ブレーキパッドの交換時期って?車検時がおすすめ?

普段外側から見える部品ではないので、気にかけることも少ないブレーキパッドの存在ですが、車を安全に走行させるために非常に重要な役割を担う部品です。

ブレーキパッドの交換はどの時期を目安にすればいいのか、車検時にブレーキパッドの交換を勧められた場合は、素直に交換するほうが良いのかという点について解説します。

ブレーキパッドとは

ブレーキパッドとは、その名の通り車のブレーキに関係する部品です。ブレーキパッドの役割を理解するためには、まず車のブレーキがかかる仕組みを知らなければなりません。

車のブレーキはタイヤ部分に装着されており、運転席のブレーキペダルを踏むことによってかかります。これはタイヤ部分と連動している円盤状のディスクローターという板を、ブレーキパッドで押し付けて摩擦の力を利用して車を止めているのです。

摩擦で車をストップさせているので、当然ブレーキパッドは摩耗します。使い続けるたびに減ってしまう消耗部品なのです。

新品のブレーキパッドの厚さは、車種によって異なりますが、概ね7〜11mmあります。ブレーキを踏む動作が多い場合や、急ブレーキをかけた場合は、摩耗するスピードが早くなってしまうのです。

車検でブレーキパッドを交換する?

ブレーキパッドが摩耗して残り1mm以下になっていたとしても、車検の保安基準にブレーキパッドの厚さの規定はないため、ブレーキさえ問題なく効けば車検に通ります。

しかし、車検時にブレーキパッドの交換を勧められることもあります。また車検を目安に交換することで、ブレーキパッドの交換を忘れないことにもつながり、その結果、車の状態をより良く保てることになるでしょう。

結論から先にいうと、ブレーキパッドの交換時期が来ている場合は、交換しておくほうが費用が安くなる可能性が高いといえます。

これは24ヶ月点検が車検に含まれていることが多く、検査項目にタイヤを外して検査する工程があるためです。工賃が0円になるわけではないにしろ、検査のついでにブレーキパッドを交換すると工賃が抑えられるからという理由があります。

必ずしも工賃が安くなるというわけではないので、ブレーキパッドの交換時期が近い場合は、車検の見積もりと併せて、カー用品店などでもブレーキパッドの交換見積もりを出してもらって確認しましょう。

ブレーキパッド交換にかかる費用

ブレーキパッド自体の値段は、軽自動車と普通車で異なります。車種によっても異なりますが、軽自動車でフロントとリア各7,000円程度、普通車でフロントとリア各8,000円程度です。

外車やスポーツカー用のブレーキパッドになると一気に値段が跳ね上がり、リアだけで20,000円するということも。

ブレーキパッドの交換工賃は、カー用品店が安い傾向にあります。1箇所5,000円〜という業者が多いです。純正部品にこだわりがない場合は、ディーラーではなくカー用品店に依頼すると費用を抑えられるでしょう。

この機会に、お近くの店舗に見積もりを依頼してみてはいかがでしょうか。

またガソリンスタンドでも、ブレーキパッドの交換はしてくれます。キャンペーンなどを併用して上手く交換業者を選ぶとお得に交換できるかもしれません。

ブレーキパッドが消耗しやすい運転や環境

車間距離を詰める、必要以上に加速をするなど乱暴な運転は注意が必要です。

車間距離を詰める際、減速するためにブレーキを頻繁に踏むことになります。また必要以上に加速する運転をしていると急ブレーキをかける頻度も多くなるでしょう。

また山道や下り坂が多い環境は、平坦な道より加速することが多いです。したがって、必然的にブレーキングの回数も増えます。

そのため、必要以上のブレーキングにより、ブレーキパッドが消耗しやすくなります。

ブレーキパッドの交換時期

ブレーキパッドの明確な交換基準はありませんが、残りの厚さやブレーキ操作時の音、走行距離などを目安にすることが一般的です。それぞれの項目別に、どのような状態になれば交換の合図かをご紹介します。

ここで紹介した目安を元に、普段から車の点検を怠らないようにすることで、安全性能を失うことなくブレーキパッドを交換できるといえるでしょう。

厚さを目安に交換する

ブレーキパッドを直接目で見て判断する方法に、残りの厚さを目安に交換するというものがあります。

新品の状態のブレーキパッドの厚さは約10mmですが、残り3mm程度になった時点での交換がひとつの目安です。

そうはいっても、ブレーキパッドの厚さは、タイヤを取り外さない限り外側からは確認できません。自身で確認するのが難しいため、点検や修理で業者に依頼したときにどのくらい摩耗している常態であるか聞いておくと良いでしょう。

音を目安に交換する

ブレーキパッドには、交換時期を知らせてくれるパッドウェアインジケーターが付属しています。ウェアインジケーターは、ブレーキパッドが薄くなり残りが少なくなると、ブレーキを踏んだ際に金属がディスクローターに触れ「キーキー」音がなるタイプ、電子部品のセンサーが働いて、メーター部分の警告ランプで知らせてくれるタイプの2種類です。

国産の高級車や外車以外は「キーキー」音がなるタイプのウェアインジケーターが主流なので、ブレーキを踏んだ際の音を交換目安とする方法があります。

しかし注意しなければならないのは、パッドインジケーターが全てのブレーキパッドについているわけではないということです。

一般的にはブレーキパッドのどちらか片側にしかついていませんので、ブレーキパッドの減り方に差がある場合は、片方が大丈夫でももう片方の交換時期が過ぎてしまっている可能性もあります。

このことから、音だけを頼りにするのではなく、定期的な点検を受ける必要があるといえるでしょう。

走行距離を目安に交換する

ブレーキ操作の頻度や運転の癖も関係しますが、一般的には約1万キロ走行ごとに、ブレーキパッドが1mm減るといわれています。

新品のブレーキパッドが10mmだった場合、単純計算では7万キロ走行するとブレーキパッドが残り3mmとなるので交換目安であるといえます。しかし、実際にはブレーキパッドがすり減って薄くなるごとに熱を持ちやすくなるので、すり減りやすくなって7万キロ到達前に3mmになっていることが多いです。

走行距離を目安にブレーキパッドを交換しようとする場合は、予想以上のすり減りを見越して早めに交換しておくようにしましょう。

ブレーキパッドを交換しないとどうなる?

ブレーキパッドを交換しないと起こることで、もっとも懸念される問題は、ブレーキが効かなくなることです。

車を運転中にブレーキを踏む動作は、停止するとき、減速するときなど多くの場面で必要となります。このことから、ブレーキが効かないとなると大事故につながることが安易に予想できるでしょう。

ブレーキが効かない状態になる前に、必ず激しい異音が発生します。この異音は、ブレーキパッドがなくなり、金属がディスクローターと接触しているため発生するのですが、この状態までいくとディスクローター自体も削れてしまっているので、修理がブレーキパッドのみの交換時と比べ2倍以上になってしまいます。

また、ブレーキパッドの残量が少なくなると、熱が発生しやすくブレーキオイルの劣化も早めてしまうのです。

そしてブレーキオイルが劣化すると、ブレーキが効かなくなるベーパーロック現象も起きやすくなります。結局、何らかの形でブレーキが効かなくなると大事故につながってしまうのです。

車の事故は、自分のみならず同乗者や周りの車、人の命に関わります。ブレーキパッドの交換をしないでいて良いことはなにもありません。

定期的な点検を実施し早めの交換をしておくことが、事故を防止し快適なドライビングを可能にしてくれるのです。

この機会に、お近くの店舗に見積もりを依頼することをおすすめします。

まとめ

ブレーキパッドの交換は、車の運転をする上で安全性に関わる非常に重要な部分です。部品代と工賃で約2万円の出費は大きいですが、命には変えられません。

ブレーキパッドの交換費用はかかりますが、車検時に交換したり、カー用品店やガソリンスタンドのキャンペーンと併用すれば少し費用を抑えることもできます。交換時期の目安を確認しながら、早めに交換の検討をしてみてください。