車の買取で自賠責は還付される?自賠責保険の目的も解説

車検の際に必ず支払わなければならない法定費用に含まれているのが自賠責保険料です。次の車検までの期間分を一度に支払う決まりとなっていますが、契約期間が残っている間に車を売却した場合、残りの期間分の保険料はどうなるのでしょうか。

今回は車を売却したときの自賠責保険料の扱いについて紹介します。

車の買取時は自賠責の保険料が還付される?

車を売却した場合、未経過分の自賠責保険の保険料がどのように扱われるかは、売却先の業者により方針が異なります。

売却時の残り期間分は還付される場合

車を売却した時点で自賠責保険料の未経過分が残っている場合、業者によっては残額を返金します。車の買取から再販売まで長い時間が必要な車の場合はその傾向が強くなるでしょう。

解約の手続きは一般的には業者が代行してくれますが、自分で保険会社に連絡し手続きを行う必要がある場合もあります。

還付されず売却価格に上乗せされる場合

買取業者の多くは、自賠責保険の未経過分が残っていても、解約せずにそのまま買い取ります。その際には車の買取金額に未経過分の自賠責保険料を上乗せした形で、査定額が提示されます。

有効期間が残った自賠責保険は、車の売却時には一度買取業者に名義変更され、その後新しいオーナーへ再度名義変更されて引き継がれていきます。

買い取った車を再販売する際、車検・自賠責保険が長期間残っていることはセールスポイントの一つになるため、わざわざ解約手続きを行わないことがほとんどです。

廃車時・海外販売時は還付

車の譲渡先が廃車業者である場合には、還付の手続きを取る必要があります。自賠責保険はあくまで公道を走行時に起きた事故に対し補償する保険のため、廃車など、もう公道を走らない車には必要がないものです。

また同じように、海外に売却される場合も自賠責保険が還付されます。ただし、還付の手続きは買取業者が行うのが一般的であり、オーナーが車を売却する際には未経過分の保険料を上乗せした買取価格となります。

個人間取引では還付しない

車を業者に販売する際には自賠責保険料の還付に関する手続きが行われますが、個人間で車の売買を行う際には、わざわざ自賠責保険を解約せずにそのまま譲渡するのが一般的です。

一度車検・自賠責保険の効力を切ってから売却するケースもありますが、この際には一度廃車手続きを行う必要があるため敬遠され、特殊な事情がない限り、自賠責保険が残った状態で売却するケースが多いようです。

なお、残り期間分の保険料を車の売却価格に上乗せするかは、取引を行う両者の契約内容次第となるため、一定のルールは存在しません。

 

そもそも車の自賠責保険とは

そもそも、自賠責保険とはどのような趣旨の保険なのでしょうか。

車に乗るときに加入必須の「強制保険」

自賠責保険は正式名称を「自動車損害賠償責任保険」といい、自動車を公道で走らせる際には必ず加入しなければならない保険です。未加入で公道を走行すると法的な罰則が与えられることから、加入を強制されている「強制保険」とも呼ばれています。

自賠責保険の契約者はオーナー個人となりますが、保険の対象となるのは車そのものです。そのため、複数の車を所持しているオーナーは、その車の台数分、それぞれで自賠責保険に契約しなければなりません。

交通事故発生時の被害者救済が目的

自賠責保険は事故が起きた際の被害者保護を目的とした保険であり、自動車運転時に発生した「人身事故」のみを補償対象としています。

その補償される金額は、被害者の死亡時には3,000万円、後遺障害時には4,000万円、傷害時には120万円がそれぞれ上限とされており、それ以上の補償が必要な際には任意保険でまかないます。

自賠責保険の保険料

自賠責保険は、新車購入時または継続車検時に契約し、車検の期間中は全て自賠責保険も契約期間中となるようにしなければなりません。

自賠責保険の単位は30日ではなく1か月単位のため、仮に5月15日に新車を購入した場合、初月の自賠責保険は5月31日に切れてしまい、6月1日からは2か月目として計算されます。

そのため、新車購入時の車検は3年間後の5月14日まで効果を持ちますので、自賠責保険は37か月分契約しておく必要があります。また同様に、一度車検が切れた車の車検を通し直した場合には、25か月分の車検契約が必要です。

自賠責保険は民間の保険会社またはJAなどの共済系で加入することが出来ます。保険料は「損害保険料率算出機構」によって定められており、どこの保険会社・共済と契約しても保険料は同じ金額です。

車検の有効期間と同じだけの期間分契約することが一般的です。しかし車検は残っていても自賠責保険だけ解約した中古車のような、中途半端な車検の残り月数に対応するため、自賠責保険は1か月単位で契約することが出来ます。

自家用普通自家用車および軽自動車で、契約する事の多い自賠責保険の保険料は以下の通りです。

 24か月25か月36か月37か月
自家用普通自動車21,55022,21029,52030,170
軽自動車21,14021,78028,91029,550

 

車検に合格するには加入必須

自賠責保険の加入は、車検に合格するための必須項目のひとつです。代行業者に車検を依頼する際にはまとめて代行してくれますが、ユーザー車検によりオーナー自身で車検を行う場合には、自分で契約しなければなりません。

車検の期限が近づくと、現在契約している保険会社から通知が来るのが一般的です。その通知を受け、再契約してから車検を受けることで、自賠責保険の契約漏れを防ぐことが出来るでしょう。

車買取時に必要な自賠責保険の手続き

車を買取に出す際には、自賠責保険に関する手続きを行わなければならない場合があります。どのような状況において、どんな手続きを行う必要があるのでしょうか。

原則的にはオーナーが手続きを行う必要なし

車を業者に買取に出す場合には原則的には買取業者側で対応を行い、オーナーは手続きを行う必要がありません。一度解約をする場合でも、そのまま車検期間を残す場合でも、業者側がルールを決め、自賠責保険の残期間分の保険料を返還、もしくは買取価格に上乗せします。

廃車時には自分で解約手続きを行う場合あり

車を廃車する際には、今後自賠責保険が活用されることはなくなるため、解約をする必要があります。廃車手続きは業者に依頼することもできますが、自賠責保険の解約まで代行してくれるかは業者によって異なるため、前もって確認しておくと良いでしょう。

自賠責保険の解約は、契約している保険会社に対し解約の手続きを行うだけです。残り有効期間に応じて保険金は還付されますので、廃車が決まり次第早めに解約手続きを行うのが良いでしょう。

まとめ

自賠責保険は自動車を公道で走らせる以上、必ず加入しておかなければならない保険です。車に対する保険のため、車を売却する際には解約をするか、名義変更を行う必要があります。車を手放す際に残り保険期間がある場合、業者によって解約の手続きを取るか、残り期間分を買い取るか対応は分かれます。

なお、あくまで日本の公道を走るために必要な保険であるため、廃車される車や海外に販売される車には必要ないものです。廃車・海外売却を行う予定があるならば、忘れないように自賠責保険の解約を行い、還付金を受け取っておきましょう。