自分の名義でない車の買取はできる?手続きの流れは?

業者に車の買取を依頼するときは、必ずしも車検証の所有者が自分の名義でない場合があります。自分の車ではないので、買取を依頼するには特別な手続きが必要です。ケース別に手続きの流れを紹介します。

車買取の必要書類は名義変更で使用する

車の買取では、所有者を売主から買取業者に変更するための手続きが必要です。

売主が用意するのは、車検証と実印、その印鑑証明書になります。車検証と現在の住所が異なる場合は発行から3ヶ月以内の住民票が必要です。軽自動車は実印と印鑑証明書が不要で、その代わりに認印を用意します。

本来は、売主と買取業者が一緒に運輸支局や軽自動車検査協会に出向くべきですが、委任状や譲渡証明書(軽自動車は自動車検査証記入申請書)に必要事項を記入して押印すれば、買取業者だけで手続きできます。これらは買取業者が用意してくれるでしょう。

手続きが終わると所有者の名義が変更された車検証が発行されて完了です。

名義変更の手続きをしないと、売主には自動車税(または軽自動車税)が請求され続けますし、買取業者は車を売却できません。

実際の買取では、ほかにも期限内の自賠責保険証や有効な納税証明書、リサイクル券が必要です。

自賠責保険証は、自賠責保険に加入している証になります。自賠責保険に加入していないと、その車は公道を走れません。買取後は、業者が名義を変更するのが一般的です。

納税証明書は納税している証になり、未納があると車検を受けられないようになっています。この両方が証明されてこそ、業者がほかの業者や客に買い取った車を売却できるわけです。

リサイクル券は廃車にするとき必要で、本来は新車で購入したときの所有者がリサイクル料を支払って発行されています。けれども、施行されたのは2005年1月1日からなので、それ以前に新車で購入された車は発行されていないかもしれません。その場合は、廃車にするときの所有者がリサイクル料を支払います。

家族名義の車を買い取ってもらうときの手続きは?

家族名義の車を買い取ってもらうときも、必要な書類は同じです。ただし、譲渡証明書や委任状に記入・押印するのは家族なので、普通車の場合でも印鑑証明書は家族が使用した実印のものを用意します。

手続きをするときは、家族から売主を通さず買取業者に名義変更されるので、売主が用意するものはありません。

ローンを組んで購入した車を買い取ってもらうときの手続きは?

ローンを組んで購入した車は、たとえ返済しているのが本人であっても、所有者の名義はローン会社やディーラーなどになっています。いわゆる「所有権留保」です。完済するまでは自分の名義にできません。

ローンを組んで購入したときに、所有権留保されるのは、万が一返済が滞ったときに、ローン会社やディーラーなどが優先して車を差し押さえるためです。

ただしローンを完済しても、名義は自動的に変わりません。所有権留保を解除する手続きが必要です。

所有権留保の解除で必要になる書類は、相手によって変わるため、一概にはいえません。事前に問い合わせたほうが間違いないでしょう。一般的には、ローンの完済証明書や車検証の写し、所有権解除依頼書(または委任状)、実印を押していれば印鑑証明書が必要です。

手続きが完了すると、譲渡証明書や委任状、印鑑証明書が返送されてきます。これを買取業者に渡せば、買い取った後で名義変更をしてくれるでしょう。

なお、買取業者の中には、所有権留保の解除を代行してくれるところがあります。ローンの残債があれば、買取代金と相殺するのも可能です。ただし、1~3万円ほどの代行手数料を請求されます。

相続した車を買い取ってもらうときの手続きは?

亡くなった家族の車を相続して買い取ってもらうときは、ほかのケースよりも手間がかかります。

亡くなった家族の車は相続財産に含まれるため、誰が相続するか決めなければいけません。相続が確定するまでは相続人全員の共有財産になります。

相続が確定する前に買い取ってもらう場合は、車検証と亡くなった家族の戸籍謄本か戸籍の全部事項証明書が必要です。さらに、相続人全員の記入と押印がある譲渡証明書と委任状、相続人全員の印鑑証明書が必要になります。

戸籍謄本と戸籍の全部事項証明書は、管理するのが紙媒体かコンピューターかが違うだけで、記載されている内容は基本的に同じです。どちらか片方が必要で、本人の死亡と相続人全員を確認するために使います。

相続人全員を確認するには、生まれたときから亡くなるまでの戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書)が必要です。転居により本籍地が変わっている場合は、以前の本籍地がある自治体からも取り寄せなければいけません。

遺産分割協議が終わって、相続が確定した後に買い取ってもらう場合は、車検証と亡くなった家族の戸籍謄本(または戸籍の全部事項証明書)以外が異なります。

遺産分割協議書と代表相続人の記入と押印がある譲渡証明書と委任状、実印の印鑑証明書が必要です。

以降の流れは、ほかのケースと同じで、新たに発行される車検証の名義は買取業者に変わります。

亡くなった家族の車を買い取ってもらうときは、2つの大きな壁をクリアしなければいけません。1つは相続人全員の同意です。もう1つは未成年の相続人が存在すると、特別代理人の選定や共同相続の手間が発生します。

自力で対処できそうにない場合は、相続に詳しい買取業者に相談したほうがいいでしょう。

なお、亡くなった家族の車が軽自動車であれば、手続きはもっと簡単になります。ただし、買取を依頼できるのは相続が確定してからであり、一旦は相続人の名義に変更するのが原則です。

必要なのは車検証、本人の死亡と相続人との関係を確認できる戸籍謄本(または戸籍の全部事項証明書)、自動車検査証記入申請書、相続人の認印と住民票の写しです。

軽自動車検査協会の事務所によっては、亡くなった家族から相続人を通さずに買取業者へ名義変更できる場合もあります。買取業者があるエリアの管轄事務所に問い合わせてみましょう。

また、亡くなった家族の車がローンの返済中で、所有者の名義がローン会社やディーラーになっている場合は、相続財産に含まれません。買い取ってもらいたいときは、誰かが「使用者」になって、ローンを完済した後に所有権留保を解除する手続きを行います。

使用者を変更するときに必要な書類は、車検証と所有者の委任状、新しい所有者の住民票と車庫証明、認印です。

連絡が取れない人名義の車を買い取ってもらうときの手続きは?

車検証に記載されている所有者と何らかの理由で連絡が取れない場合は、いつまでも名義変更ができません。つまり、買取もできないわけです。離婚や失踪といったケースが該当します。

どうしても車を買い取ってもらいたいときは、何とかして連絡を取り、譲渡証明書や委任状に記入・押印してもらうしかありません。普通車を売却するなら印鑑証明書も必要です。 連絡先や居場所が分からない場合は、弁護士に探してもらう方法があります。単に人探しだけでは断られるかもしれませんが、車の名義変更という目的があるため、引き受けてくれる可能性は高いでしょう。見つけた後に弁護士から連絡すれば、自分で連絡するより、すんなりと手続きに応じてくれるかもしれません。

まとめ

自分名義でない車を買い取ってもらいたいときは、本来の所有者から買取業者へ名義変更するための手続きが必要です。そのための書類も用意しなければいけません。家族以外が所有者の場合は、手続きが複雑になるので、詳しい買取業者や専門家に相談するといいでしょう。

車の買取業者は全国に数多く存在します。その中から自分に合ったところをいくつか探して比較してみてください。

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