車買取の営業トークにはどのように対応する?
車の買取業者に見積もりを依頼すると、怒濤の営業トークを展開されることがあります。ちょっと話を聞くだけのつもりだったのに、あれよあれよと売却する羽目になることも。しかしその営業トークの内容は、本当にお得な内容なのでしょうか。
今回は車買取業者の営業トークの裏についてご紹介します。
車買取にありがちな営業トーク
買取業者の営業マンの営業トークは、細かい内容は異なりますが、いくつかのパターンに分けられます。どんな営業トークのパターンがあるのでしょうか。
今売ってくれればあと○万円プラス
最初に低い金額を出しておいて、後から「今すぐに売ってくれればあと○万円プラスします」と、買取価格を段階的に開放してくる「限定開放型」があります。
普段なら30万円なのに、今すぐ決断するなら50万円になるという「今だけのチャンス」を演出することで、オーナーに車を手放してもいいかなという気分にさせる手法です。
「ちょうど今この車を欲しがっているお客様がいるので」など、今だから高く買い取れるという言葉を巧みに織り交ぜてきます。
車の買取だけでなく、様々な業界で使われる手法ですので「今だけ」「期間限定」という言葉に弱いといわれる日本人には、有効な手段なのかもしれません。
上司に掛け合います
すでにオーナーが車を手放す気になっている、もしくは揺れている時に使われるのが「限界突破型」です。営業マンが最初に提示した以上の買取金額を再提示するために「上司に掛け合ってきます」と電話をしにいくなど、営業マンがオーナーに寄り添っている印象を与える手法です。
この「上司」は、営業マン自身の役職によって、登場する上司の役職が変わります。営業マンがヒラなら主任や係長、係長なら課長、課長なら部長……という具合に、どんどん上の役職が登場し、高い買取価格にOKを出す役割を果たします。
この手法には「努力して買取価格を勝ち取った」という営業マンの努力の印象が加味されることがあります。「無理言って上司に怒られちゃいました。これでOKしてもらえないと僕の首が飛んじゃいます!」というような、お客のために身を投げ打ってきたというようなトークも一緒に展開され、車の売却に慣れていないオーナーはついついOKしてしまうこともあるようです。
これを買い取れるのはウチだけ
古い車や事故車など、一般的に市場価値があまり高くないとみられる車に使われるのが「特例型」です。「この状態の車は他では値段がつかない」「これを買い取れるのはウチだけ」というように、その営業マンだからこそ特別に対応できるというような内容のトークを繰り広げます。
古い車や事故車などは、オーナー側もあまり値段がつかない車を売りに出すという負い目と「この車には値段はつかない」という先入観を持っています。その先入観を上手く刺激し、特例として買い取ってくれるというような特別扱い感を出されると、オーナーも抵抗出来ずに売却してしまうでしょう。
買取業者の本当の気持ちは?
巧みな話術と演技力で車を買い取る買取業者の営業マンですが、その営業トークはどこまで信じてよいものでしょうか。
少しでも安く買い叩きたい
中古車は車のグレードや状態によって、ある程度販売価格が決まっています。そのため安く中古車を仕入れる事が出来れば、それだけ多くの利益を上げることができます。
そのため少しでも安く車を仕入れるため、最初は「我が社の買取標準価格はこれです」と低めの価格を提示してきます。
しかし利益率の面からみて、本当に出せる金額はもっと高い金額であることがほとんどです。むしろ最初から100%の最大値を提示してくる営業マンは、会社からするといい営業マンではないでしょう。
努力して客のために上げているように見せますが、実際は許されている範囲でコントロールしているに過ぎません。
出てくる上司も基本的にはグル
上司の了承を得て買取価格を上げる際、時にはその上司が電話口に出てオーナーと話をすることもあります。あたかもオーナーのために買取価格をサービスしたという口ぶりでしょうが、その上司が提示する金額も、予定されている買取金額の枠の中と考えて良いでしょう。
もし本当に上司の権限で予定よりも高い買取額を提示することがあるとすれば、そのオーナーがよほど長い付き合いのお得意様であるか、売りに出される車は非常に希少価値が高く利益も期待できる場合のように、特例中の特例と考えて良いでしょう。
基本的に買い取れない車は無い
「ウチでしか買い取れない」という営業トークは、結論から言えば100%嘘であり、どんな車でも買取価格をつける業者は存在します。
車には様々な種類の素材が使われており、それらは再利用することが出来ます。中にはレアメタルといわれるような、希少価値の高い金属が使用されていることも。そのため古い車、動かない車は、走行する自動車としての価値は失っていても、金属素材としての価値は十分に持っています。
それらの素材も価格相場があり、業者からすれば、安く仕入れるほど利益を出せます。「ウチしか買い取れない」「他では扱えない」というような言葉には、オーナーにその車には価値がないと判断させ、安く買いたたきたいという業者の本音が隠れているとみてよいでしょう。
できるだけ高く買い取ってもらう対応方法
長く乗り続けた愛車を手放すなら、しっかりと価値を見定め、高い買取価格を提示してくれる業者に任せたいものです。そのような業者を見つけて高く買い取ってもらうためには、どんな点に注意すればよいでしょうか。
あらかじめ買取相場を知っておく
自分の車がどの程度の価値があり、どの程度の買取価格を出してもらえるのか、前もって相場を調べておくとよいでしょう。
中古車販売サイトに提示されている価格は、販売業者の利益分も乗せられた価格ですので、買取価格よりはかなり高い金額となっています。その数字を参考にしてしまうと、思ったよりも高く買い取ってもらえないとガッカリしてしまうため、前もって「買取価格」の相場を知っておく必要があるでしょう。
買取価格の相場を知るには、インターネット上から複数の業者に査定を依頼する「一括査定」を利用するとよいでしょう。各業者がその車の年式やグレードに対し査定金額を出しますので、おおよそどの程度で売れるものなのか、相場観を知ることができます。
複数の業者に査定を依頼する
インターネット上での査定はあくまで概算であり、必ずその金額で買い取れるというものではありません。正式な査定金額は、実際に売却する車を見てもらってから決まります。
一括査定により、その車を高く評価してくれる業者がどこなのかがわかったなら、そのうち上位数社に対して正式な査定を依頼しましょう。実際に車を見てもらうことで、インターネット上の査定よりも印象が良くなり、査定金額が上がることも、また反対に下がることもあります。
時には査定金額が逆転することもありますので、必ず複数社に見てもらうのがよいでしょう。
即決はしない
複数社に査定を依頼し、想定よりも高い買取価格をつける業者が出たとしても、そこで即決してはいけません。
業者によっては「今ならこの価格で」と持ちかけてくるかもしれませんが、それは無視して他の業者の査定額が出そろうのを待つのがよいでしょう。後から出てくる業者がさらに高い価格をつけるかもしれませんし、他社の最高価格を元に交渉し、さらに高い買取価格を引き出せるかもしれません。
買取価格は各社「ここまでは出せる」という上限が決まっていますので、そこまでは交渉で引き出す事ができます。他社の査定額をエサに、さらに高い買取価格を勝ち取るため、即決はしないように心がけましょう。
まとめ
買取業者の営業マンは、時には役者以上の演技力で安く中古車を仕入れようとします。人情に訴えかけ、時には弱みにつけ込まれることもありますが、本当に彼らの提示した価格が最大の買取価格とは限りません。
買取業者はいくつも存在し、中には売却しようとしている車を高く評価する業者もいます。少しでも高く売却するため、中古車買取業者に任せる時には複数の業者に依頼し、さらに交渉を重ねて高い買取価格を引き出しましょう。