法人契約している車の売却方法!車査定の方法も併せて紹介
営業車など、会社名義で所有する「法人契約」の車も個人所有の車と同様に売却することができます。法人の場合は資産の売却や現金の増加を会計上処理しなければいけませんが、その内容はどうすればいいのでしょうか。今回は法人契約の車の売却についてご紹介します。
法人契約している車を売却したい時は?
法人が所有する車を売却する際、それにより増減した資産を帳簿上で処理する必要があります。
売却時の仕分け
車は帳簿上では一時的な支出である「費用」でなく、「車両運搬具」という「固定資産」として扱われています。また、車を購入時に支払ったリサイクル費は「預託金」という固定資産として帳簿に記載されます。
仮に耐用年数5年の車両運搬具を1,000,000円で購入、リサイクル費20,000円を預託した場合、以下のような仕分けで処理されます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
車両運搬具 | 1,000,000 | 現金預金 | 1,020,000 |
預託金 | 20000 | ||
合計 | 1,020,000 | 合計 | 1,020,000 |
車両運搬具は経過年数に応じて減価償却され、徐々にその価値が減少していきますが、預託金は減価償却の対象にはなりません。
法人が車両を売却し、帳簿上で損益が発生した場合は「固定資産売却益」という収益、「固定資産売却損」という費用として処理しなければなりません。
固定資産の管理には「直接法」「間接法」という記帳方法があり、それぞれにおいて処理方法が異なります。
・直接法の場合
直接法は固定資産に減価償却が発生した場合、帳簿上の資産の価値を直接減少させます。仮に上記の車両運搬具を購入してから1年が経過した場合、減価償却を反映させた車両運搬具の価値は800,000円として扱われます。
1年経過時、以下のような仕分けで減価償却が処理されます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却費 | 200,000 | 車両運搬具 | 200,000 |
その車両を900,000円で売却した場合、直接法では以下のような仕分けとなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金預金 | 900,000 | 車両運搬具 | 800,000 |
預託金 | 20,000 | ||
固定資産売却益 | 80,000 | ||
合計 | 900,000 | 合計 | 900,000 |
・間接法
間接法は固定資産に減価償却が発生した場合、減価償却分を費用とし計上。その累積分を「減価償却累計額」という資産のマイナス項目として処理します。同様に上記の車両運搬具購入から1年経過した際は、帳簿上は以下のように処理され、車両運搬具の帳簿上の価値は直接減りません。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却費 | 200,000 | 減価償却累計額 | 200,000 |
その車両を900,000円で売却した場合、間接法では以下のような仕分けとなります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金預金 | 900,000 | 車両運搬具 | 1,000,000 |
預託金 | 20,000 | ||
減価償却累計額 | 200,000 | 固定資産売却益 | 80,000 |
合計 | 1,100,000 | 合計 | 1,100,000 |
どちらも帳簿上の処理が違うだけで、資産価値や売却損益が変わるわけではありません。他の減価償却の記帳方法に合わせて処理をしましょう。
一括査定を利用して売却しましょう
買取価格の査定方法には、複数社に一度に査定を依頼する「一括査定」があります。一括査定は多くのメリットがあるため、今や査定金額を出すためには必須の方法といえるでしょう。
一括査定で買取価格を比較
インターネット上から行う一括査定は、サイト上に登録された複数の買取業者に対し、同じ条件を一度に提示して査定してもらうことができます。
サイトによっては数十社に一度に査定を行うところ、厳選した数社で査定するところなど方針は様々。複数社に同じ条件で見てもらうため、買取価格を比較しやすく、高く車を売却できる業者を見つけられることが期待できます。
一括査定が利用必須な理由
一括査定は複数社に同じ条件で査定を依頼すると、それぞれの業者が競い合って査定するため、高額の買取価格を提示されやすくなります。
また複数社の評価を受けることで、その車の売却相場を知ることができます。もし1社だけに査定を依頼すると、知識がないことを見抜かれ買い叩かれることもありますが、あらかじめ相場を知っていることで、損をすることを防げる大きなメリットがあります。
法人契約している車を売却したときの注意点
法人契約の車でも、個人同様に売却することができますが、税金の扱いは大きく変わってきます。また車両の権利を会社が持っておらず、リース扱いになっている場合、通常の売却とは違った手続きが必要です。
売却に必要な書類
個人・法人問わず、車の売却には各種書類の提出が求められます。以下の書類は個人・法人ともに同じ条件で必要なものです。
その自動車が、国が定める保安基準を満たしていることを証明する書類です。
自動車を公道で走らせる際に加入が義務付けられている「自賠責保険」に加入していることを証明する書類です。
自動車リサイクル法で定められた、自動車を解体する際の費用を前払いした証明となる書類です。
毎年4月1日の時点での車の所有者に課せられる税金を納付した証明となる書類です。
次の書類は、個人と法人の違いによって対応が異なります。
その車を譲る意思を証明するための書類です。陸運局で配布を受けるか、インターネットからダウンロードし、プリントアウトして入手します。
実印の押印が必要ですが、法人の場合は法人名義の実印が必要です。
・委任状
車の名義変更手続きを売却する業者に委任するための書類です。陸運局の窓口、もしくはインターネットからダウンロードしプリントアウトします。
これも法人の実印を押印します。
・履歴事項全部証明書
法務局に登録されている会社情報が記載されている書類です。電子化前は「登記簿謄本」と呼ばれていたため、今でもその名称が使われることがあります。
法務局の窓口、もしくは郵送で入手することができます。発行には窓口なら480円、郵送なら600円の手数料が必要です。
法人の実印が登録されていることを証明する書類です。個人の印鑑証明は市役所の行政窓口で入手できますが、法人の場合は法務局で取得しなければなりません。
売却益に対してかかる税金とは
車を売却し利益が出た場合、それに対する税金が発生します。
車を売却した法人が消費税の課税事業者の場合、売却額に対して消費税が発生します。仮に簿価600,000円の車両(直接法)+リサイクル費20,000円を1,000,000円で売却した場合、以下のように仕分けします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金預金 | 1,000,000 | 車両運搬具 | 600,000 |
預託金 | 20,000 | ||
仮受消費税 | 100,000 | ||
固定資産売却益 | 280,000 | ||
合計 | 1,000,000 | 合計 | 1,000,000 |
リース契約の車両も売却可能
リース契約の車は、所有権はリース会社にあり、勝手に売却することはできません。しかし、特定の条件を満たす場合には、リース会社と協議の上で売却することが可能でしょう。
・契約にリース期間終了後の所有者移転条項がある
・リース料と車両本体価格の支払いが終わっている
ただし、あくまで所有権はリース会社にあるため、両者合意の上での売却は徹底しましょう。
まとめ
法人所有の車でも、個人所有同様に売却することができます。買取査定は複数社へ同時依頼できる一括査定がおすすめです。車がどの程度の価値を持っているのか理解した上で、最も高く値をつけた業者に売却するのがよいでしょう。
法人は個人とは違い、車を売却した結果も会社の業績の一部となります。間違いが無く正確に結果を反映できるように、担当者は記帳のルールをあらかじめ確認しておくのがよいでしょう。