を行ってくれる認証工場や、土日でも受け付けるガソリンスタンドでは45日前車検を行うことはできません。
また指定工場の認定を受けている業者の中には定休日を設けているところも多いため、全ての指定工場がぴったり45日前から車検を受け付けてくれるわけではありません。
車検を依頼したい業者が決まっているなら、保安基準適合証を発行できる指定工場なのか、定休日はいつなのかを確認しておくとよいでしょう。
デメリット2:保安基準適合標票の有効期間が短い
保安基準適合証は車検に定められた保安基準を満たしていることを証明する証ですが、有効期限は15日と非常に短く定められています。
15日を過ぎてしまうと保安基準適合証は効力を失い、再度車検を受けなおさなければなりません。さらに保安基準適合証の期限が過ぎると車検証不携帯の状態となってしまうため、その車で公道を走ることができなくなります。
きっちり45日前の車検を目指すと業者側が手続きを行う時間の余裕が全くないため、手続きが遅れ車検の受けなおしになってしまう危険性があります。早期に車検を受けるにしても、ある程度の余裕を持ちつつ、対応してくれる業者とは日程をしっかりと確認しておきましょう。
お近くの店舗が希望日の車検に対応しているかは、ぜひ問い合わせてみてください。
まとめ
車検は有効期限30日前でなくとも受けることができ、指定工場を利用すれば45日前の車検から満了日を引き継ぐことができます。
45日前車検には混雑を避ける、早期割引が期待できるといったメリットがありますが、タイミングを間違えれば車検切れになってしまうリスクも抱えています。
満了日30日前よりも前に車検を受ける場合も、日程には余裕を持ちながら、対応する業者とスケジュールをしっかりと確認しておきましょう。