数十万キロを走った古い車や故障により動かない車でも、買い取りしてくれる業者がいるのはご存じでしょうか。それら過走行車や不動車でも、部品取りや資源取りとして価値を見いだし、値段をつけてくれる業者は多く存在します。
今回は古い車や動かない車が持つ価値と、それらの買取りで高額査定を狙う方法についてご紹介します。
車の買取では部品取りの需要も高い
車の買取を行う業者は多く存在しますが、全てが中古車として再販売することを目的とした業者とは限りません。
故障車・過走行車も資源としての価値は高い
故障によりエンジンが掛からないような不動車や、20年以上乗り続け走行距離も数十万キロに達するような過走行車であっても、特定の業者はお金を出して買い取ってくれます。
彼らは再販売する中古車としてではなく、資源として再利用する事を目的としているからです。
車本体は多くの鉄材で出来ており、一部には希少価値の高い金属も含まれています。動かない車を買い取った業者はその車を解体し、金属素材別に分類。それぞれの金属を必要とする別の業者へ販売することで利益を上げています。
使える部品を抜き出す「部品取り」
過走行車や古い故障車の中には、すでに生産が中止になっているような車や、生産台数の少ない希少価値の高い車も含まれています。まだ現役で走っているそれらの旧車やレア車は、古いだけあり故障もしやすくなっていますが、徐々に交換用のパーツが減っており、次に故障したらもう修理できないという場合もあるでしょう。
現役で走る車のため、過走行車・故障車を「部品取り」を目的に買い取る業者もあります。愛着を持って古い車に乗り続けるオーナーにとって、交換用のパーツが見つかることは非常に喜ばしいことであり、また、金に糸目をつけず、修理したいという気持ちを叶えてくれるものです。
そもそも「部品取り」とは
過走行車や故障車に価値を与える「部品取り」について、改めて復習してみましょう。
解体し使用できる部品を抜き出す
部品取りとはその名の通り、故障した車などから使用できる部品を抜き出す行為のことです。車の交換用の部品は案外高価であり、故障の度にディーラーで純正部品と交換をすると、非常に費用がかかってしまいます。
廃車にした車から取り出した部品はリビルド品(再生品)と呼ばれ、純正部品よりも安価で購入できます。長く愛着のある車に乗り続けたいオーナーにとっては、リビルド品はコストを安く抑えてくれるありがたい存在です。
ユーザーが個人で部品を外すのは違法
純正品よりも安いリビルド品とはいえ、車のパーツである以上ある程度の値段はかかります。1台の車から取り出せる部品の数は車の状態にもよりますが、需要の高い部品が多く取り出せるなら、それだけ多くの収入を生み出すことができるでしょう。
車の知識があるオーナーなら、廃車前に自分で車を分解し、自分で部品を取り出して販売することを考えたことがあるかもしれません。しかし「自動車リサイクル法」によって、一般の個人が車を解体し、車本体を構成する部品を取り外すことは禁止されています。
車の所有権はオーナー自身のものではありますが、車を解体、部品を取り出し廃棄処分を行うことは、解体業の資格を持つ業者にのみ許されています。そのため、オーナー自身が車を解体し、部品を売りさばくことはできません。
付属品の取り外しは可
車の本体を構成する部品の取り外しは一般人に認められていませんが、車の走行に支障がない付属部品についてはオーナー自身で取り外することが可能です。
カーナビ、オーディオ、ドライブレコーダーといった後付けのパーツは取り外し可能。またホイールやサスペンションなどを社外品と交換していた場合、元々ついていた純正品と交換しなおし、車として走行出来る状態に戻せるのなら、取り外しが許されています。
ただし、車は多くの部品で構成されており、オーナー自身が取り外してもよい部品であるかを判別することは難しく、知らぬ間に法律違反となるリスクを伴います。
どうしても個人で取り外ししたいようなら、自動車工場や解体業者に相談し、取り外しが許されるかを判断してもらえるでしょう。それでも100%安全とはいえないことを覚悟しておかなければなりません。
車買取の部品取りで高額査定を狙うコツ
もう走行は難しくても部品取りに使えそうな車を売却する際、高額査定を狙うポイントがいくつかあります。
廃車・解体に対応できる業者を探す
過走行車や走行不能車の査定を依頼する際には、優先して廃車・解体に対応できる業者を探して依頼しましょう。
一般の中古車買取業者では部品や資源としての判断はつかず、非常に安い査定額を提示されるか、もしくは査定を断られる事になるでしょう。
廃車・解体に対応できる業者だからこそ、それらの車の価値を理解し、値段をつけることができます。一般の業者が走行する中古車として査定した金額よりも、ずっと高い査定額を出してくることも十分にあり得ます。
買取に対応する業者の中には、事故車を専門に扱うサービスもあります。
海外に販路を持つ業者は多い
過走行車の中には、日本国内の基準では走行が難しくても、海外なら現役で活躍できる程度の車が多く存在します。
東南アジアや南米、一部ヨーロッパなどでは、日本の車の人気が非常に高く、多くの中古車が現地で活躍しています。その中には日本国内で10万キロ程度の過走行車は当たり前のようにあり、20万キロ以上でも現役で走り続けているものもあります。
日本の車は海外メーカーに比べて非常に頑丈であり、故障は少なめです。また、日本国内の道路が高度に整備されているため、走行距離に対する足回りへのダメージは非常に少ないと評価されています。
海外には日本とは比べものにならないほど道路事情が悪く、舗装されていない道路を走ることが少なくない国も多く存在します。同じ10万キロでも、海外で走り続けた車と日本で走った車では足回りの程度に雲泥の差があり、日本から輸入された中古車に対する信頼度は非常に高いといえます。
中古車買取業者の中には、海外への販路に強い業者も多くあり、日本国内向けでは値がつかなくても、海外向けとして高い査定額を出すことがあります。
ある程度車種は限られてしまいますが、海外向けとして買い取られるなら、廃車にする前に海外でもう一花咲かせることができるかもしれません。
複数業者で比較して高い査定額を勝ち取る
廃車にせよ海外売却にせよ、業者に任せる際には複数の業者に査定を依頼することが必要です。最初に査定を依頼した業者が廃車はできるものの金属素材の販路に弱い場合、買取りにお金を出すことはできないかもしれません。
廃車業者の中にも、資源や部品としての評価をしっかりして、買い取るところもあれば、逆に廃車費用をオーナーに求めるような業者もいます。複数の業者に査定依頼することで、どこの業者が最も高く評価してくれるかを選ぶことができるでしょう。
まとめ
過走行車や不動車など、一般の中古車買取で値がつかないような車でも「部品取り」としての価値がある場合があります。古い車や希少車では交換用の部品が不足しているため、廃車前にそれらの車を解体し、使える部品を確保することができます。
また、車には多くの金属が使われているため、再利用できる金属素材としての価値があります。解体業者の中には金属の再利用が得意な業者もいるため、素材として高く評価してくれる業者を選ぶ事が出来れば、高い査定額を勝ち取ることも夢ではないでしょう。