車の買取時に談合はある?危険性や対策を紹介
車を売却したいオーナーからすれば、1円でも高く買い取ってくれる業者に任せたいところです。しかし買取業者は複数社で協力し意図的に買取価格を下げることがあり、この談合によってオーナーは知らないうちに損させられている場合があります。
今回は車買取における談合の手法と、対策について紹介します。
車の買取では業者間の談合に注意!
談合とは、入札で競争しあう立場の参加者同士が、落札者と落札価格を前もって決める行為のことです。そこには公正な競争はなく、その不公正な行為は中古車買取においても横行しています。
査定員同士による談合は存在する
中古車買取の市場においても談合は行われています。査定のため集められた複数社の査定員同士で密かに話し合い、その車を買い取る業者と買取価格を決め、その他の業者はそれ以下の価格しか提示しません。それにより、あらかじめ業者の間で決められた価格で、決められた業者が車を買い取ることになります。
これにより本来もっと高値で売れるはずだった車が安く買い取られてしまいます。本来談合行為は自由競争を阻害する問題として、独占禁止法に違反する行為とされていますが、買取の現場では少なからず行われているのが現状です。
談合が起きる条件
談合が起きる条件として、以下の点が上げられます。
・一括査定を利用している
・同時刻に複数の業者を呼び出している
近年、インターネット上から行われる一括査定が普及し、複数の業者に一度に査定依頼を出すことが出来るようになりました。大小様々な業者に査定を依頼し査定金額を競争させ、高額な買取金額の提示が期待できるとされています。
しかし、同じエリアにおいて一括査定が利用され、複数の会社の査定員が一度に呼び出されることで、同じ査定員同士が顔を合わせることが増えていきます。その結果、査定員同士の間につながりが生まれ、買取価格を相談できる土壌ができあがっていくのです。
手柄は順番に回す
査定員同士の談合によって買取価格が下げられても、買い取れるのは1社だけですので、他の会社は損をするだけと思われる方もいるでしょう。
談合では、手柄を順番に回すことも前提として価格の調整が行われています。今回はA社に買取させるので、次回はB社、次はC社というように、順番に買取を行い、利益を平等に得られるようにするというのが談合の仕組みです。
そこには自由な価格競争の姿はなく、売却主であるオーナーが食い物にされているといえる状況が広がっています。
車の買取で談合が起きる理由
複数社が協力して買取価格を下げる談合ですが、なぜそのような行為が行われるのでしょうか。
利益幅を高くしたい
車は販売できる価格がある程度決まっているため、安く仕入れられればその分利益が大きくなります。また査定員個人にとっても、安く仕入れて高く売ることが出来れば実績となるため、談合により安く車を仕入れることができるのは大きなメリットとなります。
談合なしで査定額の相見積もりに参加しても勝てるかどうかわからず、また勝てても利益幅は小さくなるため、談合は査定員にとって相見積もりの勝利と大きな利益を確定できる手段となっています。
知り合い同士で利益を分け合う
査定の現場で何度も顔を合わせている査定員は、自然とお互いに顔見知りとなっていきます。利益を確保したいのはお互い様のため、顔見知り同士で順番に落札する約束をすることで、利益を平等に分け合うことも簡単にできるようになります。
業者によって得意な車のジャンルがある場合や、その時点で欲しい車があるなど事情はさまざまです。お互いに事情を共有し、融通し合うことで必要な利益を分け合えるようになっていきます。
車の買取での談合対策
車の査定現場で談笑しあうような関係の査定員も多い中、車を売りたいユーザーは彼らに談合させないように、どのような対策をとることができるでしょうか。
同時刻に複数の業者を呼ばない
談合は複数人の業者が同時に集まることで生まれやすくなるため、査定の際に談合出来ないように、同時刻に複数の業者を呼ばないことが対策として考えられます。
一人ずつ査定させることで、前もって上限価格を相談することが出来ないため、本来の査定額を引き出しやすくなるでしょう。
ただし、現在はLINEなどのコミュニケーションツールの活用により、その場に集まらなくても連絡を取り合うことができます。同時刻に複数業者を集まらせないようにするだけでは、対策は不十分といえるでしょう。
複数の一括査定を使い大手と中小を混ぜて依頼する
談合は同じような規模の業者同士で行うことが多く、大手は大手同士、中小は中小同士で固まりやすい傾向があります。
そのため、一括査定を行う際には、大手と中小をそれぞれ選び、談合するほどのつながりがない業者同士で競い合わせることで、ある程度談合が行われることを阻止できるでしょう。
また、ひとつの一括査定サイトで選出される業者はある程度固まるため、複数の一括査定サイトを使い、普段顔を合わせないような業者同士で競合させるのも、談合阻止には有効な手段といえるでしょう。
他社名は出さない
複数の業者の査定員をバラバラに呼び出したとしても、どこの業者が呼び出されるのかを知ることが出来れば、業者同士で連絡を取り合い談合することは不可能ではありません。そのため、業者を呼び出し相見積もりであることは伝えても、どこの業者を呼んでいるか、他社の名前は出さないのが鉄則です。
仮に複数の一括査定サイトを使っていたとしても、業者同士どこでつながりがあるかはわからないので、正しい査定額を引き出すためにも、決して自分たちが誰と競い合うのかを知られないようにしなければなりません。
査定員の人数を増やし一括査定以外からも買取業者を呼ぶ
複数の一括査定サイトを使っても談合が不安な場合、それぞれの一括査定サイトで名前が出てこない買取業者を呼ぶのも、談合を阻止するのに有効な手段といえるでしょう。
一括査定サイトに出てこないような業者は、複数社との相見積もりの場に出てくることも少ないため、査定員同士の横のつながりは比較的薄めと考えていいでしょう。
様々なところから査定員を呼び出すことで、全員が顔見知りである確率はどんどん下がっていきます。また多くの業者が参加するほど利益を回しあうことは難しくなりますので、より談合の可能性は低くなっていきます。
即売ったら○円アップという営業トークは聞かない
談合の可能性をある程度薄めることができたなら、次は高い査定額を勝ち取るための対策をとりましょう。査定員の中には他社を出し抜くため「即決めてくれたら○円アップ」という営業トークを使う者もいます。
もしそのように提示されたとしても、その場での即断即決はやめておきましょう。一度提示出来る金額は、その後も提示可能な金額です。その価格で売るのは、他社の査定額を聞いてからでも遅くはありません。
希望価格は高く答える
業者側からすれば、査定額はできるだけ下げるのが理想です。そのためオーナー側から出された売却希望額に対し、下げることはあっても上げることはありません。
もし査定員から値引きされたとしても高く売れるように、本当の希望価格から高めの金額を伝えましょう。そのまま通ればよし、下げられても本来の希望価格に近いところで決着できればよしです。
ただし、あまりにも高すぎる希望額を伝えてしまうと、交渉の余地なく話が終わってしまうことがあります。あくまで相場に対してやや高めという程度に抑え、高めの査定額を引き出すよう上手く調整しましょう。
まとめ
車買取の世界にも談合は存在し、顔見知りの査定員同士で買取価格を調整されることは、残念ながら実際に起こっています。
談合は一括査定で顔見知りになった査定員同士で行われる事がほとんどであるため、同じような顔ぶれが揃わないように、複数の一括査定サイトの使用や一括査定以外から多くの査定員を呼ぶなどの対策を取る事が必要でしょう。
談合は売却するオーナー側にとっては百害あって一利なしの行為です。不公正な取引とならないように、しっかりと対策をとり、高い査定額を勝ち取りましょう。