車を売却するとき、査定額が0円で提示される場合があります。ショックを受けるかもしれませんが、0円になるのはれっきとした理由があるものです。そのような車はどうすれば値をつけられるのでしょうか。
車査定が0円になった理由
一般的な中古車買取業者では、買い取った車を整備して走れるようにしてから流通させます。例えば店頭で販売したり、業者間のオークションに出品したりするなどです。
利益を出すためには、再度売却したときの価格が、買取価格と整備費用の合計を上回らなければいけません。もちろん、買い手が見つからないと、在庫を抱える破目になってしまい、無駄な経費がかかってしまいます。
年式の古い車や走行距離の多い車は、あまり人気がありません。使用感がありますし、部品も目に見えないところで劣化しているからです。
たとえ安く購入できたとしても、頻繁に修理しなければいけなかったり、車検を通すのに費用がかかったりするなどして、結局は割高になってしまいます。そのため、よほど安くしないと売れません。
普通車であれば10年で10万km、軽自動車は8年で8万kmを超えていると、敬遠される傾向があります。また、年に1万kmを超えて走らせるのも過走行とみなされて査定額が低くなりがちです。
逆に走行距離が短くても、年数と比べてあまり運転されていないようであれば、やはり高値はつきません。車は走らせないのも劣化する原因になります。年に5,000km以下しか走らせていないようであれば要注意です。
同じく、事故車や水没車など、過去にトラブルを起こした車は、修理して走れるようになったとしても、完全に不具合を解消できているわけではありません。かなりの確率で再び故障する可能性があります。
また、不動車は走れるようにするための修理費が高額になりがちです。よほど高値で売るか、買値を安くしないと採算が取れません。当然、業者にとっては後者のほうが簡単です。むしろ、処分するためにお金を請求されても仕方がないでしょう。
このように利益を出せなかったり、保有するだけで経費がかかったりする車は、0円で買い取って、業者が損失を出さないようにするわけです。
0円査定の車を売るためにあなたがすること
車の査定額は、JAAI(一般財団法人日本自動車査定協会)のハンドブックやカーチェックシートに基づいて計算されます。ただし、実際はそのときの需要やオークションの相場に左右されるのがほとんどです。
そのため、同じ車を査定してもらっても、すべての中古車買取業者で査定額が同じになるとは限りません。ある業者では0円だったのに、別の業者では数万円がつくケースもよくあります。
例えば、スポーツカーや輸入車、改造車など、好みが分かれやすい車は、専門に扱っている業者ほど高値をつけてくれるかもしれません。そこなら需要があるからです。
海外へ輸出する業者もあります。日本車は品質が高く、どんな車も車検を通っているので、壊れにくいと評判です。走りさえすれば見た目や多少の不具合は気にしません。実際に海外では数十年前の車が現役で走っています。そのような業者は、低年式の車や過走行の車、事故車、水没車でも0円を超える査定額をつけてくれるでしょう。
複数の業者に査定額を競わせるのも高値を引き出しやすくなります。1つの業者だけなら、どのように価格をつけようが自由です。需要があっても、利益を多くするためにあえて0円をつける業者もいます。
けれども、複数の業者で競うとなれば、少しでも高い査定額をつけないと売却してもらえません。どこの業者も在庫を確保しなければ商売になりませんから、より高値を引き出しやすくなるわけです。
だからこそ車を売却するときは、1つの業者だけで決めるのではなく、複数の業者に査定を依頼すると良いでしょう。その業者がどの車種に強いのか調べるのも、高値を引き出すコツです。
単に車を手放すのではなく、新たな車に乗り換えたいのであれば、ディーラーの下取りを利用したほうがお得になるかもしれません。
一般的にディーラーの下取りは、中古車買取業者に比べて査定額が低くなりがちです。ほとんどのディーラーは新車の販売を専門としており、中古車を流通させて利益を出す手段が多くありません。また、査定額は現金で受け取るのではなく、新車の値引きという形で反映されます。
新車を直接値引きするのは、ブランド価値が下がる原因になるため、メーカーやディーラーはあまり好みません。ただし、値引きをする余地は充分にあります。そこで下取りする車に価値があるように見せかけて、実質的な値引きをするわけです。
もちろん、値引きには限度がありますから、中古車買取業者で高く査定額がつくような車は下取りに出すとかえって損です。一方、0円の車なら、実際の査定額はどうであれ値引きされたら得したといえます。
また、ディーラーは新車を購入するときに古い車を手放すと、すべての手続きが1ヶ所で済むのもメリットです。ディーラーローンを組んでいるなら、新しいローンの乗り換えも比較的簡単にできます。
逆に車の乗り換えをしないのであれば、ディーラーで手放すのは大損です。利益を出す手段が無い分、0円どころか車を処分する費用を請求されるかもしれません。
廃車買取業者にも問い合わせよう
車を買い取る業者には、先ほどのように車として再販するのが目的のところ以外に、廃車を専門にするところがあります。
「廃車」ですから、買い取った車の活用法は再販するだけではありません。例えば、解体した車から発生した鉄くず(スクラップ)は、一定の価格で取引されています。日本鉄リサイクル工業会によると、2019年11月の相場は、地域にもよりますが1tあたり20,000~24,000円くらいです。
車の原材料の7~8割は鉄といわれています。仮に1tの車であれば700kgから800kgが鉄です。車の重さは軽自動車で0.8~1t、普通車で1~2tですから、鉄くずを売却するだけで、結構な利益になるといえるでしょう。
また、使える部品があれば、再販して利益を出せます。特に海外では純正の部品が入りづらいため、こうした中古部品は人気です。日本国内でも生産終了した古い車の部品は需要があります。
さらに、多くの廃車買取業者は自社で工場を持っていることが多く、解体も修理も整備も可能です。委託したときの中間マージンは発生しませんから、より利益を出しやすいわけです。
もちろん、車を引き取ったり、廃車の手続きをしたりするには経費が発生します。そのため、不動車のようにレッカー車や積載車を用意しなければいけない車は、さすがに0円かもしれません。それ以外の車なら、0円を上回る査定額がつく可能性があります。
本来、自分で廃車するとなれば、車を解体業者に持ち込まなければならず、運輸支局や軽自動車検査協会の手続きも平日でなければできません。そこに至るまでは、車を持ち込む費用や解体費用、リサイクル代、手続きの代行手数料などが発生します。車種によっては10万円近くかかるほどです。
そう考えると、査定額が0円でも廃車買取業者に引き取ってもらったほうがお得といえるでしょう。
まとめ
車の査定額が0円になるのは、その業者が買い取っても利益を出せなかったり、逆に経費がかかったりするからです。利益を出せる業者であれば、0円を超える査定額をつけてくれる可能性が高くなります。
このように、中古車の買取業者はそれぞれ得意とする車種が異なるので、1つの業者だけで決めるのではなく、ほかの業者にも査定を依頼しましょう。最適な業者選びが、より良い査定額につながります。