自動車重量税が還付される条件
車を買取りしてもらう際、自動車にかかる税金のひとつである「自動車重量税」が還付されるといわれることがあります。その一方で、売却時に還付される税金はないという噂も。車の売却時に重量税の還付は受けることができるのでしょうか。今回は自動車重量税が還付される条件について紹介します。
車を買取してもらうと重量税が還付されるか
車検の際に、次の車検までの期間分を支払う重量税は、車検前に車を売却することで還付を受けることはできるのでしょうか。
買取時に重量税は還付されない
結論からいうと、重量税は車を売却しても還付を受けることはできません。 重量税は、車検を受ける際に次回の車検分までの期間分をまとめて前払いする税金です。新車車検の際には3年分、継続車検なら2年分を支払うため、車検時の費用に大きく影響する税金といえるでしょう。
車を買取に出すタイミングによっては、未経過の期間分の重量税が何ヶ月分も残っていることもありますが、残念ながら還付の対象とはなっておらず、買取業者も買取価格を増額させる義務がありません。
買取価格に影響する場合はある
重量税は還付の義務はありませんが、業者によっては未経過の期間に応じて、買取価格にある程度反映してくれることもあります。
車検を受けてから数ヶ月程度しか経過していない場合、支払った重量税の大半は未経過となってしまいます。 本来、買取業者側は残った重量税について考慮する必要はありません。しかし長期間車検が残っている車は商品としての価値も高いため、業者側は重量税の残り期間に応じて、査定額にプラスすることがあります。
業者からすると売るかどうか悩む売主に対するアピールになりますし、売主からすると重量税分も考慮に入れてくれる業者に売りたいという気持ちが出るので双方にとってメリットになるでしょう。
重量税と自動車税の違いとは
自動車を所有していることで支払う税金には「自動車重量税」と「自動車税」の2種類があります。これらはそれぞれ課税される期間も、課税される対象も異なる税金です。
自動車重量税とは
自動車重量税は、その名の通り自動車の車体重量に対して課せられる税金です。2年に1回の車検の際に、次の車検までの2年分をまとめて支払います。
普通乗用車の場合には0.5トンごとに税額が変わります。また国が定めた温暖化ガス排出基準を満たした「エコカー」である場合、車が新車登録されてからの経過年数が長期間経過した場合にも税額は変化します。
各条件における自動車重量税の税額は以下の通りです。
重量 | エコカー | 13年未満 | 13年経過 | 18年経過 |
---|---|---|---|---|
~0.5トン | 2,500 | 4,100 | 5,700 | 6,300 |
~1.0トン | 5,000 | 8,200 | 11,400 | 12,600 |
~1.5トン | 7,500 | 12,300 | 17,100 | 18,900 |
~2.0トン | 10,000 | 16,400 | 22,800 | 25,200 |
~2.5トン | 12,500 | 20,500 | 28,500 | 31,500 |
~3.0トン | 15,000 | 24,600 | 34,200 | 37,800 |
※単位:円
※1年あたりの税額
自動車税とは
自動車税は、毎年4月1日時点で車を保持しているオーナーに課せられる税金です。税額は対象の車の排気量に応じて決められます。また、自動車税は1台ごとに課税されるため、複数台の車を保持しているオーナーは、その台数分それぞれの自動車税を払う必要があります。
なお、2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた普通乗用車から、自動車税の税率が引き下げられています。
自動車税の税率引き下げ前後における税額は以下の通りです。
排気量 | 引き下げ前 | 引き下げ後 |
---|---|---|
~1,000CC | 29,500 | 25,000 |
~1,500CC | 34,500 | 30,500 |
~2,000CC | 39,500 | 36,000 |
~2,500CC | 45,000 | 43,500 |
~3,000CC | 51,000 | 50,000 |
~3,500CC | 58,000 | 57,000 |
~4,000CC | 66,500 | 65,500 |
~4,500CC | 76,500 | 75,500 |
~6,000CC | 88,000 | 87,000 |
※単位:円
※引き下げ後は2019年10月1日以降に新車登録した普通乗用車に適用
※1年あたりの税額
重量税が還付されるのはどんな時か
重量税は車を手放す際、一定の条件を満たすことで未経過分の重量税が還付されることがあります。ただしそれは車の売却時ではなく、車を廃車にした際に限定されます。
条件1-1:永久抹消登録を行う
重量税が還付される廃車の手続きにはふたつの方法があり、そのひとつが「永久抹消登録」です。 永久抹消登録は、走れない状態となった車に対して行う手続きです。公道を走る車は全て「自動車登録ファイル」に登録されており、ここから永久に登録を抹消する際に行います。
永久抹消登録が行われる理由は大きく3種類に分類されます。
まずはすでに走行できなくなり「解体」を行った車です。車の解体は解体業者によって行われ、対象の車が解体されると発行される「解体証明」を受け取ってから、15日以内に行う必要があります。
次に「滅失」した車です。事故や災害により回収できなくなった場合や、盗難に遭い戻ってこない場合などが対象となります。永久抹消登録の手続きのためには「罹災証明書」の提出が必要です。
最後に「用途廃止」の車です。公道を走るためには使わず、物置としての使用や展示品としての活用など、他の用途に転用する際に行う手続きです。手続きの際には「申立書」に、車の写真や新たな使用用途を記載し提出する必要があります。
永久抹消登録を行うと、その後はどんな事情があろうと二度と自動車登録ファイルへ再登録させることはできません。たとえ走行できる状態であったとしても、公道だけでなく私有地での走行も認められません。
条件1-2:一時抹消登録を行う
もうひとつの手続きが「一時抹消登録」です。 一時抹消登録は、一時的に公道を走る車としての登録を抹消し、公道を走ることができないようにする手続きです。廃車の手続きとして扱われますが、車をスクラップにする必要はありません。
一時抹消登録された車は、日本中の公道を走ることはできなくなりますが、車としての実態を失うわけではありません。再び新規登録を行うことで自動車登録ファイルへ再登録され、公道を走行できるようになります。
この制度は海外出張や長期入院など、何らかの事情で長期間車に乗れない場合に活用される制度です。一時登録抹消中は自動車税や重量税、自賠責保険料が課せられなくなるため、乗らない車の維持費を安く抑える事ができます。
条件2:車検の残存期間が1ヶ月分以上ある
自動車重量税の還付を受けるためには、永久抹消登録・一時抹消登録どちらかの手続きに加え、車検の残存期間が1ヶ月以上残っていることが条件となります。
廃車時における重量税の還付は、車検の残り期間を基準に月単位で分割されて還付されます。その際、1日でも経過した月は消化されたものと判断されるため、丸々1ヶ月以上車検期間が残っていない場合には、重量税の還付対象となりません。
輸出抹消登録は重量税の還付対象外
廃車時には重量税が還付されますが、廃車手続きのひとつである「輸出抹消登録」を行ったときだけは、還付の対象となりません。
輸出抹消登録は、日本で乗っていた車を海外に持ち出す際に必要な手続きです。これは中古車販売業者が海外に車を売るときだけでなく、オーナーが海外転勤や移住の際に、日本で乗っていた車を一緒に持っていきたいときにも行う必要があります。
輸出抹消登録の際には自動車税、自賠責保険料は還付されますが、重量税だけは還付対象から外されています。
輸出抹消登録は一時抹消登録されている車に対しても行うことができるため、一度一時抹消登録することで、重量税の還付を受ける事は可能です。ただし廃車の手続きを二度行うことになるため、非常に手間がかかることは頭に置いておきましょう。
まとめ
車を買取してもらった時には、残念ながら重量税は還付されることはありません。重量税の還付は車を永久抹消登録、一時抹消登録する際に、車検の残り期間に応じて受けることができます。
廃車の手続きは個人で行うこともできますが、書類の手配や手続きに手間と時間がかかります。永久抹消登録するならば解体業者に、一時抹消登録ならば行政書士に委任することで、手早く楽に手続きを行い、重量税の還付を受けることができるでしょう。